リーチのキホン

前回のノートはどこに向けてのノートだったのかイマイチ曖昧で反省しました。今回は雀傑〜雀豪ぐらいの実力の方に向けての内容になります。私の独断と偏見が多いに混じってますが、少しでも参考になる事があれば幸いです。




攻撃こそ基本

麻雀の基本は攻撃です。和了という行為は自分の点棒を減らさず相手の点棒を一方的に減らすという、とてつもない破壊行為です。そして点棒を増やさないと勝てないゲームですので攻撃は全ての基本になります。私見ですが王座の間まで辿り着くには攻撃がある一定の水準に達していれば守備は本当の本当に必要最低限で大丈夫だと思ってます。守備も勿論大切ですが、非常に高い技術が必要な上、効果が出ているかどうかが中々分かり辛いので、兎にも角にもまずは攻撃からというのが私の持論です。また麻雀というゲームの性質上、攻撃型のプレイヤーと守備型のプレイヤーでは攻撃型のプレイヤーの方が勝ちやすいとも思ってます。将来的に守備型のプレイヤーを目指している方でもまずは攻撃型プレイヤーとして一定の水準に達してからスタイルチェンジするのがオススメです。



最強の攻撃=リーチ

攻撃が大切という事は前項で述べた通りですが、その中でもリーチという役は非常に強力な役です。三麻においては一発確率が約20%、裏ドラ確率が約40%になります。ドラも役も何も無い手でもリーチという役が存在する限り「リーチ、一発、裏裏」という満貫へのルートが常に存在しております。またどんな配牌からでも狙う事ができます。この役を使いこなせるかどうかで勝率が大幅に変わってくると言っても過言では無いです。

このノートではリーチの基本について書きます。私の中での「基本」とは大体合ってるだろう、数字で言うと80%は合っているという意味です。逆に言うと20%は間違っている、いわば例外の局面が存在します。私は基本を押さえた上で20%の例外を探す事が雀力の向上だと捉えております。


先制リーチ=ぶっ壊れ

リーチという役が強力だという事は前項で述べた通りです。その中でも先制リーチは特に強力です。王座の間でのデータになりますがリーチ成功率は約54%、和了時の平均収入は9000点超です。こんな破壊力を持った役が聴牌確定待ち不問で飛んでくるのですから、先制リーチを受けた側はたまったもんじゃありません。

リーチの平均巡目は8〜9巡目です。つまり8巡目以内での先制リーチは一方的な蹂躙である事が多いのです。早い巡目のリーチは積極的に曲げましょう。はっきり言うと8巡目以内の先制リーチはリーチ判断がほぼ必要無いレベルです。

両面待ちは勿論、嵌張待ち、辺張待ち、シャボ待ち、単騎待ち、どの待ちでも8巡目以内先制であればリーチするのが正解です。例外の1つとしては役がありダマで4飜、6飜、8飜が確定している場合はリーチ効率が著しく下がるので一考の価値があります。それ以外は親だろうが子だろうが打てるリーチは全てリーチしましょう。大体それで合ってます。何なら役アリ4飜、6飜、8飜のケースでさえ両面以上の待ちなら手牌最終形として基本曲げ有利です。

早い巡目で愚形待ちリーチをかけたら反撃にあって満貫、跳満に振り込んでしまったという事は往々にしてありますが麻雀なんでそういう事もあると割り切りましょう。極端な例ですが三面張が辺張に負けたらからといって「三面張で辺張と勝負したのは間違いだった」とは思わないでしょう?麻雀なのでそういう事もある、と割り切りましょう。愚形待ちだろうがなんだろうが早い巡目での先制リーチにはそれだけの価値があります。仮に手痛い反撃にあっても「正解を選んでるから問題無い」「100回やれば大体60〜70回は勝てる」という強い気持ちを持つ事が大切です。

また中々気づきにくい副次的な効果で、見えないところで周りが勝手にオリてくれて、結果的に相手の和了を潰しているケースもそれなりにあります。リーチには単純に和了に結びつく、つかない以上の効果があります。



ピンフドラ3問題


役アリ確定4飜はリーチし辛いという事を前項で書きましたがその最たるものが平和ドラ3聴牌。ツモ損の発生する三麻では直撃の価値を重く見て、有識者の間でもリーチかダマかで意見が分かれるところです。…がここでは敢えてリーチするべきだと主張します。理由としては和了の48%はツモです。どうせリーチをかけようがかけまいが半分近くはツモってしまうのです。そうなるとリーチしなければピンフ、ツモ、ドラ3は確定満貫ですがリーチをかける事によって一発、裏ドラの抽選を受け倍満までの打点上昇は十分に射程圏内です。出る待ちはリーチしても出てくる!と割り切ってブンブン腕を振っていく事を私はオススメします。また統計上はピンフドラ3はダマでもリーチでも期待収支は殆ど同じです。どっちを選んでも大きなミスにはなりえないので気楽に選択して、少しでもリーチのメリットを感じたら積極的にリーチを打ちましょう。



実戦譜からのリーチ判断

8巡目先制の局面

待ちの強さは基本的に、両面>シャボ>嵌張≧辺張>単騎 の順番です。両面の上位に三面張等の多面待ちが存在しますが出現率が低いのとリーチ判断に影響しない(確定でリーチする)のでここでは無視します。両面待ちは最強の待ちなので8巡目先制は何も考えずリーチでOKです。

問題は上記のような局面です。辺張待ちはほぼ変化しないのでリーチで問題無いのですが嵌張待ちは一手変化すると最強の待ち両面へと変化します。心理的にはピンフも付くので2P、6Pを待ちたくなる局面ですがここは思い切ってリーチを打ちたいです。理由として現実的に嬉しい変化が6Pしか無い事です。2Pも一応嬉しい変化ですが2P自体が残り2枚しか無いのと運良く変化したとしても狙い目の1Pが残り1枚です。6Pを引く確率と4Pを引く確率がほぼ同じとするならば、6Pを引くまで出和了が出来ない機会損失と4Pを引いた時の一発抽選と裏ドラ抽選を捨てる事になるのでこれは一刻も早くリーチをかけたいです。

リーチをかけて一発で2Pや6Pを引いてきても「正解を選んでるので問題無い」と割り切っていきましょう。目安としては手変わり枚数×2=待ち枚数までのケースならば何も考えずにリーチでOKです。早い巡目の先制リーチにはそれだけの価値があります。


数少い例外の局面 3S切れば3P待ち聴牌だが…

上記はリーチをかけないどころか聴牌すら外すという例外中の例外の局面です。上記の局面は3Sを切れば3P待ちの聴牌ですが2Pを切って一向聴戻しした時の変化があまりにも魅力的過ぎます。嬉しい変化としては5P 6P 9P 1S 2S 4S 5S の7種23枚の受け入れがあります。あまり嬉しく無い3Sでさえ一気通貫の嵌8P聴牌に取れるという保険付き。筒子を引いた時は3Sを切っていても吸収出来ますが、索子の受け入れが全滅します。つまり1S 2S 4S 5S の4種14枚が裏目になります(3S含めると5種16枚)。流石に1種3枚の3Pの為にそこまでの犠牲を払えないので貴重な先制リーチの機会を泣く泣く捨てて一向聴戻しが有利と見ます。聴牌取った時の待ちの悪さと良形変化の多さが判断基準です。逆に言うとこのレベルじゃないと聴牌外しはするべきでは無いし、愚形でも先制リーチした方が幸せになる事が多いです。手牌が変化しない(しにくい)形であれば多少待ちが悪くても積極的にリーチしていきましょう!

また一応補足ですが上記のケースで唯一の裏目である3Pを引いてしまった最悪のケースでも振聴三面張には取れます。振聴とはいえ三面張リーチは大正義なのでそうなったらそうなったで気持ちよくリーチを打ちましょう!(先制時に限る)


1Pを切るか1Sを切るか

上記の例は嬉しい変化があるものの待ちの形がそれなりに良い形なのでリーチ有利と見ます。一応手変わりを見てダマという選択肢も無いわけではないです。

ここではリーチを打つ選択をしたとしましょう。問題は1Pを切るか1Sを切るか。亜両面かノベ単かの選択ですが冷静に待ち枚数を数えてみると1‐4P待ちは残り5枚。1‐4S待ちは残り6枚で僅かではありますが1‐4S待ちが有利です。また感覚として端牌の枚数を意識するのが大切です。1‐4  6‐9 が待ち最強の両面界の中でもさらに最強と言われているのは1と9という使い辛い端牌をキャッチできるからです。それを踏まえて上記の例を見てみると1‐4P待ちはキャッチしやすい1Pが3枚も見えてしまって残り1枚です。仮にこれが4Pが頭で1Pが3枚残っていれば単純枚数に差はあれど和了やすい残り牌は同数ですので、どっちの待ちにとっても個人的には大差無いです。話を戻して上記のケースだと単純枚数の差と端牌の残り枚数から上記は1‐4S待ちが有利になります。



理想的四面張

今までは先制リーチばかり見てきましたが追い掛けリーチはどうでしょうか?統計上リーチの約77%はシャボ待ち以上の良い待ち。リーチ者からみて6枚以上待ち牌が残ってる良形確率は約50%になります。辺張、嵌張でも積極的にリーチをかける私でもシャボ待ち以上の多面待ち確率は76%になります。先制リーチを過小評価しては手痛いしっぺ返しをくらいます。相手の先制リーチには基本オリですが、上記のような理想的な聴牌は流石に4S叩き切ってリーチで押し返します。字牌待ちを含んだシャボ待ちは両面待ちクラスの和了率になりますので良い形のシャボ待ち以上は追い掛けリーチを検討しましょう。

先制8巡目以内はほぼ確定でリーチ!というように追い掛けリーチは一概にシステム化するのは難しいですが、両面クラスの和了率がある手牌は積極的に追い掛けリーチが有利と見ます。何故なら両面クラスの和了率で追い掛けた場合は80%の確率で五分五分、20%の確率で相手が愚形のケースがあるので有利!となります。逆に嵌張待ち、辺張待ち以下の愚形はよっぽどの理由が無い限り追い掛けリーチは自制しましょう。統計が示す通り80%近い確率で不利な体勢でのめくり合いになります。



手牌最終形

良い形のシャボ待ちは追い掛けリーチを検討すると言いましたが上記のケースはどうでしょうか?手牌の形としては3Pを切れば悪い形のシャボ待ちになります。悪い形のシャボ待ちはセオリーから言うと追い掛けリーチはしないほうが良いです。しかし打点を見た場合ツモり三暗刻形で打点最終形です。リーチをかけてツモって裏3引ければ倍満まで見えている手牌です。追い掛けリーチするかどうかはかなり微妙な判断ですが、不利な体勢と理解した上で敢えて追い掛けリーチするのはアリです。何故なら麻雀は不利な体勢でも勝ってしまう事があるゲームだから。今回のケースは勝った時のリターンが大きいです。いつもいつも有利な状況ばかり選べないのもまた麻雀です。

ベタ降りするか追い掛けリーチするかの2択で難しい判断ですが手牌最終形という事を重く見るのであれば追い掛けリーチです。最大で倍満になる打点可能性がこの手の最大のストロングポイントですので、待ち選択はツモリ三暗刻に受けたいです。



引き算打法のススメ

7Sを切れば嵌3P待ちの聴牌

上記の局面ですが聴牌を取った場合、和了牌になる3Pは山に何枚あると読みますか?これを突き止めていくとなると凄く難しい技術が必要になりますが、今回は敢えて難しい事を考えないようにします。シンプルに考えた場合の正解は山に残り3枚です。どうして3枚になるのか?答えは「河に一枚しか捨てられていないから」です。これが引き算打法です。

引き算打法とは目に見える情報だけを確かな情報として河に切れて無い牌は全て山にあると考える。非常に都合の良い解釈です。しかし馬鹿にする事無かれ、麻雀界の最高峰Mリーグの舞台でもしっかりと実績を残している由緒ある打法です。

切り出しの仕方からあの人とこの人はこのブロック構成があって…そうなるとこの牌は山には何枚くらい残ってそうだな、というような高度な思考出来る人は本っ当に一握りです。

1枚しか切れて無いから残り3枚山にあるぞー!リーチ!といった感じで能天気にリーチするくらいが丁度良いです。どの道麻雀には王牌があるので完全に読み切るのは不可能です。分からないものをいくら考えても分からないので出来るだけシンプルな思考をした方が良い結果が出やすいです。


まとめ

ここまで如何だったでしょうか?繰り返しにはなりますがリーチという役は本当に強力です。適切なリーチは和了れずに振り込んでしまうケースを含めても期待値は平均+3300点になります。つまり、10回適切なリーチを打てればそれだけで平均して+33,000点の収支になります。如何に適切なリーチをかけるかが麻雀において重要かという事です。

今回紹介したケースはセオリーと言っても良いケースが殆どです。先制両面待ちリーチは殆ど誰でもかけると思いますが、先制愚形待ちリーチはどうだったでしょうか?ふんわりとダマにしていませんでしたか?失敗を恐れずにリーチをかける事の大切さを少しでも認識してもらえると嬉しいです。

またあくまで「基本」なので本ノートで紹介したのと似た局面でリーチを打てば結果はどうあれ8割は正解だと思って下さい。しかし2割は間違いです。それがとんでも無い間違いのケースもあります。セオリーを押さえた上で例外を見極める。最初の方でも述べましたがこれこそが雀力の向上です。ただそのレベルに達するにはまずはセオリーとは何かを理解、体感しなければなりません。

セオリーに対する理解に少しでも貢献できればと思います。それでは、またよろしくお願いします。

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