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【続いてる写経 724日め】〜読めない漢字だらけの小説
復刻版が平積みされていた『十二神将変』という小説を、3月ちびちび読んでいました。
翻訳家の岸本佐知子さんのコメントが素敵で、
「一文一文、一語一語を
したたる蜜のように吸いつくし、酔いしれる。
これはもう、文字でできた麻薬。 ――岸本佐知子」
帯にあったので、買ってみたのです。
うむむ、文字でできた麻薬・・すごいコピーです。
言い得て妙で、描写といい、登場人物の設定もセリフも、とにかくいちいち蠱惑的なんですよ。
言葉に絡め取られていくように、世界に引きずり込まれてしまいます。。
初版は昭和49年、設定も昭和40年代と思われますけど、とにかくね、出てくる人たちの教養の幅がありすぎて、そこに全然ついていけないのです。
「十二神将」というタイトルからして、それが何か、わかっている必要があります。
十二神将とは、「十二夜叉神将・十二神王・十二薬叉大将とも呼ばれ、薬師如来を説く経典を読む者や信ずる者を護る十二人の神将です。また、薬師如来の十二の大願(薬師如来が修行中に「病苦を除き、安楽を与える」など衆生を救うために発した十二の願)を守護する神でもあります。」
(高野山霊宝館HPより)
薬師如来様の周囲にいる守護神なんですねえ。。
さらに、「後世には同じ「十二」ということで十二支と結びつき、十二の時、十二の日、十二の月を司る守護神とされました。」
とあります。
小説のなかでは、この十二支や方位と結びついているところが謎解きポイントになったりします。
こういったバックグラウンド知らなくても読めるのですが、登場人物たちは、この知識を当然知っているものだとして、話が進んでいくのです。
茶道も設定上重要な役割を果たすので、その知識があると「ああ、そういうことね」となるかもしれませんけど、、
やってない身にはよくわからん。。
そして何より、漢字が難しいのです・・。
この話で最も重要な単語は「罌粟」、なのですが、読めます?
文脈から「ケシ」だということはわかるのです。
麻薬の原材料ってことなので。
ですが、「ケシ」はワタシの頭の中では「ケシ」というカタカナでしか存在していなかったので、「罌粟」と結びつけられるまでに時間がかかりました。
難しい上に怪しい魅力のミステリーでございました。
今の小説はわかりやすいんだなあ、、あらゆる点で。
というか、自分の教養のなさを痛感させられたのでした。。
手書き漢字検索アプリ、ありがとう、なのでした。