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写真を「読む」こと|Artist Interview - 宵月絃 3/5
What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。2020年11月現在は、宵月絃さんのインタビューを公開中です。
四季の記憶を綴るように好きを集めては写している、何処にでもいる花好きのひとり。透明感のある写真が特徴的で、生花だけではなく、自身でドライフラワーも作りながら撮影しSNSに公開している。
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ーー宵月さんは、写真を前にしたとき「見る」というより「読む」感覚に近いとおっしゃっていますよね。その「読む」というのはいったいどういう感じなのでしょうか?
私は昔から言葉を読むのに時間がかかってしまうんです。それでも、好きなものはやっぱり読みたいなと思いますし、実際に読んだりもするんですけど、読み終わるまでに気力を使ってしまう。たぶんこれから先もそうだと思います。
だけど写真だと、自分が言葉にできなかったような感情が伝わってくる。誰かが撮った写真を見たとき、自分はそこにはいなかったのに、何を思ってこの写真を撮ったのかわかるような気がするときがあります。たまに人が映っていない写真でも、人のぬくもりのようなものが残っているように感じたり、「ここに誰かいたんだな」と思ったり、笑い声が聞こえてくるような気がするときもあります。写真のすみずみまで細かく見てしまうんですよね。
小説でも、いろんな人の心の動きや情景が事細かに描かれますよね。写真にも、小説と同じように色んなものがたくさん散らばっているようなイメージがあるんです。
変なこと言ってるなって思われますかね……?(笑)
ーー大丈夫!大丈夫です!(笑) 全然変じゃない。
目の前の写真にたいして、細かく言葉が浮かび上がるような感覚があるんです。なんでしょう、匂いとか感触とか、そういったものに繋がっていく。
自分が過去に経験したことの中から、引っ張り出しているんだと思うんです。ただ、「きれい」とか「すごい」の一言では済ませられない、もっとたくさんの情報が、1枚の写真の中には詰まってると思っています。
だから、気になる写真を見かけると、どうしても隅から隅まで見てしまいます。小説って、ページの端から端まで文字が書かれていますよね。私にとっては写真も同じです。写っているものを一つひとつ拡大しながら、画像の端から端まで見ちゃうんですよね。
「こういうこと考えたのかな」「この部分が好き」とか、「ああ、あったかい気持ちになるな」というふうに。ぱっと見るだけじゃなくて、なぞるように見る。
ーー映像が浮かび上がる感じなんですかね。それとも言葉を思いつくのでしょうか?
どちらでもあります。写真は1枚だけど、その少し先の瞬間まで見える気がします。映像でいうと、ちょっとコマ数が動いたような。この写真の情景は、このあとどんな形に変わるのだろうと想像したりします。ちっちゃなスクリーンに映し出される短い映像が、自分の中に思い浮かぶイメージです。
でも、言葉が浮かぶこともありますね。映像も言葉も、どちらもあります。
次回 更新予定記事
透明感を生み出すまでの道のり|Artist Interview - 宵月絃 4/5
Interviewer / Writer : 片渕ゆり(@yuriponzuu)
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。
Editor :伊佐知美(@tomomi_isa)
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村にて、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始。
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