じゃすりーぐ レギュラーシーズン最終戦 NINAI-いもーけん-とらふく


対局者紹介



NINAI
リーチ率高めの面前守備型。王座2193戦、王座平均着順1,930 所属チーム−じゃすどっと

いもーけん
リーチ率高めの面前バランス型。王座2270戦、王座平均着順1,952 所属チーム−ぽてっとモンスターズ

とらふく
リーチ率激低の副露守備型。王座5402戦、王座平均着順1,942 所属チーム−LAST STAND

※敬称略



主要ルール


ツモ損有り 和了止め無し 西入り無し ウマ75 オカ15



勝利条件


NINAI
最終戦開始時点でファイナル進出ボーダーまで309,3P。ボーダー上にいるチームのいもーけんと同卓しているのでトップラスを決めたい。仮にトップラスで素点含めて200P縮めれば四麻最終戦での条件がかなり現実的になる。他チームの状況もあるがトップは最低条件。

いもーけん
現在ボーダー。トップを取ればほぼ通過。他チームの状況もあるがラスだけはなんとしても避けたい。

とらふく 
ボーダーまで792,3P。チームとして四麻最終戦を残してるとはいえここでは最低でも50万点のトップは欲しいところ。非現実的な条件だが可能性が残る限り50万点トップを狙う。とらふくとはそういう男。


それぞれの想いがぶつかる最終戦

無茶苦茶厳しい2軒リーチ

一進一退の攻防を繰り広げる最終戦。とらふくの条件が厳しいがそれでも可能性が残る以上は最善を尽くす。上記の牌姿から何を切るか?普段のとらふくなら9pを切ってオリる事も視野に入るかもしれない。ただ50万点のトップが必要なので親番は絶対にオリれない。

それを加味すれば並の打ち手は7pに手をかけるのが普通だと思う。しかしここでとらふくは打1p。最善かどうかは分からない。ただとらふくは言った「4-7pは切れない」。それで十分。どんなに押すしか無い状況でも今まで培ってきた譲れないものがある。

見事針の穴を通す

4-7p、5-8pを掻い潜って見事な和了。この和了を拾える打ち手が果たして何人いるのだろうか。繰り返しになるが、当たろうがどうしようが7pを打つのが最善かもしれない。ただこの最終戦は既に通常の条件で最善かどうかという次元の勝負では無いのだ。


南2局 0本場

南2局親番なので積極的に前へ

数々のスーパープレイの応酬でたどり着いた南2局。北を2枚抜いたとらふくを横目に一枚目の白から積極的に仕掛けたNINAI。形は悪いが小三元、混一色まで見えるこの発はかなり鳴きのように見える。しかしここはスルー。恐らく形が悪すぎるのでリーチが入った時の対応が出来ないという事でのスルーだと思う。面前なら分かるが副露後にこの発をスルーできるバランス感覚はかなり独特ではないだろうか。

発スルー時点の残りの山

凄すぎてもはや結果論で語るしか無いのだがこの発を鳴いていたらとらふくが倍満をツモ和了していた(裏ドラは北)。ギリギリの感性が絶妙のバランスを取って半荘は進行していく。この局はNINAIの一人聴牌で終了。



南2局 2本場 


南2局1本場はNINAIのドラ単騎七対子リーチが不発に終わり再びNINAIの一人聴牌。迎えた南2局2本場

先制リーチを受けるNINAI

ここから何を切るか。ベタオリなら現物の8s。しかし8sを切ると手が完全に死ぬ。素点も必要。トップラスをどうしても決めたい。諸々の条件を加味すると押し返しを狙って南を切っても良いように見える。場に一枚切れてて事実上の地獄単騎にしか放銃しない。3枚見えの字牌放銃確率は約0,5%。200回に1回当たるかどうか。またリーチの河は七対子狙いのような不自然な河では無いので南が当たる確率はもっと低いように思える。現状切れない牌は多いがドラの白が重なれば打点上昇して十分押し返しに見合う手になる。

NINAIの選択

NINAIの選択は8s。0,5%の放銃抽選も重いとみた1打。NINAIの感覚では南が通ったとしても形が悪すぎると見たか。しかし現物が切れたら南が出ていきそう。何なら次巡は南になるのではないか?どうせ近いうちに出ていく牌なのだからここで切ってしまってもいいのでは…という考えが拭えない。

まさかまさかの…

いもーけんのリーチはまさかの七対子南単騎。まさかここで0,5%の放銃があったとは…。

悪夢の6p放銃

NINAIが現物打ちで脅威の粘りを見せる中、追いついたのはとらふく。ドラの白をプッシュして混一色聴牌を入れていた。南単騎で無かったら捉えられていたであろうとらふくの5s。また前巡に引いてきたのが5p(NINAIの手にある牌)で無ければ捉えられていたかもしれない南単騎。針の穴を通され、いもーけん痛恨のラス目落ちでオーラスへ。



勝利条件の確認

NINAI
51,700点持ち。いもーけんとのトップラスの並びが出来たのでこの並びのまま終わりたい。どんなに最低でもトップは譲れない。

いもーけん
15,900点持ち。最悪のラス落ち。流石にトップは無理(NINAIから三倍満以上直撃)なのでとらふくから跳満直撃か倍満ツモで2着浮上を目指したい。

とらふく 
37,400点持ち。50万点トップが必要で他者は関係ない。おあつらえ向きのラス親なのでひたすら和了続けたい。和了止めが無いので永遠に続行可能なラス親。少しの加点チャンスも逃せない。



オーラス

南3局0本場

いもーけんが逆転の条件を満たす執念の清一色聴牌を入れるも、こちらも執念は負けてないと、とらふくが怒りの親満ツモ。これで点棒状況が大きく変わる。

NINAI 47,700点
とらふく 45,400点
いもーけん 11,900点

安泰と思われたNINAIのトップが一気に怪しくなり、いもーけんはとらふくから倍満直撃でも2着に届かなくなった。しかしここでいもーけんにはオプションが生まれていた。ラス回避が絶望的ならファイナルを争うNINAIよりとらふくにトップを取ってもらった方がいいというオプションが…。

聴牌一番乗りはNINAIだったが…

索子のとらふくと筒子のいもーけんに挟まれて苦しいながらも聴牌を入れたNINAI。山に何枚残ってるか不明だが、かなり感触の悪い嵌3s待ち。最悪ラス落ちまであるのでリーチは打てず出和了りの効かないダマを選択。そして訪れる選択の時。

前巡に4s手出しが入った事で聴牌濃厚に見えるとらふく。索子は打ちたく無い。ただ和了れば最高の並びで終了できる。ここでの和了の価値は山より高く海より深い。

この8sは愚形待ちに放銃する可能性はかなり低い。9sが見た目残り1枚で物理的に嵌張の可能性は低い。8sが自分から3枚見えてるのでシャボはなく、愚形なら残り1枚の単騎待ちか残り1枚の嵌張待ちにしか放銃しない。俗にいう「(ほぼ)両面にしか当たらない牌」である。

残り筋は3筋。2-5-8s、3-6s。放銃確率は良形なら33%。ちなみに字牌の残りは東のみ。愚形も考慮すると20%〜25%の放銃率(ここは私の感覚です)。そう危険牌には違いないが単純な論理で言うと7割〜8割は通るのだ。ただ自分の待ちはお世辞にも良い待ちとは言えない嵌3s。

そして見た目で4sが3枚見えてるのをどう判断すればいいのか…。もし4sが枯れてるとなると話しは全く変わってくる。2-5s、3-6sが消えるので8sの危険度が一気に跳ね上がり放銃確率は80%を軽く超える…。最終手出しは4s…。珍しくNINAIが長考に沈む…。

長考の末、NINAIが出した結論は…

打9mでまたしても回避

とらふくの聴牌はまさかの嵌8s。そう確率が薄いと前述した嵌8sの聴牌だったのだ。9sは盲点になりやすい暗刻からのポンだった。

実は聴牌時点で4枚山だった嵌3sより先に残り2枚の8sを引いてしまうところが最後の最後で運が無かったNINAI。しかしというかやはりというか見事な回避をみせていく。見ていて戦慄を覚える冴えっぷり。ここで親に加点されたとしても和了止めは無い。まだチャンスは残っている。

NINAI 打9m時点のいもーけん手牌

圧倒的に出遅れていたいもーけんだったがNINAIが8sを止めた事により、NINAIととらふくの時が止まる…。そして…。

奇跡の聴牌を入れる

思えば6pポン、9pポンから無理気味の仕掛けだったがハイレベルがゆえにもつれにもつれてここまでたどり着いた。聴牌料と海底和了を狙ったNINAIの7pポンがまさかの清一色ドラ6三倍満の聴牌を入れてしまう。運命の悪戯。

単純に盤面だけをみるとかなり厳しい東。ただ手牌価値が高すぎる事に加え、とらふくになら放銃した方が良いまである局面。そう、だから3巡前の7sも打てた。ここは迷わず打東。

最後の一撃はいつも悲しい

打点アップチャンスは逃せないとらふく。東を大明槓して掘り起こされた牌は悲しみの3p。この大明槓さえ無ければ世に出る事の無かった3p。どこまでも遠い8s。ハイレベルな三者が持てる力で全力を尽くしたがゆえの決着図。


決着

結果

それぞれのチーム事情があり、半荘単位でみたら最善じゃなかった打牌があったかもしれない。ただハイレベルな三者がチームの想いを背負ったからこその対局で素晴らしい名局だったと思う。観戦していて、本当に楽しかった。

この観戦記では目立たなかったが、いもーけんは絶望的な状況から見事なラス回避で、じゃすどっとに対して非常に厳し条件を押し付けたのだった(四麻最終戦でトップラスを決めた上で約3万点差以上が必要になった)。実質的な勝者はいもーけんだった。

一応その後の結果を添えておくとLAST STAND(とらふく)は無念の敗退。ぽてっとモンスターズ(いもーけん)とじゃすどっと(NINAI)は78,9P差でぽてっとモンスターズ(いもーけん)がファイナルに進出。

オーラスの三倍満は着順アップを含めて99Pの和了だった。これが無ければファイナル進出チームは違っていた。この結果自体は後付けだが、それも含めての名局だったと思う。

高難易度の半荘を制した NINAI
最終的な勝者 いもーけん
チームを背負い意地を見せた とらふく

三者三様それぞれが己の全てをぶつけ合った事で生まれた素晴らしい名局だった。

対局者の皆様お疲れ様でした!!

雀魂牌譜:https://game.mahjongsoul.com/?paipu=240713-29edb482-7a8c-448f-8a2c-2fb384f4fe18_a798824100

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