PRスキル1「PRブレーンストーミング」
PRコンテンツ創出のための革新的アプローチの方法が「PRブレーンストーミング」
私はこれまでカレーの専門家とともに広報PRコンサルタントとして約20年にわたり、数多くの企業や団体に対してPR指導を300社以上に行い、企業取材を通じて多くの広報活動に携わってきました。その中で、特にメディアに頻繁に取り上げられる企業には、いくつもの共通したスキルや手法が存在することに気づき、まとめています。その実践的なスキルについて、具体的な事例を交えながら詳しくご紹介します。
広報担当者の共通の悩みは「コンテンツ不足」
多くの広報担当者が「メディアに情報を発信したいが、そもそも発信すべきコンテンツが見当たらない」と悩んでいます。しかし、私の経験から言えることは、多くの企業には潜在的なコンテンツが数多く存在しているということです。それらを掘り起こし、効果的なPR材料に変換するためには、「PRブレーンストーミング(ブレスト)」が極めて有効です。
ブレーンストーミングとは?
ブレーンストーミングは、単なる会議ではなく、自由な発想を生み出すための創造的なセッションです。参加者が固定観念にとらわれずに意見を出し合うことで、新しいアイデアやコンセプトが次々と生まれます。質の高いブレストが実施できれば、驚くほど多くの発想が湧き出し、PR活動の幅を大きく広げることができます。
ブレストを成功に導く4つの基本ルール
アイデアを批判しない
どんな意見でも否定せずに受け入れることで、参加者が自由に発言できる環境を作ります。自由奔放な発言を歓迎する
奇抜なアイデアほど、意外性があり魅力的なPRコンテンツに発展する可能性があります。質より量を優先する
初めから完璧なアイデアを求めず、まずは数多くのアイデアを出し合うことが重要です。他人のアイデアに便乗する
他の人の意見に乗っかり、それを発展させることで、より多角的で深みのあるアイデアが生まれます。
広報ブレストをさらに効果的にするための追加ノウハウ
私が十数年の実践経験を通じて得た、さらに効果を高めるためのポイントをご紹介します:
• ピエロ(盛り上げ役)を設定する
あえて突飛な発言をする役割を作ることで、他の参加者も自由な発想をしやすくなります。以下で紹介する宮崎牛カレーのブレストでも、この役が場を盛り上げました。
• 脳を刺激する材料を用意する
競合情報やトレンド記事などを事前に準備し、アイデアの幅を広げます。
• ニュースバリューで磨きをかける
アイデアを「異常性」「人間性」「社会性」「普遍性」の観点から評価し、PR効果を高めます。
• 外部専門家を招く
広報の専門家やメディア関係者をゲストに呼び、異なる視点を取り入れることで、アイデアの質を高めます。
実際のブレスト事例:成功への道筋
私が経営するカレー大學や食品企画会社でも、このブレスト手法を積極的に活用しています。
事例1:宮崎牛を使用した高級レトルトカレー
ある地方有力企業から「新しいレトルトカレーを企画したい」という依頼を受け、ブレストを実施しました。単に地域の名産品を使用するだけではなく、話題性のあるPRコンテンツを生み出すことを目指しました。ブレスト中にある参加者が「宮崎牛を贅沢に使い、価格を5,000円にする」という一見突飛なアイデアを提案しました。このアイデアを批判せず、さらに掘り下げた結果、160gの牛肉の塊を贅沢に使用した高級レトルトカレーが完成し、大ヒット商品となりました。
事例2:安比高原スキー場「カレー大學食堂」
岩手県の安比高原スキー場内のフードコートに出店する際も、ブレストを実施。ブランド名「カレー大學」を冠した「カレー大學食堂」というネーミングが生まれました。シンプルなアイデアながら、フードコート内で唯一無二の存在感を放ち、結果的にNo.1の人気店となりました。
事例3:クレーンゲーム専門店「宝石キャッチャー」
株式会社東洋のクレーンゲーム専門店でも、PRブレストを実施。「宝石キャッチャー」や「とれたてキャッチャー」といった斬新な企画が生まれました。これらの企画はメディアで取り上げられ、大きな話題となり集客にも成功しました。
広報の現場で実践してみよう!
PRブレストは、アイデア次第で企業の広報活動を劇的に変える力を持っています。ぜひ皆さんの職場でも、これらの手法を取り入れ、自由で創造的なブレストを実践してみてください。
【参考情報】
井上岳久が講師で広報PRのスキル及びテクニックを伝授する
最高峰の広報研修機関「日本広報教育センター」とは?
日本広報教育センターは、企業の広報力の底上げを目指し、広報パーソンの教育や研修を展開する機関です。
広報の力によって、企業の価値は左右されます。広報を確実に展開させて企業価値を高めるためには、広報の基礎知識と実践力を持った広報パーソンの存在が不可欠ですが、国内にはその育成機関がほとんどありません。
そうした現状を踏まえ、日本広報教育センターでは、次の3つの事業を柱に、成果を出せる広報パーソンを育成していきます。
<主な事業>
・広報PR研修事務局
~広報担当者や広報スキルを得たい方などを対象に研修を実施
・PRエキスパート資格
~広報の専門家を目指す方やキャリアアップを希望する方などに向けて 認定資格試験を実施
・戦略PR協会
~広報PRの専門家や実践者などが行う最前線の広報活動事例紹介を実施
<日本広報教育センター https://nihon-prec.jp/>
◆ 講師紹介:井上岳久氏とは?
実は、井上岳久氏はカレー専門家に加え、戦略広報および戦略PRコンサルティングの分野で長年活躍している、広報界のトップコンサルタントです。最先端の経営戦略である「戦略広報経営」の研究と実践においても第一人者として知られ、その豊富な知識と経験で数多くの企業を支援してきました。中小企業診断士の資格を持ち、慶應義塾大学経済学部を卒業後、事業創造大学院大学では客員教授も務めています。
これまでに広報に関する著書を20冊以上出版し、コンサルティング支援を行った企業は300社を超えます。さらに、宣伝会議や経営合理化協会、広報専門学校などの教育機関で15年以上にわたり人気講師として教壇に立ち、広報人材の育成に貢献してきました。特に、宣伝会議主催の「広報担当者養成講座」では、広報の基礎から応用までを指導し、多くの企業広報担当者から高い評価を得ています。
その講演活動も非常に活発で、年間120回以上、大手企業の研修や広報講座で登壇し、実践に基づいた広報戦略の重要性と効果的なPR手法を伝えています。井上氏の指導を受けた広報部門は、確実に成果を上げ、企業の成長を支える強力な広報チームへと変革を遂げている。