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建築のコンセプトはどう考える?のハナ氏。
こんにちは。ハナ氏です。
まずは、なんとなくでもこのページを開いてくださり、ありがとうございます。大変光栄です。
C.D.WORKERSは店舗でも住宅でも コンセプトをしっかり考えてから設計に入りますが、コンセプトの考え方ってすごく難しそうだなと個人的に思っていました。そこで、”コンセプトはどうやって考えているのか”について質問してみました。
コンセプトはなぜ必要か?
これは、最近新しくしたカタログ「idēe」にも載っているんだよね。
コンセプトのつくり方から、 なぜコンセプトが必要なのかなど・・住宅と建築物のコンセプトというとちょっと難しそうに 感じるんだけど、みんな会社に勤めていたりとか、経営してたらコンセプトってあるよね?ミッション・ ビジョン・バリューって。あれと同じと思えばいいよね。
なぜこの会社が存続しているのかとか、どんな価値が世の中にあるのかっていうのがミッション。ビジョンというのは、あるべき姿はどんな感じなのか。バリューは行動指針みたいな感じ。それが会社においてのミッション・ビジョン・バリューなんだけど、同じように住宅にもミッション・ビジョン・バリューまでつくらなくてもいいけど、何か核となるものがあればズレないよね、軸があると。例えば家を建てる人って、家づくりって長いからその間に雑誌を見ていると、「これもいいな」「あれもいいな」ってなっちゃうよね。その場だけの”いいな”っていうのを正すというか、ほんとはこういうのが好みですよねとか、こういう暮らししたいですよねっていうのを正すためにコンセプトは必要。
コンセプトはどう考えるのか?
住宅の話でいこうか。まずクライアントの個性を知るためにヒアリングをする。コンセプトメイキングとかコンセプトをつくる際に常にそのクライアント側の思考にならないとできないから。要は提供する側の思考だと、 それも社会的なコンセプトにはなるかもしれないけれども、こと住宅に限っては住む人側のコンセプトにはならないからさ。なんで、クライアントの立場になるということは、クライアントのことを知らなきゃいけないという・・深いところまで。そのためには、ヒアリングの質も変えなきゃいけないよね。「趣味は何ですか?」以外にも、「美容に対してどう思っているか?」とか。「ファッションに対してどう思っているか?」とか。「生まれ育ったところはどういうところなのか?」とか。そういうことは知っておきたいよね。
緑がいっぱいで田舎で育った人が、「家の中には緑(植物)が欲しいんです」ってなると、もしかしたらそこから連想されているのかもしれないし、逆に「緑(植物)いらないです」となると、昔、蚊が多かったとか虫が嫌いだったっていうところから来ているかもしれないし。そういう思考を自分に落とし込むためには、まずヒアリングが大事かなというところ。直接聞いた内容は要望として持っておいて、その要望の真意っていうのかな?深いところを突っ込んで聞くと、それが本当に必要かどうかってちょっとわからないなというときもある。要望出すって難しいんだよね。今までにも、「2階建てがいいです」「なぜですか?」って言ったら、「なんとなくみんなが2階建てだから」とか。「天井高2.7メートルがいいです」って限定的な人もたまにいて。2.8でも2.6でもなく2.7がいい理由というのは、ハウスメーカーさんが2.7を標準ですと謳っているから、それがいいと思っているとか。本来の建築ってそういうことじゃない。もうちょっと空気感をデザインしなきゃいけないから、結果として2.7メートルだったらいいんだけど、もしかしたら3メートルかもしれないし・・という潜在的要望を考える、妄想するって感じだよね。なのでそれに関しては聞いてもわからないことが多いから、一旦こっちで仮説を立てるっていうのが多い。合わせてその方の要望とか人間としての個性というのと、土地も個性がいっぱいある。もちろん崖地とかだったら 個性が強いけど、平坦な敷地に関しても周りにどういう建物が建っているのかとか。ちょっと三角形とか台形の敷地でも違うから、そこの特徴を捉えて、人間の要望と土地の要望というのを一緒に合わせて・・”こうあるべき”とか、”普通こうだよね”という固定観念っていうのを一旦横に置いて、まっさらな状態にして考えるとなんか発見ができる・・ぱっと思いつくんだよ。本来こういうことをしたいんじゃないのか?それって法的に絶対無理だよとか、資金的に絶対無理だよっていうのを全部取っ払って、クリアな状態でこんなことできたら理想だよねっていうのを思い浮かべて、そこにある意味言葉をつけるっていうか・・キャッチコピーみたいなものをつけて、クライアントと共有する。これが言葉じゃなくても、ビジュアルでもいいんだけど、そういうものがないとまたブレちゃうんだよね。例えば家を建てた時に「どんな家を建てたの?」と言われたら、「こんな家です」ってなかなか言えないよね?それがすぐに言える家っていうのはやっぱりいいし、その言葉が「あなたらしいね」って言われたら、それはその人の空気感がちゃんと発揮できた家だよね。
コンセプト=言葉で支配する
住宅だけじゃなくて会社でもそうだよね。例えば、スターバックスコンセプトは”サードプレイス”って言われている。”第3の場所”。結構有名な話なんだけど、確かに スタバ行ったら、みんな仕事してるよね。みんなとは言わないけど、パソコンで何かやってる人が多い。カフェなのか?家なのか?いや、第3の場所だよね・・みたいな。そういうカフェという形態をとっているんだけど、本質は仕事場で使っている人もいれば、読書をする場でもあって。そういう位置づけにしたコンセプトだから、インテリアとか窓の切り方も少し低い位置に窓を切っていたり、植物があったりとかしてるよね。AKB48もそうだよね、会いに行けるアイドル。そのために総選挙があったりとか、握手会があるわけだよね。今までアイドルっていうのは全然会えなかった、テレビの中の存在というのをそういうコンセプトで変えていたりとか。なので、もちろん住宅もそうだし、こういう会社とか団体もそうだけど、コンセプトが しっかりして、それを発信しているとみんなそういう頭になって、そういう人が寄ってきて。だから、何においてもコンセプトをまず軸としてつくるのはありだよね。けど注意点があって、コンセプトをつくります最後に言葉をつけて”言葉で支配する”って 言ってるんだけど、その言葉が難しい言葉だと 何も響かない。それは過去に何度かあって、例えば英語のパッと聞いてわからないものというのは響かないね。文章も忘れちゃう。僕はどちらかというと建物には一つずつ 名前をつけてるんだけど、できれば 短文で。できれば中学生以下の英語ぐらいでわかるような感じにはしているかな。
works「Photogenic」の話
ここはマンションリノベで、インテリアやってるクライアントの家だけど、インテリアやってる方たちって、ちょっと魅力的な空間に住むっていうことでモチベーションが上がる人が多い。思わず写真を撮りたくなって、自分がそこに入って、背景が素敵なインテリアだとテンションが上がる。
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だから「Photogenic」という名前を付けて、それに見合うインテリアをデザインした。なんで印象的なテラコッタカラーの塗装してる。
works「gallery」の話
ここも非常にコンセプチュアル。割と広い土地で高台でインテリアが好きなクライアント。将来照明とかを増やしたいってなった時に、必ずその部分を通らないとLDKに行けないとか個室に行けないような・・導線の中心部分にギャラリーみたいなものをつくってあげれば、ただ眺めるじゃなくて、毎日そのいいものたち、大好きなものたちを身近に感じれるということで、廊下の幅を広げたんだよ。
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これはこの方だから、こういうものをつくった。廊下を気持ちの切り替えの場所としてつくる場合もあるんだけど、ふと立ち止まったり・・たまにはそこでお茶もできちゃうみたいな。そんな場所にした。そこから先にLDKへ行く時に、高台だから景色がいいんだよね。ぱっと開く前の、ちょっと助走の場としてもギャラリーは成立してるよね。
ハナ氏:今のコンセプトがあってっていうのはわかったんですけど、具体的に何考えながら設計してくのかな?っていうのを思っていて・・具体的にどういうところを考えて設計していくんですか?
何を考えて設計をするのか?
何を考えて設計してるかっていうと、例えば家の場合、どちらかというとそのクライアントが住んでいる姿とかではないんだよ。そのクライアントの思考を自分に落とし込んでいるので、今自分がそのクライアントと同一になっているイメージ。「テラスが欲しい」という要望があったら、このテラスだったらくつろげるかなっていう。そのためにヒアリングをしっかりしてる。テラスで何したい?ってなると、子どもをプールで 遊ばせたりとか、コーヒー飲みたいとか、朝食はそこで取りたいとか緑(植物)も育てたいとかあるよね。じゃあ、自分だったらどんなテラスが欲しいかって考えたときに、広いテラスはもちろん欲しいんだけど、日が燦々と照り付けるようなテラスはいらないよなとか・・日焼けしちゃうし。じゃあどういうテラスがいいんだろうと考えた時に、例えば自分には光が当たらないけれども、テラスの壁に太陽光が当たって、そこに植物もあって、なんとなく植物がキラキラ光ってて。そういうのを眺めながら、自分は日影のセーフティーゾーンでコーヒーを飲むとかだったら、めちゃめちゃいいよな・・とかって考える。
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じゃあ 太陽の方位はどっちかなということと、コーヒーを飲むタイミングとかも考える。朝食後なのか、お昼なのか、夕方なのか、夜なのか・・休日の朝食後にゆったりとコーヒーを飲みたいとなったら、その時間帯にどういう光が入るのかというのを併せてに考えるよね。こうやってテラスの位置を設定する。それで設定した案が一つあるとするよね。ただ、それが果たして優先順位めっちゃ高いかどうかっていうとわからないわけだから・・そういう場面ももちろん素敵だけど、普段は子供をプールで遊ばせたいとかね。
でも本来は何をやる頻度が高いのかとか、観賞用なのか自分がアクティブにいくものなのか。もしかしたら七輪で肉や魚を焼いたりとかする場所 かもしれないし、ペットと遊ぶかもしれないしって考えた時に。じゃあ例えばバーベキューを日常的にやりますという方で2階のテラスだった場合、テラスの床の仕上げを考えなきゃいけないわけだよね。例えばRCとかだったらいいけど、木造の場合だったら防水がしてある。その防水もメンテナンスがたくさんいるとか、火に弱いとかだったらバーベキューなんてそこでできないよね。だから、そこの防水の仕様を考えて、その仕様と合わせて、床とテラスの段差をもしなくすんだったら構造も考えないといけない。となると、構造材を少し下げようかな・・その下っていうのは天井高があんま取れなくなるから、何の部屋を置くべきなのかということを考えて・・という感じで総合的に考えていくんだよね。なので、こういうテラスがいいなということを考えた時に付随してこんな風に色々なことを考えているかな。
LDKの天井高もそうだよね。開放的な空間をつくりたいとなったら、天井高を単純に上げればいいという問題じゃないんだよね。例えば、1階から2階の吹き抜けがあります。それがLDK全体が吹き抜けだった場合、もはやホールになってしまうんだよね。住むにしては広すぎる場合がある。なんで、天井高っていうのは、少し落としてあげるとかね。
works「live」の話
この家のダイニングは天井高をちょっと落としてるんだよね。1階2階の吹抜けの高さじゃないんだよ。少し落としてる。
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あまりにも広すぎると、ただ単に広いだけになるんだよね。レースカーテンとかを天井から吊り下げるまで の長さにも製作限界があるし、それを開いたり閉じたりするときの操作のしやすさというのもある。だからこういったことも同時に考えるわけだよね。
設計と同時に考えていくものがある
何か要望が出たときに、自分で想像してその空間を自分の中でかためていく。かためたときに、それに付随する構造とインテリア・・インテリアの中でも終盤にくるカーテン関係と照明・家具関係を大体同時に考えていって、バランスをとっていることが多い。
それを最初にいろいろな思考で考えるから、何パターンかつくるんだよね。コンセプトメイキングのときにコンセプトプラスこういう考えもあるし、こういう考えもあるし、こういう考えもあるしみたいなかたちでクライアントと話をして、それぞれに対してどういう意見を持っているのか・・でさらに深掘りするということをやるかな。クライアントがこういうかたちでいいねとなったら、プランニングをして寸法を落としていく。
ハナ氏:そのあとに色とか好きな好みを具体的に考えていくんですか?
インテリアを考えるタイミングはいつ?
場合によるけど、 最初にその辺も聞いてしまうから、好きなものが最初から明確な方に関しては、そっちのデザインに最初から持っていく。
モダンな空間が好きな人とオーセンティックな・・デコラティブっていうのかな?モールディングがいっぱいあってみたいなものが好きな人では、スケール感が違うから、それに合う天井高とか幅も変わってくる。カタログidēeにも 書いてあるんだけど、”C.D.WORKERSが考えるインテリアとは”という項目・・7つあるんだよね。この7つを駆使するというのと、小さく書いてるんだけど、建築とインテリアの境界をなくすというのがうちの特徴だよね。
誰かが、建築というのとインテリアというのを分けた・・設計士っていうのとインテリアコーディネーターというのが住宅に関してはいる。だけど本来こうやって流れるように、グラデーションで考えなきゃいけない内容で、同時に考えなきゃいけない内容なはずなので、それを同時に考えるというのを 自分はやっている。となると、色々なインテリアデザインに精通しなきゃいけないし、何が好きで何が嫌いかというインテリアの好みを自分自身つくっていけない。だから全部好きだし、全部冷静に見れちゃうというのが一番いいよね。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひYouTubeをご覧ください▾
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名古屋設計事務所 愛知設計事務所|C.D.WORKERS