新カナメストーン つかみ7
2023.6.18 「何か」
山口「零士には申し訳ないけどさ、これからは俺1人で芸人やろうかなって思ってるんだよね。」
零士「は!?何言ってんだよ!?」
山口「いきなりでごめん!」
零士「ごめんじゃなくてさ!なんでなのよ。」
山口「うーん…。なんでとかじゃないんだよね。」
零士「どういうこと?山口が決めたんでしょ?」
山口「いやいや違うよ。そのままでいただけ。」
零士「意味分かんない。なに?俺が原因?だから言いづらいの?」
山口「いや、零士は関係ないの。てか理由ってのは特に無いの。なんて言うのかな…もっとこう…大きな…」
零士「なんなの?神のお告げとかお導きみたいなやつ?」
山口「そういうのでは全く無い。神は居ないしね。自然な流れというか…風の吹くままというか…」
零士「分かんない。理由が無いと俺はOKしないからね。」
山口「そうだろうね。でも零士のその考えや行動もこの大きな流れの中の一つなんだよね。」
零士「なにそれ。怖いんだけど。」
山口「いや怖がらなくていいよ。自然でいて。流れに身を任せれば全てが上手くいくから。」
零士「何?なんか変な宗教でも入ったの?」
山口「うーん入ったというか作った。」
零士「作った!?宗教を!?」
山口「いやごめん!作ったって言うのはちょっとおこがましいわ。俺は気付こうとしているだけなんだよ。輪郭を捉えられないほどの大きなアレを。この世の最初から最後まである何かを。」
零士「なんなの?その何かが山口には見えた訳?」
山口「いやいや。見えてない。何なら何も分かってない。分からないから当然何なのかを伝えることも出来ないし、俺が何をしてもその何かには影響を与えることは出来ない。」
零士「で、山口はその何かに従ったわけね?」
山口「それも違う。従うんじゃなくて、元々そうだったんだよ。」
零士「うーん全然分かんねえし、もうどうでも良くなってきたわ。で、俺たち解散するんだよね?」
山口「そう。」
零士「了解了解。じゃあもう漫才もいいね?終わろうか?」
山口「そうだね、申し訳ない。それじゃあ、今までありがとう。」
零士「うん。ありがとう。家はどうなんの?」
山口「うーんそれはまだわかんない。これから分かってくと思う。」
零士「そ。」
山口「それでは皆さんもありがとうございました。」
零士「ありがとうございました。」
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