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悲しき戦力外通告...前田大和(DeNA)について今、思うこと。(2024.10.04)
10月1日、横浜DeNAの大和が戦力外通告を受けた。先月既に「来季は構想外」の報があったので驚きはしなかったものの、「正式」にアナウンスされると虎党の私でも少し寂しい気分になった。
そして、ふと「阪神に残っていたらどのようになっていただろう」という思いがよぎった。
「もっと見たかった」大和の遊撃守備
大和といえば、中堅手でゴールデングラブを受賞するなど内外野で抜群の守備センスを誇ったが、私は大和の遊撃守備がとても好きだった。それも阪神時代の若かりし日の守備だ。
大和に興味をもったのは、2013年頃、中日の落合監督が大和の遊撃守備を絶賛しているという話を虎党の友人から聞いたことがきっかけだった。
当時、阪神の遊撃は、鳥谷がフルイニング連続出場を続けていたため、大和の遊撃守備を見ることは容易ではなかった。じっくり見る機会を得たのは、鳥谷がメジャー入りを模索した2014年シーズンオフの安芸での秋季キャンプのときだった。
安芸では、和田監督が鳥谷流出に備え、後継に大和を想定し遊撃守備に専念させていた。その映像を友人に送付してもらったDVDで見ると、こと守備に限っていえば、素人にも「鳥谷流出でも心配ない」と思わせる程のレベルだった。
俊敏な動きで素早く捕球姿勢に入り、三遊間の深い位置からでも正確に送球していた。またチャージも早く、ボテボテのゴロを捕球した際のジャンピングスローもしなやかで、まさに「守備職人」そのものだった。
大和に関しては、現在の阪神監督、岡田氏が前任時の2005年高校生ドラフトで大和の身体能力を見込んで獲得を進言したと伝わっていたが、実際に大和の遊撃守備を見て、岡田氏のさすがの目利き力に感心したことを覚えている。
しかし、そんな大和でも、阪神では遊撃レギュラーはつかめなかった。
2017年こそ鳥谷の三塁コンバートで431回1/3遊撃守備につくも、それ以後は、打撃が安定しなかったこともあり、ユーティリティー枠としての起用が大半だった。
結局「もっと見たい」と思わせた華麗な遊撃守備は、「超改革」の旗印の下、チームの若返りを進める金本監督の前では、アピールには至らなかった。
小さくなかった大和の抜けた穴
そして2017年のオフ、大和はFA権を行使し横浜DeNAへの移籍を決意するわけだが、それ以後の阪神の"遊撃人材難”を思うと、損失は決して小さくなかった。
今でこそ遊撃は、木浪、小幡の二人でシーズンを乗り切れるようになったが、2019年以後は、鳥谷の後にレギュラーを掴んだ北條が怪我で戦線を離脱するようになり遊撃人材は手薄になっていた。
新人時代の木浪は失策が多く、矢野監督は糸原の遊撃起用を試みたこともあった。非常時には、ソラーテなる助っ人も遊撃に充てた。矢野監督前期はチーム全体の失策数が多く、まさに「大和の必要性が身にしみた」時期だった。
輝いて見えたDeNA時代
一方、大和からしてみれば、DeNAへ移籍したことは、結果として"正解"だった様に思う。
30歳で迎えられた新天地。守備では、はじめの2年間はほぼ遊撃手に専念された。
全盛期は過ぎたように見えたが、2018年は910回、2019年は1107回2/3、それぞれ守備につきレギュラーの責任を果たした。34歳となった2022年も582回2/3遊撃守備につくなど、大和はチームが正遊撃手をなかなか育成できない中、「つなぎ」の役割もしっかりとはたしている。
また打撃に関しても阪神時代よりも技術を上げた感があった。
打率こそ高くはなかったが、左投手に強さを発揮し、昨年は「代打の神様」と呼ばれた。阪神時代に見せた「ひ弱さ」は年々、影をひそめ「配球を読む」「勝負強い」打者としてベイスターズファンの期待に応えた。
牧秀悟との"師弟関係"
そして何より、チームに溶け込めた印象がある。
象徴的なのが、牧との関係性だ。
文春オンライン(2023.10.19)でも記事にされていたが、牧は大和を"お師匠”と呼んでいるという。
入団2年目からの師弟関係で、Full―Count(2022.01.21)には、牧は大和から「守備や体力面のことなど1年間戦い抜くための準備の仕方を学んでいる」とある。
今年1月も二人の合同トレーニングの模様が複数のスポーツ紙で報道されていた。
向こう10年間、DeNAの屋台骨を背負うであろう選手からの尊敬の眼差しは、大和にとっても嬉しい「サプライズ」だったに違いない。
大和のこれから
戦力外通告を受けた大和は、これからどのような道をすすむのだろうか。
10月3日夕刻のサンケイスポーツに、今後について「(気持ちの)整理はついていないが、絶対に野球をやりたいという思いはもうない。やりたい気持ちが出たらやるけれど、とりあえずゆっくりしたい」とあった。
今年6月「デント病」を患っていることを公表しており、年齢も来月で36歳。色々考えることがあるのだろう。
DeNA時代の大和は、阪神時代よりも表情が柔らかく、楽しそうに野球をしている様に私には映った。新たな場でも引き続き良い表情の大和が見たいものだ。「お疲れ様でした」はまだ言わないでおく。