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ゴジラ −1.0 感想

 観てきた。モノクロ版が始まっていたが、カラーで。入口で宣伝用の下敷きサイズのグッズをもらった(上写真、材質はボール紙)。以下、ネタバレで書きます。
 映画はいきなり、ゴジラが登場。登場シーンはこの手のモンスター作品にとってはとても大事。いきなりきたか、と身を乗り出すが、今回のゴジラは島に現れるや暴れまくり、人をくわえて放り投げ(食わないのか!)たりするが、どこかインパクトに欠ける。そして、ゴジラを初見する神木隆之介の表情が・・・平べったい。リアリティがない。ほかの役者もそう。ガメラリバイバル版においてパイロットが初めてガメラを見たあの、うわぁ・・・という感じが欲しい。
 空襲に遭った東京の町、いろんなベクトルに破壊されているのは震災後の風景に似ている。これは米軍によってもたらされた災害だと思える。そして復興を遂げた二年後、今度はゴジラが銀座を破壊し尽くす。キノコ雲を思わせる大爆発が空を覆う。あたかも原爆が東京に東京に投下されたよう。ゴジラはアメリカの水爆実験により巨大化凶暴化した。アメリカ、ゴジラ、特攻くずれの神木の安定しない精神状態、そういったものが絡んでこの映画は戦争映画の雰囲気をも漂わせ進む。それにしても!伊福部昭の音楽のなんと圧倒的なことよ。ゴジラ大暴れに伊福部音楽、爽快ですらある。映画館の大音響が頼もしい。浜辺美波の鉄棒シーンも見ものだ。
 銀座を破壊したゴジラはというと・・・海に戻ったようだ。戻る際もいろいろあったとは思うのだが、このへんの映像も説明もない。そしてまたゴジラが時をずらして上陸するという。東京をなわばりだと思っているから、という理由で・・・。
 そしてゴジラは神木の戦闘機の挑発にのり、相模湾に引き戻され、そこでなにやらぐるぐる巻きにされる作戦に、ごていねいに上半身を海上から出して(立ち泳ぎ?)付き合っている。そうして、ああ作戦が失敗か!と思われたそのときに、神木の特攻を顔にくらい撃沈される。今回のゴジラは口からの爆炎咆哮が尻尾のほうから青色ライトでカウントダウンされるので、咆哮のタイミングが分かりやすい。神木もそれを利用し、うまい具合に口に突っ込んだ。
 戦争をお粗末な機材で突進した日本、戦後二年経ち、いくばくの反省をこめ、今回は特攻者が脱出できるようになっていた。結果、神木は無事で、同じく銀座でゴジラの咆哮に吹き飛ばされ即死と思われた浜辺も奇跡的に無事であり、両者は劇的な再開を果たす。
 この映画、神木の表情、演技、セリフの説得感、など観ていて物足りなく感じたが、見終わって、これは海外マーケットもねらったキャスティングだと納得した。この映画には日本政府はいっさい登場しない。民間のちょっとか細い感じの主人公がモンスターをやっつける、そこにカタルシスがある。ハリーポッターのあの感じである。神木のちょっと子供っぽい感じがヘンに蒸し暑さを感じさせず、めでたしめでたし感がでた。
 ところでこの映画、アメリカで受けているというが、どういう気持ちでアメリカ人はこの映画を観ているのだろう。竹やりで向かってきやがってバカな日本人、クウシュウ、ジシン、いろんなひどい目にあってタイヘンネ。って感じなのだろうか。銀座の破壊シーンで原爆を思うアメリカ人がどれだけいるのだろう。
 とにかく地震の被災地の風景は、そのままゴジラが通ったあとのようだ。敵地を攻撃することより、ゴジラ級震災による被害をすこしでも防御、軽減することに金と知恵を使ってもらいたい。万博なんてやってる場合か!、つくづくそう思う。


 


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