ダイアン 架空漫才4

「デート」


津「今日、道歩いてたら若いカップルが歩いてましてね。すごい楽しそうやったんですよ。」

ユ「ふーん。」

津「ボク早くに結婚したから、久しぶりにデートの感じを味わいたいなー思って。」

ユ「ほんなら俺が彼女やったるから。待ち合わせ場所に来て。」

津「OK。」

ユ「名前はユウコで。」

津「…あ!ユウコちゃん!」

ユ「篤宏くん、遅い~。」

津「ごめん!待った?」

ユ「待ったに決まってる~。」

津「待ったに決まってる…。」

ユ「指定した時刻から5分遅れてるからね。それは。」

津「ごめんごめん!気を付ける!」

ユ「どこ行く~?」

津「どうしよ~。」

ユ「あ、そうだ!私いい喫茶店知ってるからそこ行かない?」

津「ほんま?いこいこ!」

(2人:歩く)

ユ「あ!ここ!」

津「え?いやここ…カレー屋やん。」

ユ「そう。え、知ってるの?」

津「いや、知ってるていうか…。喫茶店ちゃうで?」

ユ「そうなの?」

津「ちゃうよ。」

ユ「え、で『茶』って文字入ってるじゃん。」

津「そういうことちゃうよ。」

ユ「そうなんだ…。でも、また賢くなった。」

津「…まあ、せっかくやし入ろか。」

ユ「あ、そうだ。何食べたいかをさ、店員さんに伝えてみない?店員さーん。」

津「そういうもんやから……じゃあ僕はポークカレーで、辛さとお米の量は普通で。」

ユ「じゃあ私はハヤシライスで。」

津「カレー食わんのかい…。」

ユ「ねえ。究極の2択ゲームやらない?」

津「究極の2択ゲーム?」

ユ「私が究極の2択を言うから、どっちが良いか答えて。」

津「OK。」

ユ「えーとじゃあまずは……。カレーかウンコ、食べるならどっちがいい?」

津「なんやねんそれ。"ウンコ味のカレーかカレー味のウンコ"の2択やろ。なんやねんカレーかウンコって。ほんなもんカレー1択やがな。」

ユ「ふーん。じゃあ次ね。ウンコ味のカレーライスとウンコ味のハヤシライス、食べるならどっちがいい?」

津「汚すぎるて!カレー屋でする話ちゃう!ユウコちゃんも嫌やろ!」

ユ「…なんかすごい気持ち悪くなってきた…。」

津「ほら。言うてるやん。」

ユ「もう店出ない?2人で抜け出さない?」

津「同窓会で良い感じになった男女みたいに言うて…。いやでも注文したやつ来てへんで?」

ユ「せーのでいくよ!せー…!」

(ユ:ダッシュで店を出る。)

津「待って!」

(津:後に続いて店を出る。)

ユ「散々だったね。」

津「どの口が言うてんの…。」

ユ「あ、ちょうど映画館あるし、映画観ない?」

津「お、ええやん。いこか。」

ユ「何観る?」

津「今、なんか面白そうなんやってる?」

ユ「あ、ダメだ。」

津「どうしたん?」

ユ「今日、ロボコップしか上映してない。」

津「…どういうこと!?」

ユ「分かんないけど、上映予定が全部ロボコップになってるね。」

津「なんでなん…。ほんなら、別の映画館行くか。」

ユ「あ、ダメみたい。今日はどの映画館もロボコップしか上映してないみたい。」

津「は?」

ユ「今調べてるけど、3月14日ってロボコップデーなんだって。だからロボコップしかやってないんだ。」

津「いや普通ホワイトデーよりロボコップデーの方推すか?」

ユ「私ロボコップ観たことないし、ここで観ない?」

津「…まあどうせどこもロボコップしかやってへんなら、しゃあないか…。」

ユ「…あ、ダメみたい。全席埋まってる。」

津「うそ!?この時代にロボコップが満席…?意味分からん…。」

ユ「じゃあさ、同じ施設にゲームセンターあるしそこ行かない?」

津「…そやな。」

ユ「うわーゲーセンなんて久しぶりに来た!まず、アレから行かない?工事のやつ!」

津「工事のやつ?……クレーンゲームな?あんまそんな言い方せえへんで?」

ユ「これコツがあってね。こうやって…」

(ユ:台を強く揺らす)

津「ちょ…何してんの!」

ユ「こうやって強く揺らしたら、取れるんだよ?知ってた?」

津「いやこれコツとしてやってる奴おらんから!やってる奴みんな多少は悪い事って分かってやってんねん。」

ユ「やっぱりめちゃくちゃ楽しいね!」

津「まあそれは良かったけど。」

ユ「ババ抜きくらい楽しい!」

津「…?あんまよーわからん例えやけど。」

ユ「次あれしない?未確認飛行物体のやつ。」

津「UFOキャッチャーな?」

ユ「これもめちゃくちゃ楽しい!七並べくらい楽しい!」

津「なんなん?なんでトランプゲームと比べてんの?」

ユ「次あれしよ!河村市長のやつ!」

津「河村市長…?あ、メダルゲームな?確かに、噛んでたけど。」

ユ「これも楽しい!ソリティアくらい楽しい!」

津「またトランプの例え!ソリティア面白いかどうかも知らん!」

ユ「なんか遊んでたらお腹すいてきたな~。」

津「あ、俺店予約してるし、そこ行こか。」

ユ「ほんと?気が利くね~。」

(2人:歩く)

津「着いた!ここ!」

ユ「イタリアン?雰囲気良さげ!」

津「せやろ?ここ、カルボナーラがめちゃくちゃオススメやねん。」

ユ「そうなんだ。」

津「店員さん。カルボナーラ2つで。」

ユ「あ、私はナポリタンで!」

津「なんで?カルボナーラ、オススメ言うたやん。」

ユ「んー?…逆張り。」

津「なんやねんこいつ…。」

(2人:料理を食べる)

津「あ、そや。もう一個注文してたんや。」

ユ「そうなんだ。」

津「ちょっとまってて。」

ユ「うん。なになに?」

津「…ハッピーバースデートゥーユー♪」

ユ「え?」

津「ハッピーバースデートゥーユー♪」

ユ「嘘!?」

津「ハッピーバースデーディア…ユウコちゃーん♪ハッピーバースデートゥーユー♪おめでとう!!」

ユ「うわ!嬉しいありがとう!」

?「ハッピーバースデートゥーユー♪」

津「え?」

?「ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデーディアガール♪ハッピーバースデートゥーユー♪」

津「え?誰?」

ユ「…。」

津「ちょっと待って!?もしかしてスティービーワンダーちゃうん!?」

ユ「…。」

津「え?ユウコちゃん!なんで黙ってんの!?この人、スティービーワンダーやんな?」

ユ「えー実は…逆サプライズです!」

津「え?」

ユ「実は篤宏くんが今日私を祝ってハッピーバースデーの歌を歌うと予想して、スティービーワンダー本人に来てもらって、ご本人登場をやってもらいました!」

津「ええ!?どゆこと!?」

ユ「ビックリした?」

津「ビックリしたっていうか…。そんなん出来んの?」

ユ「スティービーワンダー!センキューベリーマッチ!バイバーイ!」

(ユ:バイバイする)

津「…あ、帰ってった。…え?マジで?」

ユ「うん。」

津「すごいけど…。」

ユ「篤宏くんが喜んでくれて嬉しい。」

津「喜ぶというか…。まあ今日も楽しかったけど、なんか疲れたし今日は解散しよか…。」

ユ「そうだね。じゃあまた夜電話するね。バイバイ。」

津「今日は色々あったな…。」

(プルルルルル)

津「もしもし」

ユ「もしもし篤宏くん?今日はありがとう!」

津「こっちもありがとう。」

ユ「今日楽しかったね。」

津「まあそやな…。」

ユ「たださ…。今日ちょっと言えなかったことが何個かあるから言うね。」

津「言えなかったこと?…うん。」

ユ「最初に行った喫茶店でさ、私カレーじゃなくて、ハヤシライス頼んだじゃん?」

津「カレー屋さんね。」

ユ「あれね…。実は逆張りなの…。」

津「逆張り…。イタリアンでもやってたけど…。意味わからんし、逆張り注文やめてや?」

ユ「気を付ける…。あ、あとね。映画館行ったじゃん?」

津「うん。」

ユ「あの時ロボコップ観たことないって言ったんだけど、実は私観たことあるの。」

津「なんなんその嘘。また逆張り?」

ユ「いや。照れ隠し故の虚言。」

津「照れ隠し…。意味分からん嘘やめて…。」

ユ「でその後、ゲームセンターで河村市長のやつやったじゃん?」

津「メダルゲームな。」

ユ「あの時、ソリティアくらいって言ったけど、実はソリティアやったことないの。」

津「また変な嘘!それは何なん?」

ユ「うーん。見栄っ張り故の虚言。」

津「ソリティアで見栄張るん、意味わからん過ぎるて。」

ユ「で、イタリアン行ったじゃん?」

津「まだあんの?」

ユ「うん。あの時、スティービーワンダー出てきたじゃん?」

津「おお。あれはビビったよ。」

ユ「あれ実は…逆サプライズじゃないの。」

津「え!?どういうこと!?」

ユ「まず私は逆サプライズを用意してないの。」

津「え?じゃあスティービーワンダー出てきたんは何なん?」

ユ「わかんない。」

津「どういうことよ。え?てかそもそもあれは本物のスティービーワンダーやんな?」

ユ「たぶんそう。」

津「じゃあ、あの一連の出来事はなんなん?」

ユ「わかんない。わかんないけど、篤宏くんがあの歌を歌ったから、たまたまいたスティービーワンダーが来たんだと思う…。」

津「じゃあ逆サプライズとか言うてたのは?虚言?」

ユ「虚言というか…機転。」

津「機転!?確かにな!あれアドリブなら機転ききまくりやわ。ごめんごめん。」

ユ「今日はほんと色々あったね。」

津「ほんまにな。」

ユ「疲れちゃったし、もう寝るね。」

津「そやな。」

ユ「じゃあさ。最後は『せーの』で一緒に電話切らない?」

津「いいね。」

ユ「じゃあいくね。せー…」

(プープープー)

津「先切りよった…」

ユ「どう?デート楽しかった?」

津「散々やったわ。ッテモウエエワドウモアリガトウゴザイマシタ!」

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