(悲報)イギリス政府の収入8割補償に喜んでいたのに、まさかの受給資格から溢れ落ちた話。
日本でも報道されていたのでご存知の方も多いと思いますが、イギリスではコロナ禍によって被害を受けた人の収入の8割を、政府が支給してくれるという何とも太っ腹な措置が取られています。
これはロックダウンのかなり早い時期(3月下旬)に発表され、全英が泣いた、ほどではなくとも、ほっと胸を撫でおろしました。飲食店などは休業、他の業界にも深刻な影響が出ているのにも関わらず英国で約2か月間、デモや暴動が起こらなかったのは、この措置が人々にもたらした安心感が理由の一つである事は間違いないでしょう。私も受給対象であると信じ、コロナは怖いけど金銭的にはあまり不安を感じずに日々を過ごしていました。(小ビジネスの経営者にも規模によって£10,000(約160万円)か£25,000(約325万円)の支給があったり、家賃は払えなくても3か月間は追い出されないなどの措置がとられています。)
ここでざっくりと、この労働者のための補償措置の内容を説明します。まず、収入の8割を補助してもらえる労働者には2種類あります。
1.会社員ーコロナのため会社から一時解雇され、税金を給料から源泉徴収されている人。給料の80%(£2500/月が上限)が支払われる。当初は3月~5月の3か月間だったが、後に10月末まで延長されて、なんと8ヵ月間になった。(従業員の雇用を守ることが政府の目的)
2.自営業者- コロナによってビジネスに悪影響が出た自営業者。(フリーランスを含む)確定申告をして税金を払っている事が条件。過去の収入の80%(£2500が上限)の3か月分が支払われる。このカテゴリーに該当するには1よりも細かい条件があり、
・年収が£50,000 (約650万円)を超えない事
・昨年度(2018~2019年度)の確定申告をしたこと。
・自営業の取引収入として得た額が全収入の50%以上であること。 (家賃収入、利息、株の配当、従業員としての収入などは、取引収入として見なされない)
私はフリーランスで仕事をしているので2の自営業者枠に入ります。収入は£50,000 には全く届かないし、昨年度の確定申告もきちんと提出しました。少ないなりに、年収の月平均の3か月分を頂けるということで、ほっとしていました。
1の一時解雇の人達は4月末にはきちんと8割が振り込まれたそうです。一時解雇の人は基本的にその会社の仕事をしてはいけないので、家で毎日遊んでいるだけでお金がもらえると、該当した友人は喜んでいました(笑)。
2の自営業者は5月中旬に申請、5月下旬にお金が振り込まれるスケジュール。1の人達より少し遅れるとはいえ、少ないながらもいただけるという安心感があったので、特にタイミングは気にならず割と余裕こいていました。
そして申請の受付日。のんきに寝てましたが、フリーランス仲間から朝イチで連絡が来て思い出しました。どれどれ、早速手続きをするか。全てオンラインで行えるので自分の氏名や年金番号を入力するだけで簡単簡単。(イギリスはいろいろ古いとか言われるけれど、お役所仕事のオンライン化は日本よりもよっぽど進んでるよなあ) 必要情報を入力したので鼻歌混じりでクリック♪。
私の余裕は、次に映し出された画面で打ち砕かれました。
「あなたは自営業者補償の受給資格に当てはまりません」
ホワッート!?
具体的な理由は書かれていなかったので何が何だかわかりません。とりあえずネットを検索すると、同じようにはじかれた人のスレッドが見つかりました。
他の人の投稿から察するに、どうやら私は「従業員としての収入」が全収入の半分以上だったので、2の需給資格からはじかれた線が濃厚。フリーランスの翻訳の仕事は、クライアントから直に請け負う場合と、翻訳エージェントを通して仕事を紹介される場合があります。翻訳エージェントからの支払いは源泉徴収されて支払われるのですが。この収入が50%以上になっていたのです。この分は「自営業としての収入」と見なされないらしい。
いただけると信じていただけに……こ、これは悲しい。
しかも家賃収入や株の配当などの不労所得とは違い、この「従業員所得」は実際に労働して得た収入なのに…。 これがなぜ他の不労所得と同じ扱いになっているのか謎なところですが、源泉徴収されている収入なら1の会社員用補償が受けられるから、という理屈なのかもしれません。しかし私の場合は正社員でもないし、必要に応じて頼まれる不規則な労働なので、1の補償からもこぼれ落ちます。
他にもアンラッキーなケースがあります。例えば会社員として税金も源泉徴収で長年支払っていたけれど、昨年サラリーマン生活を辞め自営業を始めた人は、初の確定申告をまだ行っていないため1、2双方の受給資格からこぼれ落ちてしまいあます。
周りが8割X8ヵ月の大判振る舞いを受けている時に、ゼロと言うのは心理的にも、ちと辛い。余裕こいていた自分はもうどこにもいません。
という訳で、「イギリスは給料8割補償だ!日本も少しは見習え!」と思っている方々、どちらの受給資格からもこぼれ落ちてしまったアンラッキーな人(私だよ)もいる事を知ってほしくて書いてみました。
明日からまた頑張って働きます。イエイ!