ナイフのデザインどうやってるの?
Premium Trapper 2009です。
これはモデル名の通り、2009年から製作しているナイフです。
…もう14年も前になるのですね〜! 月日が経つのは速いですね〜…
歳もとるわけですよ!
これは故Tony Bose氏の深淵なるアドバイスに従い製作した最初のロックバック付きの2ブレードトラッパーです。
細身のクリップポイントブレードに、みんな大好きワンクリフブレードを組み合わせ、その片方にロックバックをつけました。
このモデル、けっこうウケましたね! このタイプの2ブレードトラッパー、当時、ありそうで意外に無かったんですよ。
2009モデルだけでも現在までに30本くらい製作しています。
これ以外のロック付き&スリップジョイントのモデルを合わせると、今までに100本近くは製作しているんじゃないでしょうか。
他にもロックバック&ロブスターの組み合わせや、ロック付きのマスクラットタイプ、ロック付きのストックマンもあります。
…マルチブレードでロック付き&スリップジョイントの組み合わせが可能なのはオールドスクールの利点だと思います!
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…このタイプのナイフ、その後、他のナイフメーカーの多くが参入してくるかと思いましたが、意外にもほんのわずかでした。
以前にnoteの「パズル・・・知恵の輪?」で製作手順をご紹介しました。
それぞれのブレードとスプリングの合わせ方を完全に理解していれば、それほど難しくはありません。
… なのに、なぜみんな作らないの?…やはり面倒くさいのかな?…(メンドイよ…
…これ、若いナイフメーカーの皆さんにぜひトライして欲しいと思います。ロックバック、スリップジョイント、それぞれのスタイルの理解度がグンと上がりますよ!
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ちょっと前にX(旧Twitter)上で「ナイフのデザインどうやってるの?」という話題で盛り上がりましたね!
…私はパソコンで描いていますのでデジタル派です。使用しているソフトはアドビのイラストレーターです。
…90年代、三流イラレ師だった私は、NASAから送られてきた地上の衛星写真を下敷きにロードマップ等をイラストレーターを使って泣きながら作っていました。…レイヤーが200とか300とかあるようなデータはとても重かったです。(マシンスペックがぁ〜… 泣
…ですので、ベジエ曲線を描くのが超得意です!
元ネタがあるナイフは画像を下敷きにしてトレースしたりしていましたが、自身のデザインしたナイフはイラストレーター上で直接描いていましたね…なので、ほとんど紙に描いたことはありません。
フォルダーに関しては、オープン時とクローズ時の姿を確認しなければいけないので、どうしてもデジタルが便利です。
パーツ(ブレード)を移動・回転させれば、その両方が簡単に確認できますので…
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私も、遅ればせながら当時描いたPremium Trapper 2009の図面をご紹介します。
実はこれ、現在までに2〜3回マイナーチェンジしています。
私、製作しながらけっこうマイナーチェンジするタイプです。
主にピン位置とかの変更ですが… 作っていくうちに、「ここはこう変えた方が作りやすくないか?」と思うとすぐに変更します。そして、その後の再製作の際に反映させます。
…こういう場合、やはりデジタルは便利ですね! チョチョと変更できますし…
直近で変更したところだと、数年前に生産終了したATS-34の在庫が尽き、鋼材をRWL-34に変更した時です。
ATSは厚みが2.5mmだったのですが、RWLは2.6mmになりました。わずか0.1mmの違いですが…その影響で、ATSを使用して製作していた時と同様に
製作すると、ロックバックのスプリットスプリングのリリースアクションが
ちょっと硬すぎるんです。
…なら、細くすればイイんじゃね?…と思いましたが、耐久性を考慮して、
以前と同様の太さで、長さだけ長くできないかと考えました。
ハンドルセンターのピン位置をブレード方向に移動させればスプリットスプリングは長くできますが、そうするとスリップジョイントのスプリングが短くなり、これは上手くない… そこで、直線だったスプリットスプリングを緩やかに湾曲させて必要・十分な長さを稼ぎました。その結果、ちょうど良いテンションになり解決しました。
この湾曲させる手法、デザインやサイズの問題でスプリットスプリングの長さを十分に取れない場合にとても有効です!
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… オマケです。
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ところで、たがやさんみを探す旅の途中、ある寺院を訪れました。
たくさんのマニ車が連なる参道を抜け、密教系寺院に到着しました。
見知った人の顔が必ず見つかるという五百羅漢の小径をめぐりながら、たがやさんみのあるお地蔵様を探していたのですが…
突然、深い霧の中に迷い込みました。…
「これはたがやさんの恩寵か? …それとも呪いなのか? もしかして異世界転生?」
後に聞いたところによると、近くの湧水を定期的に噴霧しているらしいです! …ウゥ〜ム、ちょっとビビった…
この寺院、チベット仏教のダライ・ラマ法王も訪れているらしく、そのお弟子さん達が現地で描いた極彩色の砂絵曼陀羅が見学でき、それはそれは圧巻でした!
お布施をしたら、サイン付きブロマイドをゲットしましたよ!
ここには、残念ながらたがやさんみはなさそうでした。
現在の世界状況、たがやさんと共に世界の平和を祈りましょう…