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大食いの違和感

 飽食の時代と呼ばれてもう何十年も経つ。日本の高度成長期と共に食文化の欧米化も進み、ファストフードチェーンやファミリーレストランなどが食事の一翼を担うようになっていく。
 第二次ベビーブーマーと呼ばれる世代は既に戦後は遠くなり、生まれた頃から家庭のテレビはカラーだった。そんな1億総中流階級となった日本は加工貿易国でありながらGDPはアメリカに次ぐ2位という離れ業を成し遂げた。第二次世界大戦敗北から40年余りのことである。
そしてバブルを迎える。土地の高騰、マネーロンダリング・・・狂った経済に踊らされテレビのバラエティー番組は狂気乱舞していた。特にフジテレビは金にものを言わせ映画や美術品など贅を尽くした展開を行なった。そして、そのツケが今まわってきている。

 最近のテレビはコンプライアンスも厳しく、直ぐに評判はネットに晒される。
出演者も一言一言発する度にオドオドしており、周りを伺いながらの発言。だから、「あのちゃん」や「フワちゃん」のような本質を歯に衣着せぬ発言をするタレントが重宝されているのだろう。
あの2人に言われても洒落で通じると思われるからか。

 こんなコンプライアンスが厳しくなっている時代に何故未だに「大喰い」のテレビ企画があるのだろう。
冒頭に記した飽食の時代の産物であることは間違いないのだが、それは日本の事であり、世界に目を向ければ、戦争や紛争、宗教観で難民問題があり、多くの子供たちが毎日餓死している。
「大喰い」番組の需要・・・フードファイターの意味・・・私は全然理解できない。
 本来食事とは天の恵みを美味しくいただく。フードファイターが食べ物を流し込むように体に入れる姿を見ると、クジラが小魚の群れを一飲みにしているシーンを想起してしまう。だから「そんな番組、見なければいい」と言われるだけなので、チャンネルは合わせないようにしているが、スポンサーも付いているところを見るとそういう企画が好きな人が一定数いるのだろうな、と感じる。
 円安や気候変動の影響で物価高となり、1円でも安く野菜や肉を買い求め、カサマシをしながら食卓を維持する家庭においてバカみたいに食べるシーンを見る感情。とても違和感があるし、気味が悪い。
そして、その「大喰い」番組の後にACジャパンのCMが流れた時は、驚きを通り越して苦笑してしまう。
相変わらずバブルを忘れられないテレビ番組制作者がいるとしか思えない。

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