友達と行った、何一つ上手くいかなかった旅を振り返る〜前編〜
※これからお話しする上手くいかなかった事の
ほとんどが我々の準備不足が原因です
それを踏まえた上でエンタメとして
読んでいただけると幸いです
先日、友人二人と旅行に行ってきました
その内容と言うのが
和歌山の漁港から出ている船に乗って
観光地にもなっている九龍島に渡り
一泊二日のキャンプでもしようじゃないか
釣りとダイビングをして
捕まえた魚でも焼いて食べようじゃないか
と言った物でした
結果としては
漁港からほど近い、全然日本国本土の
キャンプ場で一夜を過ごす事になったのですが
その経緯について、お話ししたいと思います
思えば、「この旅が上手くいかない気配」は
旅が始まる前から
立ち込めていたように思います
出発の一週間程前、幹事をしてくれていた
友人から、電話がかかってきました
その内容と言うのが
「今日、九龍島の観光案内所に
電話をしてテントをレンタルしようとしたら
断られた」という感じ
そして、友人が言うには
「今日からキャンプが出来なくなったと
案内所のおじさんが言っていた」らしい
そんなわけないじゃない
そんなわけがないじゃない
冗談きついぜおじさん、今日からって
とはいえ、出来ないならば仕方がないので
僕らは行き先を、同じく漁港から船で渡れる
友ヶ島に変更する事にしました
そして、前日の夜、20時
バイトを終えてスマホを開くと
幹事からLINEが一通入っていました
「テントを予約するのを忘れていました」
まずい、これはまずい
無人島旅行でテント無しはまずい
それはキャンプでなく、サバイバル
テントが無い状態で
向こうでナルガクルガに出会し
戦闘不能にでもなってしまったら
クエスト達成報酬が減るという
程度では済まない
彼も何かと忙しいのに
任せすぎていた事に反省して
打開策を練った結果
漁港へ向かう途中のホームセンター
もしくはドンキホーテで買おう
と言う事に落ち着き
果たして、上手く行くのだろうかという
不安感の中
「こんなに不安じゃ夜も眠れない」と思いながら
夜、眠りにつきました
翌朝、7時半
なかなかの量の荷物と大人三人を乗せた車は
高速道路を走っていました
野宿のリスクも忘れて、車内はガヤガヤと
賑わっていました
午前9時過ぎにコメリの駐車場へ
車を停めた僕たちは、テントの神へと
祈りを捧げながら店内へと入っていきました
祈りは届いたようで
10000円+税、2〜3人用のテントを
無事に手に入れた僕らは
隣接していたマクドナルドで
フルーリーやシャカシャカチキン等を注文し
それを朝飯代わりとして勝利を祝いました
この時のフルーリーほんとに美味かった
その後、スーパーへ向かった僕らは
大量の水、氷、BBQ食材
それから、インスタント味噌汁と
いざという時の為にとカップ麺等を購入し
クーラーボックスへと放り込み
漁港へと向かったわけですが
買い物に時間をかけすぎて、この時既に10時半
目的地周辺で海を視界に捉えて
テンションが上がったのも束の間
車は住宅街へと迷い込み
漁港の正確な位置がつかめず
到着したのは11時10分でした
僕らを海水浴場の客だと
勘違いしているおばあさんが
必死のジェスチャーで僕らを駐車場へと
誘導しようとしているのを横目に走り去り
船着き場の看板を目印に
奥へと進むと、もののけ姫のジコ坊の様な
出立ちのおじさんが車の方へと
歩み寄って来ました
「お兄ちゃん達、友ヶ島行く?」とおじさん
「そうです。船は次何時に来ますか?」と僕たち
「今まさに11時のやつが出たから
次は13時やね」とおじさん
OH NO
だけど、仮に10分後に出ると
言われても困るのです
なぜなら荷物を全て車から引っ張り出して
船へと積み込まないといけないのだから
さあ、おおよそ二時間どこで時間を潰そうか
と周囲を見渡していると
駐車場から歩いて行けるほどの距離に
温泉宿が見えました
そもそも、今晩はペットボトルの水を
頭からバシャバシャ被るくらいしか
風呂らしい事は出来ないだろうと踏んで
全員同意の元、温泉に入る事にしました
宿泊はせずに、入浴だけで帰るお客さんは
少なくないようで
フロントで1200円を支払い、いざ、入浴
タイミングが良かったのか、終始無人で
三人で広々と浴槽を使う事が出来ました
ひょっとしたら、ここが旅の
最高到達点ではなかろうか、なんて思いながら しっかり30〜40分入浴した僕らは
堤防沿いを歩きながら
ゆっくりと駐車場へと戻りました
なんだかんだと時刻は12時半
どうやら船は駐車場の裏側に着くらしく
車の後ろ、僕らの頭くらいの高さの堤防に
荷物を少しずつ乗せていきました
落下してくるカップ麺に鼻頭を殴られながら
全て乗せ終えた僕らは
それらを抱え、汗だくになりながら
船着き場まで運びました
(しまった、さっき買った500mlジュース
車に置いてきちゃったな
まあいいや、明日戻ってきたら捨てよう)
小突かれたらすぐに海へと落ちてしまいそうな
細い道を渡りながら僕は思いました
息も絶え絶えに
最後の荷物を運び終えた僕らの元に
三人分の渡航券を買いに行ってくれていた
友人がスタスタと歩いてきました
「友ヶ島、キャンプ出来なくなったらしい
最終便で帰ってきてくださいってさ...」
デキナクナッタ???
まさか今日からか
ここにも九龍島おじさんの
息がかかっていると言うのか
「最終便って何時なの」
「16時半らしい」
つまりは仮に今向こうに渡ったとしても
キャンプはおろか、釣りやダイビングすら
満足にできる時間は残されていませんでした
なす術もなく、膝から崩れ落ちた僕らを横目に
他の乗客を乗せた13時発、友ヶ島行きの船が
風を切りながら出て行ったのでした
続く