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「24時間本屋さん」の思い出 その2

その1の記事はこちら
https://note.mu/curryyylife/n/n24d2938bc662

”こんどこそ、ちゃんと「24時間本屋さん」の物語になるだろう。実は2年前に「24時間本屋さん」をやっているはずだった。もちろん、去年にも。しかし例によって、いつも邪魔がはいった。だが、とうとう母に言われた。
「ことしやらないんなら、クリスマスにはなんにもあげないからね」
そう言われ、すべてが決まった。”

ぼくたちは昼食を終えると、学校イベントをはじめた。

1時間目の授業は数学で、中学校レベルの問題をみんなで解いた。
イベントは告知文章で「みなさんは生徒となって授業を受けます。色々な年代の人が来るかもしれないけれど、みんな同級生です」というようなことを書いた。

時間割も載せていたけれど、マジで数学受験の問題に取り組むとは思っていなかっただろう。
時間割を考えている時に、数学は最初に行うことにこだわった。「ココは無慈悲な“学校”なんだぜ」と伝えるためだ。

ぼくは高校の時に、関数電卓の検定を受けていて、すごくたくさんのボタンのついた電卓の機能を知るために、分厚い説明書を隅から隅まで熟読した。大学の時には物理化学を専攻していて、研究には数学の知識もちょっとだけ必要だった。ぜんぜん得意じゃないんだけれど、ある分野の数学が好きになった。
ウンウンと唸りながら本屋の中で試験問題を解いている間に、数学が好きになる前の自分を思い出した。でもそれは、嫌な感じではなかった。
思春期っていうのは、操縦不能な不安定な気持ちが溢れている時期なんだ。大人になると<すべては気の持ちよう>っていう小癪なテクニックを身につけてしまう。楽しく感じたり、つまらなく感じたりする気持ちが、コントローラブルになる。数学の問題を解きながら、コントロールできない不安定な気持ちを少しだけ思い出した。


2時間目は連句会で、店長が捌となってみんなで連句を巻いた。楽しかったけれど、なにが楽しかったのか伝えるのは僕には難しい。だから、あまり多くのことは書かない。学校イベントという複数の分野をワンパッケージで行ったから、興味がある人も無い人も集まっていて、それがこの時間には良いスパイスになっていたと思う。

そんなことをやっているうちに、時刻は14時となった。イベントの残り時間は20時間。
24時間本屋さんは、まだまだ続く。

その3はこちら
https://note.mu/curryyylife/n/ncf425edd29fc

※この記事は2019年5月2日~3日に、双子のライオン堂書店で行われたイベント「24時間本屋さん」の感想文です。感想ですので、事実と異なるフィクションが含まれています。
https://peatix.com/event/635701/view

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