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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か?#2

4月27日、対ヤクルト5回戦。木浪はスタメンを外れた。試合前のSNSでは、3失策の翌日ということもあって、木浪の動向はちょっとしたニュースになっていた。岡田監督に見守られ守備練習に励んでいるスポーツ紙掲載写真や「昨日はすみませんでした。もう切り替えてますので・・」と始める木浪の声出し動画がネット上で散見された。

木浪に代わって起用された小幡は首脳陣の期待に応えた。2安打1打点。2安打ともヤクルト先発サイスニードの変化球を捉えたもので、いずれも得点に絡んだ価値のある安打だった。

岡田監督は試合後の囲み取材で、木浪の最近の打撃の内容と天秤にかけ小幡起用のタイミングを探っていたとするコメントを残した。昨日の失策の件に直接言及しなかったのは、「守備が第一」をモットーとする木浪に対する最低限の配慮だったのかもしれない。
 
木浪のモットーとは裏腹に、阪神ファンは木浪に「打撃」も求めていることがSNSを覗いてみると分かる。セイバーメトリクスの「守備指標」を理由に小幡との併用を望む声は少なくない。

今シーズンの木浪はここまで打撃が振るわない。4月26日現在、打率.205。この数字では木浪の守備範囲に否定的な阪神ファンまたは小幡支持者が木浪の「固定起用」を支持しないのも無理はない。

では岡田監督の腹の内はどうなのか。

今年の沖縄キャンプ終了時、記者から遊撃ポジションの起用について聞かれた時、明言は避け「小幡に打撃の力強さを感じた」「木浪とそん色ない」と話すにとどめた。

そこには、昨年の木浪の活躍を意識してか、就任時、公言していた「ショートは打たんでいい」のスタンスはもはやなく、今季のショートの起用基準は昨年とは異なることを暗にほのめかしていた。

こうした岡田監督のコメントを受けて、翌日のスポーツ紙では「木浪と小幡の併用構想」なる記事がでていたが、いざオープン戦を見てみるとその見立ては誤っていたことに気付く。

岡田監督自身が「勝ちにこだわる」と定めた3月12日のロッテ戦からオリックスとの最終戦までの10試合のうち、小幡のスタメン起用はわずか1試合。木浪と小幡のオープン戦での成績を見れば岡田監督のオープン戦での起用方針は明らかで、今季も「阪神のショートは木浪」ということは誰の目にも明らかだった。

2024年シーズンの阪神のショートのポジション起用には、このような流れがある。

28日のヤクルト戦のスタメンはどうなるのか。木浪の1試合3失策がそれまでの打撃不振と相まって、木浪、小幡両ファンの胸をいつになくざわつかせていた。併用の時が到来するのだろうか、と。

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