ピンをカシメる順番
Premium Trapper 2009(clip pint blade and wharncliffe blade)
Type : 2 blade lock back & slip joint folder
Blade : RWL34
Bolster/Handle : Stainless steel / stag
Blade Length : 3" (76mm),
Closed Length : 3 11/16" (94mm)
先日、NEMOTO KNIVES(https://twitter.com/NEMOTOKNIVES)さんがtwitterで書いていた文章、「それなぁ〜、わかるわ〜」って感じで、
とても共感しました。さすが日本のカスタムタクティカルナイフ界の雄、
含蓄のあるコメントです。
おそらくすべてのモノ作りに携わる人たちに共通するひとつの真実ではないかとも思います。
とても大事なお話なので以下にそのコメントをもう一度転載します。
ーーーーー「オリジナルの例えに、よく「解の出ている数式」と例えます。使いやすい、実用的な良く出来たデザインの解を、仮に10としましょう。出来上がった作品、つまり解が「10」であるならば、使いやすく、何の問題も出ない。で、それを導くのが数式です。数式は長年時間を掛けて先達が導いてきた物もあれば、近年大ヒットした作もある。ある人は5+5、と式を作るし、またある人は5×2、と式を編む。これがオリジナルと言う事です。だから、ラブレスが導き出した数式、2+3+5、でなければ駄目と言う事は無いんです。割り算使ってもいいし、因数分解してもよい、人が使ってない式を編み出す、これがオリジナル作を作る、と言う事です。」ーーーーー
NEMOTO KNIVESさんのおっしゃる通り、解を導くために編む数式に制限はないのです。その数式こそがそれぞれのオリジナルというか個性というか、
うぅ〜む、深すぎるっ!!!
・・・私はと言うと・・・屋号のslowの通り、きっと1/100を足し算で1000回積み上げながら『10』の解を目指すことしかできないタイプなのかもしれませんねー。
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と、言うことで、今回は最終工程でのピンのカシメの順番についてご紹介します。
・・・これは、いまさらですが私の編んだ数式です。信じるか信じないかはあなた次第です。(昨日、「やりすぎ都市伝説2022春」観ました・・・)
以下の画像はピンをカシメる前の状態です。
ほとんどのトラディショナルスタイルのフォルダーは、マルチブレードの特殊なパターンを除けば、通常3〜4箇所のピンをカシメることになるのですが・・・
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まず最初は、ハンドルのセンターにあるピンをカシメます。
なぜかと言うと、私の場合、ライナーの内側にバフをかけてミラーにします
ので、その際の熱でどうしてもハンドル全体が外側に反り返ります。
特にスタッグやジグドボーン等の素材は熱の影響で大きく反りが出ます。
その反りをギューっと抑え込むためです。
仮にハンドル・ライナーが反り返っている状態でピボットピンからカシメてしまうと畳んだ状態のブレードのポイントがセンターに入っているかどうかが確認できません。
2番目に後ろ側のピンをかしめます。
以下がその画像です。
センターと後ろ側の2本のピンをカシメた後のピボットピン付近の状況です。
ライナーが外側に反り返り、それぞれのライナーとスプリングの間に0.1mm程度のスキマがあります。
最後にピポットピンをカシメます。
2.6mm径のピボットピンが約5〜6mmくらいの大きさになるまで叩きまくります!
ピボットピンをギューっとカシメた後のライナーとスプリングの接触状態が以下の画像です。
スキマもほぼ無くなりました。
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最後にボルスタを仕上げる際のちょっとしたコツというかハックというか・・・をご紹介します。
カシメたピボットピンはおそらくボルスタ表面から0.5mm程度の深さまでしかふくらんでいません。(ナイフを分解した際に観察すればわかります。)
つまり、その部分だけでボルスタと密着しているとも言えます。その密着部分をできるだけ削り落とさないようにして密着面積を多く残した方が、後々のピボットピンの密着が緩みその輪郭が見えてくるトラブルを避けることが期待できます。
そのためには、カシメたピボットピンの頭を削り取る際に完全に削りおとさずに、ボルスタを磨く過程の途中で面イチになるように調整します。
以下の画像は、カシメたピボットピンの頭を削り落とした後、#120のサンドペーパーをかけたものです。この段階ではカシメたピボットピン周りにできるドーナツ状の環状くぼみを完全に削り落としていません。ボルスタを段階的に磨いていく過程の#400〜#600のサンドペーパーあたりまで磨いた時点で、この環状キズがなくなるようにしています。
Let's tryです!