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SNSと、どう向き合う?もろんのんが思う、発信のかたち|Artist Interview - もろんのん 4/4

What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。この記事は、もろんのんさんのインタビュー最終回です(※インタビュー全回は記事末尾に一覧があります)。
もろんのん Profile
Photographer / Tokyo。書籍に「インスタグラム商品写真の撮り方ガイド」「SNS時代のフォトグラファーガイドブック」「弘中綾香の純度100%」(撮影)など。
・Youtube:もろんのんTV
・Instagram:@moron_non
・Twitter:@moron_non

以下
インタビュアー: 片渕ゆり
インタビュイー:もろんのんさん

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ーー インタビュー最後のこの記事では、これから写真がうまくなりたい、フォトグラファーの階段を登りたいと思っている人に向けて、いくつかアドバイスをいただけたらなと思っています。

まず伺いたいのが、写真を続ける上で避けて通れない、SNSとの付き合い方についてです。

2018年の記事になりますが、もろんのんさんのnoteを読んで私自身が衝撃を受けたことがありました。「こんなに活躍している人でも、SNSを使う上で自分を押さえたり、迷ったりすることがあるんだ」と。

ーー 「気持ちを表現したい、多くの人に見てほしい」という気持ちと、「素の自分を出すのが怖い」という気持ちとのあいだで迷うことって、SNSで写真を載せる多くの人が通る道だと思うんです。

あれから3年が経ったもろんのんさんは、SNSで発信を続けていくことについて、どういうふうに思っていますか?

そうですね。根本的に私は、自分の好きなことや、「いいな」と思ったことを世の中に伝えたいなという思いがあるんです。それを見た人が、実際に行動に移してくれた瞬間が一番嬉しい。これはSNSに限らず、仕事にも通じることですね。

宮崎2

私の場合は、「自分を表現したい」というよりは、「ちょっとみんな見て!この場所とっても素敵なんだけど!」みたいなコミュニケーションがしたくて。

SNSでも、クライアントワークを行う上でも、やっていること自体は一緒なんですよね。

だから、これからSNSを通じて写真をがんばりたい人にアドバイスするとしたら、「好き」を集めていったらいいんじゃないかな?と思います。思い出アルバムみたいな感じ。

宮崎青島

最近だとアナログでフォトアルバムを作る機会は少なくなったと思うんですけど、SNSがその代わりになりますよね。無理に自分を表現しようとするんじゃなくて、日記を作っていくような気持ちで続けられたらいいと思います。

ーー そういうふうに考えると、なんだか気持ちが軽くなりますね。最近だと、「フォロワーを増やすテクニック記事」だとか、SNSを通じて「自分をどうすごく見せるか」みたいなところにフォーカスした情報ばかり目に入って、気が滅入ってたんです(笑)。

でも、日記の延長線というか、好きなものを集めたアルバムという考え方って、自然と続けられそうですし、何より自分が楽しくやれそうでいいですね。

宮崎

ーー 次にもろんのんさんに聞いてみたいのは、機材の話です。難しい質問なのは承知で聞いちゃいますが、初心者の方に「おすすめの機材を教えてください」って言われたら、なんて答えます……?

そうですね。「ある程度ちゃんとしたカメラが欲しい、でもプロを目指したいわけじゃない」という人には、軽くて扱いやすいSONYのα6100か、α6600などがいいかもしれませんね。

Sonnar T* FE 55mm F1.8 を合わせると綺麗な写真が撮れます。もう少しお手頃な価格帯のものでいうと、SONYのE 50mm F1.8 OSSも良いかもしれません。 

ーー 1本目のレンズは、やっぱり単焦点をおすすめしたい?

私自身が、最初のカメラを買ったときに、ダブルズームレンズキット(ズームレンズが2本ついてくるセット)を選んだんですね。

そうしたら、背景もボケないし、うまく撮れてるのかもよくわからない仕上がりだなって感じて。その後、明るい(F値の低い)単焦点のレンズを買ったら、それだけですごくボケるし、うまくなったような気がして写真がいっきに楽しくなって。

だから1本目は単焦点がいいんじゃないかと思いますね。ズームレンズを買うなら、2本目にタムロンの 28-75mm F/2.8 Di III RXDFE 24-105mm F4 G OSSなどが良いかも!

そう言いつつ、最近はスマホでも綺麗に撮れるので、予算が厳しければスマホから始めるのもありだと思います。VSCO(スマホの写真加工アプリ)でフィルターをかけたら、おしゃれに仕上げられますし。

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そう考えると、結局のところ写真は機材じゃなくってセンスと切り取り方だなとも思います。センスは、インプットすることである程度は獲得できるんですよね。インプットしながら、楽しく写真をやれたらいいですよね。

ーー ありがとうございます!最後の質問になるんですが、これから将来的にチャレンジしたいことがあったらぜひ教えてください。

あります!一言で伝えるなら、「自分がいいと思ったものを、多くの方へ届けること」です。

大きくわけると2つあって、1つ目は、旅の仕事が多いので、旅先で見つけた素敵なもの・場所を、写真や動画や企画などの力でより多くの方へ届けることがしたいです。

そして2つ目は、より多くのクリエイティブ撮影にチャレンジしてみたいです!

具体例を挙げると、artemis by DIANAというシューズブランドのビジュアル撮影を1年半くらい行わせていただいています。

ブランドや代理店の方、モデルさん、スタイリストさんにメイクさん……。それぞれのスペシャリストと、素敵なロケ地で創意工夫をして、完成させる感じがすごくやりがいがあります。毎回ちょっとプレッシャーはありますが(笑)。

ほかにも、かねてから仲の良いモデルさんから写真集の撮影依頼をいただいて、モデルさんご自身や、ファンの方が喜んでくださるようなイメージを作ったりですとか。

クライアントのイメージにあったものや、カメラの力で課題解決ができるものを、他の分野のプロと一緒にチャレンジしていきたいですね。


編集後記

もろんのんさんのインタビューを通じて印象的だったのは、「エゴ」という言葉でした。

「私がこうしたい」という自分の思いは大事なものだけど、もろんのんさんはそれを決して相手に押し付けない。写真も仕事も今後の目標も、独りよがりな「自己表現」ではなく、好きな相手とのあいだにかかる架け橋のように大事に扱う。

もしかしたら彼女は、周囲への敬意があるからこそ、その場のあたたかい空気をまるごと写しとることができるのではないでしょうか。

インタビュー終盤でもろんのんさんがおっしゃった通り、「センス」は誰でも努力次第である程度身につけられるものだと、私もそう思います。もしかすると、作品づくりの99%くらいは努力でカバーできるのかもしれません。

でも、最後のひとさじを決めるのは、結局のところ機材でもセンスでもなく、もろんのんさんのあったかい人柄なんじゃないかーー そんなことをしみじみ感じるインタビューでした。

Interviewer / Writer : 片渕ゆり(@yuriponzuu
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。
Editor :伊佐知美(@tomomi_isa
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村にて、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始。

Artist Interview - もろんのん Index




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