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パン屋にある惣菜パンが好き
ある時わたしは思った、雨宿りをするのに快適な街のスポットって意外とないじゃないかと。
とぼとぼと1人疲れて歩いても
雨宿りできる場所さえ無ければ、眼が瞬いてしまうよ
でもわたしは知ってるんだ
あの場所があることを
美味しそうなクリームパンの山間に
よく気づくともう出来た様なデキタテのサンドイッチ。横目を向けるとお客がいる
ちょっと邪魔かなぁ。と思って、
少し傾げたわたしも何だか街のモティーフのひとつ。いつの間にやら雨も止んで
夕方の淡いピンク色の不思議な光に包まれる。
軈て、来る夜は 遠い過去のように
とっても遠くて
まあそれで良い
とひとり呟く
選ぶこともできずに、頬を通り過ぎる。涙たちに
受け答えも着けずに
ただ何かの
どっさりしたパンをいくつか買ったのだ。
2005年8月25日、夢は途切れていた
浮かれたジレがわたしに向かって笑う
誰かの誕生日だろうし
わたしに取ってはしょっぱいクリームパンの山の味…
家に帰るとひとり鍵を開ける時の音が酷く重くて、奴がいることに気づいてはいた
「おい泣いてるじゃ無いか?失恋でもしたのか。」
棒読みかよ。
親父がソファに横たわって、ストリートジャーナルを読んでいた わたしは一息ついて言った
「ねえ、今の彼氏との縁の切り方教えてよ。きついぃんだな…」
ぽろぽろと涙が頬を伝う
ころころとわたしの喉から嗚咽が出て
親父はストリートジャーナルを小脇に抱えて、こちらへやって来た。
そして、デコピン。
どうしたって。縁は切れないものなんだよ。
うちの家はみんなそんなもんでサ
似たり寄ったりで、人情深くて
心に懐抱えたまま…大人になるしか無いんだよ
親父は次の日
コーリングしていた
ANAのパンフレットがあって時刻表だと知る眼はまだ赤くて腫れぼったくて、微かに痒い。わたしはこっそりと、パンフレットを持ち、お気に入りの自分の時間である、時刻表眺めを始めた
おい起きろ。
父の声だった。
2005年8月26日夕暮れ
父はただ言った
スーツケースやるから纏めとけ。わかるよな。
え?何が。
そこからわたしはロンドンに一人旅行に出掛けることとなった
置いてけぼりなんて喰らった気持ちは無いし
きっと思うに 青空の色に就いて考えるうちに
もうきっとロンドンに心は跳ねていたんだ。
気づくとアイマスクがずれていた。
おい起きろ。
そこに居たのは、よく見た幼なじみの顔だった。
ああ、そっか。わたしは一人で飛行機に乗れない。過呼吸があるからだ。でも大丈夫だよ
君がいるから
僕で悪かったな
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