芸術は爆発か?/始まりの語り
【始まりの語り】
起こらないと思っていたことが起こる。
ロシアのウクライナ侵攻は僕の中でそんな出来事だった。
映画やゲームの中の世界でしか起こらないと思っていた核の使用。
5分後に世界が終わっているかもしてない緊張感。
教科書の中でしか知らなかった冷戦の緊張感を体感的に理解出来てしまった。
この時間も映画館の中では「安全な」爆発が起こっている。
誰も死ぬことのない安全で楽しい爆発。ゲームの中では心を持たないNPC(ノンプレイヤーキャラクター)が今日も爆発の被害にあっている。
痛みのあるリアルで死に直結するような爆発と、安全で痛みのない楽しい爆発。
80年代に岡本太郎はCMで「芸術は爆発だ」といった。その言葉は世間一般に芸術家を象徴するワードとして40年経った今でも機能している。
太郎のいう「爆発」とは、対極にある物事がぶつかり合う中で生じるエネルギーのことを指す。ぶつかり合い、定まることを知らなず、ただただ。
岡本太郎の言葉を借りて、その言葉の持つ引力を借りて、この2022年の現在の爆発を考え、それらをいくつかの語りにしていく。
語りを集め、次に引き継ぐ。その為に。
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「芸術は爆発か?:プロローグ」
日程: 7月23日(土)-8月14日(日)
休廊日:7/25(月)、7/26(火)、7/27(水)、8/3(水)、8/10(水)
時間: 13時-19時
会場: 隣人ART(〒103-0016 東京都中央区日本橋小網町4−4 日本橋ビル 3階 バトラーズ)
ディレクションチーム:カワムラシュウイチ/ミヤモトカズユキ
参加作家:MIOKO / BFdBF /杜夫
仮参加作家:白丸たくト/ball gag
【プログラムの形式】
このプログラムは、「展覧会を制作している空間を提示する」ものである。
この空間は、2つの制作が同時に展開される。
①展覧会を制作する際のリサーチ、方向性の整理、作品のリサーチなど展覧会の骨格を制作。
②展覧会に合わせて制作している作品。
この2つの制作に相互作用し変化していく空間をを提示する。
また、展覧会の制作段階である為、参加が確定していない「仮参加」という枠が存在する。
仮参加者は、展覧会を構築のコミュニケーションには参加しているが、作品を展覧会に出すかまではまだ決まっていない段階である。
【プログラムステートメント】
「芸術は爆発だ」という言葉は、世間一般の芸術家に対するイメージを良くも悪くも形どるものとして機能してきた。
このプロジェクトではその「芸術は爆発だ」という言葉に着目し、展覧会を制作する過程を提示しながら2022年に「芸術は爆発だ」という言葉をどんな意味を持ちどのように機能するのか検討する。
【開催にあたり】
このプログラムは、展覧会の制作最中であり、パフォーマンス/インスタレーションであり、もしくは何らかの演劇である。
私はこれまで制作段階という条件の可能性を模索してきました。制作段階、途中段階は、完成に閉じらる前の変化の可能性が確保された条件です。その制作段階でしかできない事柄を取り扱い、そこから新しい形式の発明を目指して実践しています。ドリルというプロジェクトでは、複数人の作家が制作段階の作品を提示する場を構築し、他者からの介入とそれに伴う変化の可能性を模索するものでした。今回行うプログラムもこれまでの実践の延長線上にある「展覧会を制作している空間を提示する」です。
ディレクター カワムラ シュウイチ