【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部 #2
交流戦二戦目の5月30日、阪神は日ハムに0対6で完封負け。日ハム先発山崎福也の緩急を駆使した投球に為すすべなく凡打の山を築いた。またソフトバンクから現役ドラフトで加入した水谷瞬に4安打を許すなど投打に圧倒された連敗劇だった。
阪神打線はこの試合も低調でわずかに4安打。木浪も山崎の前に3打席凡退で打率を.230から.225まで下げた。なかなか打率を上げることができない。
3打席いずれも山崎のカットボールに翻弄された。
1打席目は初球を外角に、2球目は内角にそれぞれ130キロ台のカットボールを投げ分けられた。カットボールを十二分に意識させられた後の3球目は外角低めに120キロのチェンジアップ。1-2と追い込まれた後の4球目は見せ球のフォークを見送るも、決め球はそのフォークと同じ球速帯の120キロ台のカットを外角低めに投げられ1塁ゴロに終わった。
2、3打席目はいずれも勝負は早く決した。2打席目は2球目の外角やや高めのカウントを取りに来たカットボールを打たされ二塁ゴロ、3打席目は外角ベルト周辺の高さのストレートを左飛。当てただけの打球で勢いはなかった。
翌日の5月31日、舞台を千葉に移し、阪神はロッテと対戦。延長10回サヨナラ負けで今季初の4連敗。リーグ3位に転落した。
木浪は7番ショートでスタメン出場したが、この日も無安打。5度の打席機会を得るも、打率上昇につなげることはできず.217まで打率を下げてしまう。
無死二塁で巡った二打席目の2塁ゴロこそ自己犠牲のチームバッティングだったが、その他4打席も得点の鍵を握るケースで打順が巡ってきただけに1本、2本は安打を打っておきたかった。
特に1打席目の無死1.2塁、先制のチャンスの場面。ロッテ美馬のインコース高めのスライダーを巻き込むような打ち方で一邪飛に打ち取られた。得意のインコースに来たと思ったのだろうが、ボールが曲がり始めた時、スイングが止まらなかった。
3打席目もストレートを見せ球にして、スライダー、チェンジアップを外角に集めて打たせる美馬の投球スタイルに手を焼いた木浪だったが、2番手菊地吏玖に対する打席の内容は悪くなかった。
前川右京の勝ち越し打で1点リードした直後の第4打席。菊地の全9球のうち145キロ前後のストレート4球ファールにするなど、0-2と追い込まれながらフルカウントまでもっていく。最後はストレートに少し詰まったか、中飛に終わった。
そして延長10回、先頭打者で迎えた第5打席。初球、左腕、鈴木昭汰の投じた143キロの外角寄りの甘いストレートを見逃し、2球目ファールの後、3球目外角の甘いスライダーを打ち上げ中飛。勝ち越しの起点になれなかった。
長く苦しい5月が終わった。
木浪の今季の5月月間打撃成績は68打数15安打。打率.221。
昨年同時期の成績は80打数24安打。打率.300
厳しい状況に変わりはないが「レギュラー」としての起用は続いている。