【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部#15
6月14日、交流戦最後のカード、阪神は福岡に乗り込みソフトバンクと対戦。初戦は0対2で敗れ交流戦の負け越しが決まった。この試合、5度の得点圏に走者を進めたが決定打が出ず。相手先発、モイネロの前に7回まで12三振を奪われるなど、福岡の虎党を喜ばせることはできなかった。
木浪は前日に続いて「9番」で出場。2打数無安打1犠打。先制の好機で併殺打に終わるなど、良いところはまったくなかった。
凡退した2打席はいずれも「よく見る配球」だった。
2回の第一打席は1死、1.2塁の場面。ストレートは1球もなく3球すべて外寄りのスライダーだった。初球、二球とスイングをかけにいったがバットに当たらず0-2に追い込まれ、最後の球をひっかけて二塁ゴロ併殺。
ランナーがスコアリングポジションにいる場面。インコースのストレートに強い木浪に対して、バッテリーの配球は「外」「変化球」が主となることは想定できそうだが、木浪の狙っていた球種は何だったのか。
外角への攻めは、二塁ゴロで凡退した7回の第三打席でも徹底されていた。
この打席、モイネロが投じた4球のうち3球が「外」だった。木浪は初球のチェンジアップ、二球目のストレートを見逃し簡単に0-2と追い込まれる。次の3球目は唯一ストレートが真ん中に入ってきたが、木浪はファールで打ち損じた。最後の球となった4球目のカーブは、打っても安打にならない「外角低め」にしっかりと制球されていた。
何度も記しているが、今季の木浪は安打ゾーンをインコースにしか持てていない。外角の球に対しては、見送ることが多いが、打ちにいっても「ボールと体の距離」が離れすぎの印象を受ける。なので「ホームベースから離れた位置で打席にたっているのか」と錯覚してしまうくらい「バットが届いていない」「手打ち」の感が強い。これでは打率はあがらない。この試合終了後の木浪の打率は.207。
岡田監督は試合後の記者会見で、この日二軍から昇格したノイジーの好機をつぶした空振り三振併殺に対して「真っすぐ当たらへんねんもん。しゃーない。真っすぐ当たらへんねんもん」と語気を強めたという。
このあたりに、木浪の打撃が開幕から低調でありながら、メイン遊撃手として起用され続けている要因があると感じる。木浪は今季ここまで、三振割合が昨年の21.9%から13.8%へ良化しているのだ。そして、インコースのストレートを引っ張ることはできている。
なんともさみしい「レギュラー要素」だが、木浪ははたしてどのように現状を打開していくのか。はたして、外角を安打にできるようになるのだろうか。