【何度も下方修正!!】アステラス製薬- (2024年7月28日)
今日はアステラス製薬(4503)ついて記事を書いていきたいと思います。個別銘柄として個人投資家に人気で新NISAでの買い付けランキングでも10位以内にはほぼ入っていますね。色々と話題の多い製薬業界ですが、アステラスの業績はどうなっているでしょうか。見ていきましょう。
1.売上高・収益性
1-1.売上高
まずは売上高から見ておきたいと思います。以下に過去の売上高の推移をグラフで示してあます。
グラフから2021年は前年から若干の減収となっていますが、それ以降は順調に伸びてきていて、事業規模は順調に拡ていることが分かります。
一方で、オレンジ色の折れ線グラフで示している利益率についてはかなり悲惨な状態となっています。2020年には15%というかなりの高利益率を出していましたが、年々その値を悪化させていて、直近の2024年では1.1%となっています。
1-2.純利益
続いて純利益を確認しておきましょう。以下の図に過去からの純利益の額の推移を示しています。
グラフに示す通りで、ここ5年は少なくとも赤字にこそなっていないものの、その利益をどんどんと減少させてしまっています。直近の通期決算である2024年では170億円まで減少しています。
2021年から4年連続で機首に掲げた業績予想を途中で下方修正することを繰り返してきましたか、今期からはどうなるのか、四半期決算に注目していきたいと思います。
2027年に主力であるイクスタンジの特許が切れてしまうので、それまでに、次の稼ぎ頭を育成できるかにかかっていますね。ここ最近は、新薬の開発遅れが目立つので、そこら辺も注目ですね。
1-3. 自己資本比率
次は財務的な安定性を表す自己資本比率を確認して見ましょう。以下の図に自己資本の額と自己資本比率の推移示しています。
緑色の棒グラフが自己資本の額を示しており、オレンジ色の折れ線グラフは自己資本比率を表しています。
グラフから毎年株主資本を積み上げていることが分かります。
自己資本比率を見ると、直近の2024年3月期通期決算時には44.7%となっており、この数値自体は財務的な安定性には問題ないですが、以前からの推移に目を向けてみると、それまで60%台で推移してきたものが一気に44.7%へと急落しています。ここからの財務安定性についても、やはり来季からの増益にかかっていますね。
1-4.営業CFマージン
続いては営業キャッシュフローマージンを確認してみます。営業キャッシュフローマージンは本業で現金を稼ぎだす能力を見る指標で、営業キャッシュフローの値を売上高で割って算出したものになります。
グラフをみると2021年からは減少傾向にあることなど分かります。ただ、それでも直近の2024年でも17%程度と十分な値となっていて、稼ぐ力は十分にあると評価できます。
1-5.ROE(純資産収益率)
純資産を多く持って安定した財務基盤で経営していふことが分かりましたが、その純資産を効率的に利益に変換できているかをみるためにROEをみてみようと思います。
以下の図が2020年からのROEの推移を示しています。
グラフから、2020年には15.2%とかなり高い収益性を誇っていましたが、その後、8.7%, 8.5%, 6.6%と年々その値を低下させながら推移してきました。利益自体が急減している状況なので、このROEの悪化は不可避ですね。
2.株主還元
2-1.配当金・配当性向
株式還元を測る項目としてまずは1株あたりの配当金と配当性向を確認しておきます。以下の図はされぞれの数値の推移示しています。
グラフから1株あたりの配当金は2020年から2024年までの少なくとも5年間は毎年増配してきています。さらに2025年にはさらに増配することが計画されています。
灰色の折れ線グラフで示した配当性向を見てみると、かなりのスピードで上昇していることが分かります。純利益が低下している中でも配当金を増額させているので配当性向が上昇するのは当然のことではありますが、2023年は100%を超えるいわゆるたこ足配当となっていて、2024年には700%を超える大幅なたこ足配当となっています。
来季も増配の予定ですが、利益を回復させないことにはかなり厳しくなってきますね。
2-2.配当利回り
配当金による株主還元を強化していることが分かりましたが、では投資時点での配当利回りはどうなっているかを見て見たいと思います。以下の図に各年の1株あたりの配当金を期末時点の株価で割って算出した配当利回りの推移を示しています。
毎年増配して株主還元を強化しているだけあって、配当利回りは年々上昇しており、個人投資家には魅力的な銘柄になってきていますね。これが新NISAでの購入で人気になっている理由の一つでもありますね。
2-3.自己株取得
配当金の次は、もう一つの株主還元施策である自己株の取得実績ついて見て見たいと思います。課税されない分、現金配当よりも資本効率のいい還元と言われていますね。
以下の図に各年の自己株取得実績を期末時点の時価総額で割った値の推移を示しています。
グラフから、自己株の取得は実施した年と実施しなかった年がありますが、ここ5年間の実績を平均すると時価総額の1%弱を買い入れていることが分かります。配当利回りも高いのでこの自己株の取得と合わせるとかなりの還元kが行われていると評価できると思います。
3.株式市場からの評価
3-1.株価
まずは最も基本的な数値でもある株価を見みます。以下の図にここ5年間の株価の推移を示しています。
5年間のスパンで見ると明確なトレンドは見受けられないものの、2023年の後半から2024年にかけて大きく株価が下落していることが分かります。利益が縮小している状況で後継新薬の開発にも遅れが出ていることから投資家に不安が広がっていますね。
3-2.PER(株価収益率)
株価そのものを見たので、次は純利益に対する株式市場からの評価であるPERを確認して見ます。以下の図にPERの推移を示しています
グラフからもともと上昇基調にはありましたが、直近の2024年通期決算で大きく利益を落としたことでPERの値が急上昇しています。株価も下落していますが、それ以上に利益が減少したのでPERが急上昇する結果となっています。今はお世辞にも割り安とは言えず、投機的な銘柄になっているとも言えると思います。
3-3.PBR(株価純資産倍率)
次にPERと同様に株価の割安度合いを判断する指標であるPBRを見てみましょう。PBRは1株あたりの純資産に対して株株価が何倍になっているかわ表す数値です。以下にPBRの推移を示しています。
グラフから、PBRは先ほど見たPERとは異なり、ゆっくりと下降してきていることが分かります。こちらは株価の下落を反映して下落してきているので、純資産の額からみるとだんだんと割安になってきています。
4.まとめ
ここまでアステラス製薬(4503)の業績について見てきましたが、いかがだったでしょうか。売上高は拡大しているものの利益は減少し続けており、株価も上昇していないという状況が分かったのではないでしょうか。今後、すべての原因である純利益の減少がどうなっていくのかを継続して確認していきたいと思います。
それではアステラス製薬(4503)の業績まとめはここで終わりにしたいと思います。最後までご覧いただきありがとうございました。
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