「アルプス席の母」感想

高校球児の全力パワフルの生き方に脱帽した。プロ野球も夏には甲子園野球も見るけれど、その野球をプレイする選手のバックボーンまでは全然知らなかった。試合のベンチ入りすら叶わない選手もいるし、怪我で一番大事な時期の野球が出来なかったり……
でもどんな選手でも、甲子園に行くという共通の目的のために一致団結して奮闘している姿はカッコ良すぎて泣きそうになった。普段応援している野球選手や甲子園野球選手も、様々な苦悩や努力が積み重ねて積み重ねて、あの大舞台に二本足で立てている、応援させてくれてありがとうと感謝したくなる。
高校野球児の親達の苦悩もリアリティが過ぎるくらい鮮明に書いてあった。選手がベンチ入りしてるかしてないかで競う親や推薦や一般で野球部に入れたという親……選手同士は一つの目的に対し切磋琢磨しているというのに、親ときたら下らないプライドで張り合って、親バカと言う言葉がピッタリな人達だった。でも親は親達で息子の応援という目的はみんな一緒な訳で愛に溢れているなぁとも感じた。
一つのことを諦めようとしている人に対し、周りの人間が寄り添って考えを翻意させる、人からしか得られない暖かさや優しさが詰まっている最高の小説だった。
現役で活躍しているプロ野球選手もこれから活躍する甲子園球児も、どんな選手にも親というバックボーンがあって、選手自身の血の滲む努力が詰まっているんだなぁと、野球を見る目が変わる最高の小説だったなぁ。

「どんなに辛いことでも、自分が大好きなことがあればどんな状況でも楽しめる、その自分の「大切な楽しい」事を持つ事が生きていくという事なのではないだろうか。」

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