ブックレビュー NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方
NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方という本を読みました。2022年に読んだ中で、ベスト3に入る良本でしたので、ブックレビューとして記録しておきます。
この本を選んだ理由
自然の中で過ごすと、気分がよくなる、普段より思考が深まる、広がる。創造力が高まる。
自分の経験として感じていることの科学的な根拠を知りたかったため、この本を手にとりました。
タイトルの「FIX」という英語は「修繕する、回復させる、治す、整える」という意味です。この本には、著者自身の経験も交えた自然の治癒効果が数多く、紹介されています。
読後の感想
まず、今まで感覚で理解していたことが、科学的にも証明されている(されつつある)ことを知ることができたのが、何よりの収穫でした。
そして、「自然」を意識して過ごす時間をもっともっと、とりたくなりました。といっても、アウトドアで自然を満喫するとなると1日がかり。
実は、日常生活の中でできることはたくさんある、それらも十分、NATURE FIXである、ということを本で知りました。
例えば、観葉植物を部屋におく、庭や近所の公園を散策する、そういったことです。これならすぐにでも実践できますね。
特に印象に残った内容3つ
1 自然に囲まれていると、くつろげるのはなぜ?
本には、著者自身の体験を含む様々な研究結果が紹介されています。それらの科学的データとともにわかっていることとして、人類は進化の過程の99.9%の時間は自然のなかで過ごしてきたので、自然に囲まれていることがくつろげること、人間の生理機能は自然に適応するようにできているのだということが述べられていて、なるほど!と納得しました。
事例として、同じ「歩く」という行為でも、森の中を歩くのと都会の道を歩くのでは、森の中を歩く方が、コルチゾール(ストレスホルモン)が16%下がり、血圧が1.9%下がり、心拍数が4%下がったそうです。森の景観や、樹木から発するフィトンチッドのにおいが人間の感覚に影響するのですね。そう、自然環境は、人間の五感(嗅覚、視覚、聴覚、触覚、味覚)をフル稼働させることができる、唯一の場所なのです。
2 ジャクソン・ポロックの絵画をみると落ち着くのはなぜ?
人間の五感のなかで、以下の3つの感覚について詳しく解説されています。
嗅覚(におい):鼻は直接、脳につながるから強い影響があります。土に含まれる物質(ゲオスミン)や、ヒノキの香り、ラベンダーやローズマリーの香りなどが特に効果的(アロマオイルでもOK)。
視覚:自然のなかにはフラクタル・パターンがあふれています。フラクタルとは、図形の部分と全体が自己相似(再帰)になっているものなどをいいます。人間はフラクタルなものを見ると落ち着くのだそう。そして驚いたことに、実はジャクソン・ポロックの絵画にはフラクタルのパターンが描かれているから「鑑賞する人をある種の精神状態へと導く」のだということが、ナノ粒子物理学者リチャード・テイラーの研究でわかっているそうです。
聴覚:騒音のなかにいると落ち着かないこと、逆に「風の音、「水の音」「鳥のさえずり」をきくとリラックスし、α波が流れることがわかっているそうです。
3 「自然」の摂取量は足りている?
ネイチャー・ピラミッドとは、どのくらいの時間、自然に接しているとよいかという「量」の目安を示したピラミッド型の図です。ヴァージニア大学で「バイオフィリック・シティーズ」というプロジェクトを立ちあげたティモシー・ビートリーが提唱したものです。
ネイチャー・ピラミッドを参考にこれからやろうと思ったこと
私の場合は、毎月1回はハイキングや登山にいっています。また、我が家には小鳥がいるので、毎日、鳥の声をきくという恩恵にさずかっています。
家のなかで流す音楽は、水の音、自然音といったものにすると気持ちが落ち着くので、ストリーミング再生しています。
ネイチャー・ピラミッドの指標に照らすと、私の生活につけ加えるとするならば、ネイチャー・ピラミッドの頂点(年1回はちょっと足を延ばして大自然の中へ)や下から二段目(週に1回は緑豊かな公園や川辺でリラックス)の部分です。
紹介されていた都道府県別 森林セラピー基地・ロードに行ってみるのもよいかも。
以上、私が印象に残った内容をご紹介しました。これらは本のごく一部です。どの部分を取り入れるかは人によって異なると思うので、興味を持った方は、ぜひぜひ、本を手に取ってみてくださいね。