【ネタバレ考察】映画「天気の子」における拳銃について

「天気の子」、つい先日観てきました。

※ここから下の内容は、本編のネタバレにあたるものが多数含まれています。ご覧になる方は自己責任でお願いいたします。












各所で言われている/書かれている通り、そして私も観た後に気になったのが「拳銃」の存在です。作中でキーアイテムとして描かれている拳銃ですが、観た後に果たして必要だったのか?と疑念を抱きました。感想を見たところ同様の方が多く、じゃあ何故あえて拳銃なのかを考えてみようと思ったのです。

◆拳銃の登場シーン

冒頭に「拳銃が16丁盗まれた」というニュースが流れ、物語への関わりを示唆します。(予告編にも銃声のシーンがありましたね)

家出少年の帆高くんは、ひょんなことで拳銃を手に入れ、本人曰く「お守り代わり」として持ち歩きます。そして、陽菜を連れ出す歌舞伎町のシーンで馬乗りになっていたスカウトマンに向け発砲しました。スカウトマンが怯えた隙に2人は逃げ出し、その後、廃ビルに駆け込んだのですが、陽菜が拳銃、そして帆高に嫌悪を示したため、帆高は拳銃を投げ捨てます。

ここまでが冒頭の拳銃シーン。直後に陽菜の晴れ女としての力を示す最初のシーンが入ります。

そして終盤。

陽菜が空に消えて行った(=巫女として生贄になった)後、帆高は彼女を探し回ります。ただ、家出少年&拳銃所持で追われている彼は警察から逃げ出す羽目に。やっと辿り着いた廃ビルで、今度は警察ではなく圭介と対峙します。帆高を説得して連れ戻そうとする圭介に対し、帆高は「彼女に会わせてくれ」と拳銃を向け、発砲。その後警察に囲まれますが圭介&凪の活躍で何とか屋上へ。そして空へ向かい、陽菜を取り戻しました。

◆拳銃の意味

冒頭と終盤の拳銃シーン、構造としては非常に似ています。

違う点としては大きく下記2点でしょうか。

①廃ビルが帆高にとって明確な目的地か否か

②拳銃が本物という自覚が明確にあるかどうか

どちらも「自分の選択」の有無とくくることも可能な気がします。

物語の最後に「確かに自分たちは世界を変えた」といった趣旨の発言が帆高から出るように、「何かを自分で選択する」「選択した結果を自分で引き受ける」といったテーマが根底にある作品だなと感じました。

話がややズレましたが、ここで改めて「拳銃でなくてはならない意味」を考えてみます。

例えばナイフではどうでしょうか。より手軽に手に入りますし、リアリティもあります。

ただ、ナイフではおそらく大人に勝てないのです。

序盤の歌舞伎町のシーンではナイフでも通用した可能性はありますが、終盤の廃ビルのシーンではナイフで警察をあそこまで警戒させるのは難しいかなと思います。また、「拳銃を持ち出すほど本気だ」という圭介への印象も変わってくる気がしますね。少年少女のちょっとした非行の範囲に収まってしまう。

もう一点、陽菜の能力との共通点です。

帆高は田舎の閉塞感から逃げ出してきましたが、陽菜もまた弟と2人暮らしという特殊な環境下であり、児童相談所などから逃げている状態です。

水商売をやるほど追い詰められていた陽菜は、「晴れ女ビジネス」により生活をある程度安定化させることに成功します。こういった「一発逆転」さは拳銃のそれと通じるところもあるのではないでしょうか。

もう一つの共通点は「回数制限」です。拳銃はこめられた弾の数しか撃てませんし、陽菜の力も使いすぎると空に導かれてしまう。

そして、物語上は陽菜の力と拳銃はトレードオフ、どちらかを手に入れればどちらかを失うような構図になっています。

最後にはどちらも失いますが、彼らはきっと「一発逆転」の道具に頼るほど追い詰められてはないでしょうし。

上記の理由から、きっと帆高が持つのは「拳銃」でなくてはならなかったのだろうなと思いました。

つらつらと思いつきで書いているので、加筆修正する可能性がありますがとりあえず。


最後までお読みいただいた方はありがとうございました。

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及川(おいかわ)
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