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アアルト夫妻とフィンランドのデザインの魅力、そして日本との深い関係

正直、アアルトというフィンランドの建築家のことを今まで知らなかった。
たまたまアングラ映画を見に行った時に「アアルト」という映画の予告編があって見たのがきっかけだ。

建築家と言えばガウディが個人的には好きなのだが、北欧という地域は俺にとって未知の領域であり、同時に踏み込んだら沼になる?ような予感がした。実際、今、その通りになっている。北欧の手工芸はテキスタイルをベースとして分厚い伝統を持ち、その仕事の担い手は女性だった。

フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルト。そしてその妻でありインテリアデザイナーでもあるアイノ・アアルト。この2人の出会いは1924年。無名の建築家アルヴァの事務所にアイノが訪れ、協働作業を始めたことが起点となっている。この2人が作ったフィンランド建築、インテリアの独創性には大いに触発された。ル・コルビジェなどモダニズム建築が全盛の時代にあって、「自然、やさしさ、親しみ、あたたかさ」を取り入れた設計を実現し、フィンランドの公共施設、福祉施設をはじめ都市計画に大いに貢献した。

アルヴァはフィンランドの白樺にこだわりつつも、モダニズム建築の先端技術を積極的に取り入れることで、革新的なインテリアや建造物を次々と生み出した。その傍らにはアイノが「人間としての温かみや親しみ」をデザイン化する力が融合し、「2人のアアルト」は唯一無二のプロダクトを提供しつづける。

アイノが設計し、イッタラ社が作り上げた「ボルゲグリップ(水紋の意)」「アアルトベース」。アルヴァが設計し白樺の可能性を最大化させた「41アームチェア バイミオ」「スツール60」やサヴォイレストランの照明として今も健在の「ゴールデンベース」。建築物しては「パイミオのサナトリウム」「マイレア邸」「ハーバード大学図書館ポエトリ―ルーム」そしてニューヨーク万博のフィンランド館「うねる壁面」等魅力的なものばかりだ。

中でもニューヨーク万博のフィンランド館「うねる壁面」はモダニズム建築の巨匠フランク・ロイド・ライトをして「天才だ」と言わしめた。壁全体でオーロラを表現した幻想的な設計だ。

この「2人のアアルト」は1935年、アルテック(ALTEK)という会社を立ち上げた。その理念は「テクノロジーはアートに出会うことで洗練されたものになり、アートはテクノロジーの力によって機能的、実用的になる」。アート×テクノロジーの意が込められており、ここで作られるインテリアは樹齢80年以上のフィンランド産白樺にこだわり続け、現在も世界に2つの直営店を運営している。

おもしろいのは世界にあるアルテック直営店はヘルシンキと東京だけということなのだ。これは日本の民藝運動を展開したメンバー(柳宗悦、濱田庄司など)との交流を通した日本の伝統文化の理解と、その影響を実際に受けていること。日本の伝統工芸技術への信頼が関係している。

渋谷にアルテックがあるらしい・・また冒険する場所ができた^^!

知れば知るほど奥が深いし、日本との関係も面白い。もっと調べていきたい。

参考図書
「アルヴァ・アアルトのインテリア」
 小泉隆 学芸出版社
「アイノとアルヴァ 2人のアアルト」
 アルヴァ・アアルト財団 国書刊行社

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