テニスのフォアハンドで高い球が苦手な理由

 かくいう私も十数年間しっくりくる方法がなく、だましだましプレイしてきたのですが最近ようやっと理解することができました。ここでは高い位置にテイクバックするとか、水平にスイングするとか、スイングの後半部分のアウトからインにラケットが進むところで捉えるとか、そのような元から打てる人が自分の打ち方のガワを解説しているだけの内容ではないので、人によっては意味不明な内容になると思います。あとはある程度ストロークが打てる人前提の内容になっているので細かいところは各自補完してください。
グリップはセミウエスタンぐらいまでが対象でグリグリに厚い人は対象外です。

・上向きでキャッチする手と下向きでキャッチする手の形がある
 まずここから解説していきます。キャッチボールをするときに気が付いたのですが、肩の高さ付近より高い場所に飛んできたボールは上向きの手でキャッチしています。上向きとはハイタッチするときの手というんですかね。手の平がボールのほうを向いていて指が上側というか。バックブリッジしているときの手の形というか。フライを頭上でキャッチするとその手の形になりますね。
 次に下向きの手ですが、肩の高さ付近より低い場所に飛んできたボールは下向きの手でキャッチしています。段ボールを地面から持ち上げるときの手みたいなやつですね。手の平がボールのほうを向いていて指が下向きです。足元のボールやショートバウンドしたボールをとるときにその手の形になります。

・ある点を境に上向きの手と下向きの手が入れ替わる
 それでですね、この上向きの手と下向きの手(以下めんどくさいので上手、下手と記載します。じょうず、へた、ではないので勘違いしないよう)には明確に切り替わるポイントがあります。そこが肩のライン付近にあります。試しに頭の高さに来たボールを取ってみてください。確実に上手になります。逆にお腹の高さに来たボールを取ってみてください。確実に下手になります。これを逆の手で取ることはできないと思います。
 頭の高さに来たボールを下手で取ろうとすると手の平が上を向いてしまい、肩のラインを傾けたりしないと取れないと思います。逆にお腹の高さに来たボールを上手で取ろうとすると手の平が地面を向いてしまい捕球すらできないかもしれません。取ろうとするならば自分の体勢をしゃがむなりして低くしなければなりません。キャッチャーなら最初からしゃがんでいるので、その高さのボールは上手で取るのが自然ですね。
 そしてこの手が切り替わる部分を探していくと、このラインから数センチ上なら上手、数センチ下らなら下手という部分があると思います。これ結構明確なラインなんですよね。ちょっとボールを取る高さを上下させただけで手首がカクっと方向を変えます。(正確には手首というより前腕部分が回るというのが正しいのかな?)このラインがとても大事になってきます。

・中間の手の形はない
 そうしたら体の肩付近に飛んできたボールはどうやって捕球しているかというと、必ず上手か下手のどちらかの形で捕球しています。上手でキャッチできる下限付近で取るか、下手でキャッチできる上限付近で取っています。
多くは上手に構えて体の傾きなどを微調整して取っていると思います。ちなみにこの肩付近を上手で微調整して取るという部分は後半とても大事になってくるので覚えておいてください。

・その打点でボールをキャッチする手の形でラケットを握ると打点になる
 下手でフォアハンドのグリップでラケットを握ると面が少し上を向いて落ちてくるボールを迎えてあげられるような面になると思います。ラケットヘッドが手首よりすこし下がり、ちょうどストロークで相手が打ったボールが1バウンドしてから落ちてくる部分を打ち返すのに丁度よい角度ですね。時計でいうと手首を中心とすると4時ぐらいの角度ですかね。
 上手でラケットを握るとラケットヘッドが天井を向くと思います。ちょうどグリップが厚い人が高いボールをハイボレーするような感じになると思います。時計でいうと手首を中心とすると1時ぐらいの角度ですかね。

・2~3時付近がデッドゾーン
 ということはですよ。下手では4時まで(腰からみぞおち付近)の打点は普通に打てます。ところがそれより上に打点を上げるとぎりぎり3時ぐらい(肩付近)までは打てるのですが不安定になります。それ以上打点を上げてしまうともうスイングが破綻していわゆるチャンスボールを叩き込んだり、ベースラン上での高い球をライナー性の弾道で打ち返すことなどできなくなってしまいます。
 上手では逆に1時までの打点は普通に打てます。それより下に打点を下げるとぎりぎり2時ぐらいまでは打てるのですが不安定になります。それ以上打点を下げてしまうと面が下を向いてしまうので膝から腰ぐらいのボールを打球しても地面に打ってしまいます。

・下手から上手へのスイングは連続していない
 下手でスイングを開始して手首が肩付近になったら上手に切り替わりスイングが連続しているように見えます。ですが実は連続性はありません。肩の高さで手首が切り替わると仮定します。まず下手で肩の高さまでスイングをしました。その時点でラケットヘッドは手首を中心としてほぼ平行、3時ぐらいの角度にあると思います。その部分の手首を上手に変えてラケットを握ってみてください。そうしたらラケットヘッドは上向きになっていると思います。手首を中心にすると12時ぐらいの真上を向いていると思います。
 それをラケットを持たないでやると手首がカクっと動くだけで済むのですが、ラケットを持ってやると今まで適切に角度を変えてきたラケットがある数センチを境にグラっと動くわけです。下手から上手に変化したことにより、正しい上手でのラケット位置に急加速しようとします。その部分はとても不安定なスイングで上手でも下手でもないのでよい打球感覚を得られません。これが先に説明したデッドゾーンの正体です。ですが、スイングしていることはしているのでラケットとボールが当たればどこかには飛びます。ですが、その打球はとてもコントロールできるものではないと思います。

・上手で体の傾きを微調整したスイング
 手首におけるある時点の二つの手の形でとるラケットの角度があまりにも違いすぎるので、打点を決めたらどちらの手の形で取るかを最初から決めてスイングしなければなりません。
 高い打点でおすすめなのは最初から上手で構えておき、体の傾きを微調整して打球する方法です。上手で打球できる下限を使うということです。下手の上限を上げるより、上手の下限を広げるほうが遥かに簡単です。肩の傾きや上体の捻り、体の向きや腕の角度などを調整すれば上手のスイングで腰の高さぐらいまでのボールまで対応できると思います。スタンスを広げて膝も曲げればもっと低いボールまで対応できると思います。
 話は逸れますが、グリップの厚い人はデフォルトで上手のスイングになるので高い打点の悩みを抱えている人は皆無だと思います。その代わりに下手でのスイング感覚がなく、上手で対応できない打点はスライスで処理をするスタイルが多いように思います。

・上手と下手でのスイング感覚は違う
 人にもよりますが別物です。別物でなければここまで高い打点が苦手な人はいないと思います。高低の打点別に解説します。
 テイクバックの時点では大体の人が上手で構えていると思います。そこから低めの打点ではフォワードスイングの時にラケットダウンして下手の形に切り替わります。そこからその下手の形の範囲内でインパクトします。フォロースルーの時には手首の位置が高くなっているかつ慣性があるため上手に切り替わり終わります。
 高い打点はテイクバックからフォロースルーまでずっと上手のままです。体を回してフォワードスイングの段階になっても上手をキープしたままのイメージでラケットも上手の下限程度までしか下げません。というか下がりません。地面と水平か体の傾き加減によっては多少ラケットヘッドが下がるぐらいです。(ここで手首をがっつり下手のポジションにしてしまうと一気にラケットヘッドが下がってしまいその後のスイング軌道も大幅に変わってしまうので注意してください。ラケットヘッドが下がりきる一瞬だけ下手の形になる程度なら問題ないです)そして上手のままインパクトします。
 そして中くらいの打点までも自然と上手でのスイングができれば低い打点は勝手に下手のスイングになるはずです。高い打点が苦手=デフォルトのスイングが下手のスイングになっている人が大半だからです。

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