【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部 #4
交流戦4戦勝星のない阪神、6月2日のロッテとの三戦目でようやく勝利。リーグ戦から続いた連敗は5で止めた。貧打に苦しむ状況は依然、続いており「まさにこれしかない」という1対0での辛勝。才木の熱投が光った。
この試合も前日同様、4番に近本を据えるなど「日本一打線」は解体されたまま。不振の木浪はスタメンから外れ、小幡が「八番・遊撃」で今季7試合目となる先発出場を果たした。
その小幡、ロッテの先発メルセデスの前に3打数無安打、2三振で終わる。
第一打席は4球すべてスライダーで攻められた。コースはいずれも外角。最後の球は、ボールと思ったか、スイングを止めようか躊躇したように見えたが、あえなくストライクコール。結果は空振りの三振となった。
第二打席はフルカウントまでいくも、決め球のインコースストレートを見逃し三振。NHK野球解説者の宮本慎也氏によれば「踏み込んで打ちにいく傾向のある小幡、インコースの速い球はどうしても体と距離が作れない」という表現で三振の場面を振り返った。
聞きようによっては「インコースの速球が打てる打撃のスタイルでは、まだない」とも感じとれるが、この打席、小幡は1打席目同様、外角球にも消極的だった。初球のストレート、二球目のカーブいずれも見逃し。厳しいゾーンではなかったが簡単に追い込まれてしまう。前の打席が全球スライダーだったのだから、この打席はストレートに狙いを定め、ベルト付近の高さでればコース問わず思い切り振っていっても良かった。
第三打席は初球の外角寄りのストレートを見逃した後の二球目、初球と同一コースのスライダーを合わせただけの中飛に終わった。
この日を終え、小幡の打撃成績は36打数7安打1本塁打。打率.194。
安打7本のうち3本は「ラッキー安打」によるもので、残念ながら、打撃の進歩は示せていない。
特に、三振割合(K%)の改善を小幡は迫られている。この試合の2三振で今季の三振数は「14」。三振割合は実に33.3%にまで達した。
もともと、小幡は1軍での三振割合が高い傾向にある選手だ。打席数の違いこそあれ、2020年から昨年までの当該指標をみると、27.6%、28.0%、28.8%、25.3%となっている。
1軍選手のK%の平均は定かではないが、同僚の佐藤輝明の同指標を追うと、2021年から今季まで、38.0%、22.7%、25.4%、33.1%。競争相手の木浪は、昨年21.9%、今季は6月2日時点で13.0%。
小幡は、試合の頭から出場したいのであれば、「長距離砲の佐藤輝明と三振割合がさして変わらない」状況を改善しなければならない。安打を数多く打つだけではなく三振割合も良化させる必要がある。
「ショートは打たんでええ」とした岡田監督の言葉の有効期限は昨年の木浪の活躍ですでに切れた。ショートも他のポジション同様「打たなければ試合に出られない」。そして「三振が多いと打席が提供されない」ことも心していかなければならない。