先日の我が軍 第9節 アーセナル戦(アウェイ)

世界最遅リバプールvsアーセナル感想へようこそ。
フフフ…これだけ遅いのだから、他のレビューや解説と比べてさぞ濃厚で詳細な内容が期待できる…そう思っただろう?
かかったな!!ただ遅いだけだ!!そして今日はスタメン表は無いぞ!!

ところで今夜のブライトン戦は、メゾンアンフィールドの兄貴、ミーティの兄貴と共に実況スペースをするぜ!!良かったら聞きに来てね!!!

では感想、いってみようか!!


前半

アーセナルのハイプレス

今季、相手を釣り出すことで発動する擬似カウンターの質に自信ニキな我が軍であるが、この日はアーセナルのハイプレスに窒息してしまった。
アーセナルのハイプレスは、LCHメリーノを前に出して、4231でビルドアップを開始する我が軍のRCHライアンを背後から捕まえ、2Tはこちらの2CBにしっかりと圧力をかけ、パス回しの仕方によってはGKまで追い回してくるというもの。
ここで憎いのがWGのポジションで、アーセナルの2CHのちょうど間くらいの高さに居ることが多い(全体の形とすると4312や4132と表記したくなる)。つまりメリーノを押し出すことによって狙いたくなるRCHライスの脇をやんわり埋めつつも、こちらのSBへも比較的早くたどり着ける絶妙な位置取りなのだ(というか、2CBには十分な圧力がかかっているから、我が軍SBがSB然とした位置にいる限り、そこにボールが来る流れは非常に読みやすいので早くスタートが切れる)。よってキープ力に優れるカーティスやサラーをそのライス周りに流して受けさせようと思っても、縦パスに高い精度が求められるし、差し込んでみてもライスやCBの迎撃が余裕で待っている、我が軍にしてみれば地上から前進するのはとてもしんどい状態であった。
当然簡単にロングボールを選ぶシーンが多くなる。結果的に同点弾に至るCK獲得に至るケースもあったのの、後方ビルドに関して言えば、基本的に能動的に行えたポジティブな要素はなかったように見える。強いて挙げるなら、トレントを囮にして釣り出したマルティネッリの裏で待つカーティスに、コナテが秀逸なパスをつけたシーンくらいだろうか。

しかし、確かにアーセナルのハイプレスは素晴らしかったものの、前線のサポートになるのか、局所的数的優位を作るためにガッツリ降りるか、というハッキリした選択肢を設けず、あくまで中途半端な位置で(この試合での構図的にはという意味で、ポジショニング単体で悪いというわけではない)前後を繋ぐ出口タスクに注力したカーティスの使い方をもう少し工夫できたかもしれないとは思った。ガッツリ降りるなら、例えば2CHの面々とわざと被らせ相手守備者を過負荷にしてみたり、3センター的に振舞ってアーセナル2T-WG間を狙うとか。前線に行くならサラーとヌニェスに思い切り近づけて細かな連携でプレスを回避するとか、何もできないってことも無かったのでは?とは思えた。
またライアンやマッカのアクションや工夫も乏しかったし、基本的に中盤メンバーにはかなり物足りなさを感じた。

ちなみにだが、ロングボール後のセカンドボール奪取に成功したり、ファール等でアーセナルをゾーン2辺りまで押し込んでから、つまりハイプレスをかけにくい状態にできるようになれば、悪くない保持から良い攻撃もちょくちょくは見せていた。というのも、ハイプレスも撤退守備ブロックも共にハイクオリティなアーセナルだが、ミドルブロック中の押し上げのギャップや、前線メンバー間の守備における優先順位が狂うことがちょくちょくあり、そのギャップを突けたシーンもあったのだ。またこの際、トレントが上がりロボを後ろ残し、カーティスが降りてくる3-3のような形が実際見られたのだが、こういう工夫がハイプレスを受けている最中でも行えると良かったよね〜、とはどうしても思ってしまう。
無論、スロット政権はまだ生まれたて。この辺りは様々な引き出しが実装されるのを待つしかないというのはそうなのだが。

我が軍のミドルブロックの脆弱性

我が軍はお馴染みの424ミドルブロックでスタート。アーセナルは424をベースにビルドを行う。まず2Tのトロサールが中央で、ハヴァーツが右大外からRHS(右のハーフスペース)を主戦場にしてそれぞれ出口タスクを担当。そしてWGは常に高い位置で裏を狙い続け、我が軍SBをピン留め。この4人が我が軍バックラインと2CHの4-2の意識を集め続ける、タスクが固定されたメンバー。
対照的に後方ビルドの面々はポジションや役割がシームレスにコロコロ変わる。4-2をベースにしつつも、GKまでボールを下げてこちらのプレスのスイッチのキッカケ()をチラつかせつつ、SBがインサイドに入ってきたり、サリーしてみたり、左肩上がりの3バックにしてみたり、それに伴って数人(主にLBティンバーとLCHメリーノ)を前線メンバーに加える形で出口を増やしてみたり…等々、良い時のペップシティを思わせるようなシームレスで刹那的な可変で我が軍前線メンバーの守備基準を狂わせ続けていた。
構造の説明に終始してしまったが、実際にアーセナルのこの2分隊が見事に接続し、後ろから順繰りに外して何度も我が軍陣地に侵入したり、この試合最初のゴールにも繋がった、一発で裏を狙うパターンからもチャンスを作ったりと、アーセナルのビルドと保持の構造はしっかりと我が軍の芯をぶっ叩いていた。

まとめると、我が軍ミドルブロックは、ハーフラインを跨ぐ形で「コンパクトだけど前も後ろも管理し切れていない」状態に陥っていた。プレスに行きたくてもアーセナルの前線4枚が気になる2CH以降の面々は前に着いて行きづらいし、前線は前線でそもそもプレスのキッカケを作りにくいということ。
失点に繋がったセットプレーでも顕著だったが、このようにアーセナルが我が軍を攻守共に研究、準備してきたものの影響がガッツリ出た前半だった。

サカ!!!違法!!!規制!!!と、コナテすんげぇ〜!って話

ところで、試合中に何度かツイートした通り、
トロサール!!!規制検討!!!
サカ!!!違法!!!規制!!!
メリーノ!!!監査対象!!!

であり、アーセナルさんはきちんとルールを守って欲しい。ルールはルールである。
トロサール、サカの2人は凄みが分かりやすかったと思うが、メリーノもかなりえぐかった。我が軍ミドルブロックの項で書いた、後方ビルドから前線に移動するタスクでもそうだし、押し込んでからもそうなのだが、絶妙な位置取りで局所的数的優位を作り、更に自分よりオンザボールで脅威になれるマルティネッリを自由にするのがとてつもなく上手い。また背も高いのでペナルティエリアに侵入してクロスのターゲットになることも可能と、ちょっと使いやすすぎんかと。
他のメンバーもとっても上手かったが、特にこの3人は輝きまくっていた。

そしてそんな色々キッツイ中、何度も相手のカウンター等を圧倒的守備能力で抑えていたコナテさん。今季のアイツやべぇぞ。スロット効果によってオンザボールの振る舞いが非常に良くなったことは周知の事実であるが、守備面も大きく成長している。なんかやたら速く強くなったようにすら見える。
彼が来年のバロンドールで候補者にノミネートされなかったら…俺達もみんなで授賞式をボイコッ………(私はロドリの受賞にはなんら文句は無いものの、マドリーの彼もまたバロンドールに相応しい選手だと思っています。)

後半

スロットが行った対策とその効果

まずは保持から見ていこう。
後半冒頭から我が軍は4123的な色が強くなる。マッカは前半より左前に移動に明確にライアンから離れ、カーティスと共にライスを迷わせる意図が見られた。これにより1アンカーとなったライアンは、相手2T辺りまで降りながら受けることでLCHメリーノを釣り出す。よって広大になったアーセナルのバックライン手前を、ヌニェスやサラーで使っていこうぜという仕組み。
カーティスとマッカが陣形全体の中で左右対称ではなく、マッカがLHS、カーティスが中央というポジショニングをベースにしていたのは、この前線2人がRHSバックライン前後をシェアするためというのがひとつ。あとは比較的右サイド寄りに顔を出しがちなライアンとマッカの間にカーティスを降ろすことで、ライアンをマークするメリーノを迷わせる意図、これら大きく2つの理由があったと思われる。

次に守備。
前半の424ミドルブロックから、424セットから1Tの位置に居るプレイヤー(ヌニェスが出払ってる時はカーティスだったりソボだったりもする)がCBからGKまで積極的にプレスをかけるようになる。この時トップ下位置にいる選手が隠せていない方のCHをマークしつつ、サイドを遮断するようなプレスを敢行。
アーセナルが後半どの程度後ろから丁寧外して繋ぐ意識を持っていたかは不明だが、簡単に蹴らせる回数は明らかに増えていた。

ガブリエウの交代という無視できない出来事と、それによって?前半よりアーセナルが引き気味になったことに隠れていたが、スロット率いる我が軍は、前半の劣勢を受けてこのようにかなりクリティカルな対応をしていた。
尚、リアタイ時の私はどちらの変化にもまともに気づいていなかった!!!

ゾーン3での課題

こんな流れから前半よりボールを握り、能動的にプレーできるようになった我が軍だが、アーセナルの撤退守備ブロックをしっかり崩すようなシーンはほぼ無かった。
配置に関しては、ゾーン2辺りまでボールを進めると、トレントをインサイドに入れる等の変化を加えるのだが、これがライアンと丸被り。明らかに非効率的な配置だが、あくまでその位置からの中距離の浮き球やミドルシュートなどに拘っていた。
トレント以外の選手に関しても、単調なミドルシュートと、詰まった状態からペナ内選手とのタイミングの合っていないクロスは同様に多発しており、配置を含めた崩しにおけるシステマチックなパターンの不足を露呈。
クロップ政権下においても象徴的だったこの課題だが、解決の糸口さえ見えない真っ暗のトンネルの中を真顔で約10年歩き続けた我々からすれば、チーム始動2,3ヶ月で解決されないことくらいノーダメ。しかし他の課題に大きな改善が見られる中、ここだけわかりやすい大きな変化が見られないのは少々気になる。
ちなみに、私はスロット政権下のフェイエノールトを数試合見た歳、「崩しはそんなにか?」と思った記憶が微かにある、ということをここに記しておく…。

そんなこんなで、見事な世陸カウンターからの同点弾や疑惑のシーン?などありつつ、これ以上の大きな戦局の変化は無く試合終了。


スロットの対応は本当に早いか?

解説者なども含め、「スロットの戦術的対応は早い」と評する意見が時折見られる。しかし少なくとも私は彼の対応が早いと思ったことは今のところはない。
前回のnoteでも書いた通り、たしかに対策の精度は高いし、そのバリエーションも豊かではある。しかし、実際行われるクリティカルな対応の殆どはハーフタイムを挟んでもたらされるもので、この試合においてもそれは同様だった。
対策のタイミングについては、ハーフタイム前に行ってしまうとハーフタイム中に対策の対策を構築されてしまうというリスクを懸念して、前半はリスク承知であえて放置するといった考えもあると聞くので(森保さんとかもそっちの人だと評する識者が居る)、どれが正しいということも無いのだろうが、少なくとも「早い」という評価については「ほんまかぁ?」と思っている。
確かに今シーズンここまでの試合では、これほどまでに試合の多くの局面で制圧されることも無かったのでそれでも良かったかもしれないが、この試合に関しては、内容を考えれば前半で2,3点差付けられていてもおかしくなかった。今後もアーセナルと同質の対策を練り実行してくるチームは増えることはあっても減ることは無いはずだし、それ以外のパターンでも戦術的ジャンケンの初手で負けることは当然あるはず。果たしてこの運用を継続していくべきなのか、私は少し懐疑的である。


ふふふ…世界最遅我が軍vsアーセナル感想はいかがだっただろうか…。今回も楽しんでいただけたかな!!

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