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ソ連占領下のエストニアで、ロックとカンフーに目覚めた青年の奇跡 「エストニアの聖なるカンフーマスター」

2024年10月4日、エストニア発の奇想天外な青春コメディ『エストニアの聖なるカンフーマスター』が日本で公開される。

本作は、若くして「映画の神童」と呼ばれ、ダークファンタジー『ノベンバー』で日本でもスマッシュヒットを記録した奇才、ライナル・サルネット監督の最新作。
エストニア、フィンランド、ラトビア、ギリシャ、日本の国際共同製作作品である。


斬新な設定と独特の世界観

本作の舞台は、ポップカルチャーが禁じられたソ連占領下のエストニア。この設定だけでも十分に興味をそそられるが、そこにカンフーとメタル音楽という要素が加わることで、さらに奇想天外な世界観が生み出されている。

主人公のラファエルは、国境警備の任務中に3人のカンフーの達人と遭遇する。皮ジャンに身を包み、ラジカセでメタルを鳴らしながら宙を舞う彼らによって、警備隊は壊滅状態に陥ってしまう。この衝撃的な出来事をきっかけに、ラファエルは禁じられたカルチャーであるブラック・サバスの音楽やカンフーに熱中するようになる。

主人公ラファエルの奮闘

奇跡的に生き延びたラファエルは、見よう見まねでカンフーを練習するが、気になった女性を射止めることもできず、冴えない日々を送っている。
そんな中、偶然通りかかった山奥の修道院で、見たことのないカンフーを自在に操る僧侶たちと出会う。ラファエルは即座に弟子入りを志願するが、そこから彼の奇想天外な修行が始まる。

監督のライナル・サルネットは、本作のテーマを「自分自身、ありのままであれ」と語っている。自分に正直であればこそ、人は内面を成長させ、世の中を生きていけるというメッセージが、この奇想天外な設定の中に込められている。

作品の見どころ

本作の最大の魅力は、エストニア×カンフー×メタルという斬新過ぎる要素の組み合わせにある。ポップカルチャーが禁じられた社会で、主人公が自分の信じる道を突き進んでいく姿は、観る者に勇気と希望を与えてくれるだろう。
また、カンフーアクションシーンも見どころの一つだ。予告編では、舞踏のごとく華麗に戦う達人たちの姿が印象的に描かれている。エストニアの美しい風景とともに、独特のアクションシーンを楽しむことができそうだ。さらに、ブラック・サバスの音楽やカンフー映画へのオマージュなど、ポップカルチャーファンにとっても楽しめる要素が満載となっている。


注目の出演陣

主人公ラファエル役を演じるのは、エストニアの若き個性派俳優ウルセル・ティルク。ラファエルが恋に落ちる女性リタ役には、『Firebird ファイアバード』などに出演し、ライナル・サルネット監督とは『ノベンバー』以来のコラボレーションとなるエステル・クントゥが起用されている。その他、カレル・ポガ、インドレク・サムル、ティーナ・タウライテ、マリ・アベルらエストニアの実力派俳優たちが脇を固めている。

監督ライナル・サルネットについて

監督のライナル・サルネットは、若くして「映画の神童」と呼ばれ、"エストニアのギレルモ・デル・トロ"とも評される奇才である。前作『ノベンバー』は日本でもスマッシュヒットを記録し、その独特の世界観と映像美で多くの観客を魅了した。本作では、前作とは打って変わって、メタルとカンフーに魅入られた男の成長をポップな映像で描く奇想天外な青春コメディに挑戦している。サルネット監督の新たな一面を見ることができる作品となりそうだ。

独特の映像美と音楽

前作『ノベンバー』ではモノクロの映像美が印象的だったが、本作では一転してカラフルでポップな映像が特徴となっている。予告編からも、その独特の映像美を垣間見ることができる。
音楽面では、大阪を拠点に国内外で活躍する音楽家・日野浩志郎が担当。エストニアの風景とカンフーアクション、そしてメタル音楽が融合した、これまでに見たことのない映像体験が期待できる。

世界での評価

本作は、すでに世界の映画祭で絶賛と笑いと笑撃を巻き起こしている。

特筆すべきは、エストニアのアカデミー賞といわれるEFTA(Estonian Film and Television Awards)での快挙。11部門にノミネートされ、作品賞をはじめとする最多9部門を受賞している。

日本での公開に向けて

日本では、2024年10月4日の公開に先駆けて、予告映像とポスタービジュアルが公開されている。予告映像では、冒頭から主人公ラファエルが謎の修道士たちと出会い「最強のカンフーを極めたい」と弟子入りを申し出るシーンが印象的だ。
また、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』のポスターが貼ってある部屋でヌンチャクを振り回すラファエルの姿や、突如現れた破天荒すぎる彼を見て「神の使いかも」と期待する修道士たちの反応など、本作の奇想天外な世界観を垣間見ることができる。

まとめ

『エストニアの聖なるカンフーマスター』は、エストニアという日本ではあまり馴染みのない国を舞台に、カンフーとメタル音楽という意外な組み合わせで描かれる青春コメディだ。一見すると奇想天外な設定ながら、「自分らしく生きる」という普遍的なテーマを持つ作品となっている。ライナル・サルネット監督の独特の世界観と映像美、そしてエストニアの俳優陣の熱演により、これまでに見たことのない新しい映画体験ができることだろう。

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