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出産したら自己導尿になった話

産院での妊婦健診や出産自体など、まだ残しておきたいことはたくさんあるのだが、表題の件があまりにも衝撃的だったので、先に書いてしまおうと思う。
こんなブログ向きの体験あるかよ…。

尿意を感じない、出せない

出産後、出血が若干多めだったことや血圧低下があり、LDRで4時間ほど過ごした後に、部屋に運ばれた。
枕元には「1人で歩くの禁止。トイレの時はナースコールしてください」的な札が置かれた。
貧血っぽさでぐったりしているところに程なくして助産師さんが来て、お手洗いに行くことを促された。えー行きたくないのにぃと思いながらもお手洗い向かう。普通、行きたくないと思っていても、お手洗いに行くと自然と少量は出たりするものである。

「…出し方がわからないです」

この時はまだ導尿地獄がはじまるなんてことは考えもせず、じゃあちょっと導尿しちゃいましょうね〜という感じで終わったと思う。

しかし日中、医師がきて、排尿障害が起きていること、治るまで導尿が必要なことを説明された。自然分娩でも、お産の進行が停滞して膀胱付近が圧迫される時間が長くなると起こることがあるらしい。麻酔分娩だとさらにその確率があがるとのこと。
初産で分娩時間12時間。麻酔分娩の割にかなり順調なお産だったと聞いていたのだが、まぁ仕方ない…と受け入れるも、そういえば今までの導尿は麻酔下なのだった。麻酔なしでの導尿は地味に痛い。

改善しないまま、3時間に一回、導尿のナースコールをするように言われ、2日程すごすも一向に改善しない。

毎回、導尿前にお手洗いに行き、自尿が0mlであることを確認する。ときどき200mlくらいでて、やったー!と思ったのも束の間、こういう時は大抵、導尿でもすごい量の尿が出て、ただただ普通の膀胱にはたまらないような量の合計800mlなどの尿が溜まっていた時だった。

2日目の昼過ぎ、遂に告知される。

自己導尿の練習から

「今までは私たち(助産師)で導尿してましたが、このままだとおうちにも帰れないので、自分で導尿して尿を取れるようになってもらう必要があります」といったようなことを言われた。まぁショックではあったが、
「大丈夫ですか?」
と聞かれても
「まあ仕方ないっすね」
と答える自分がいた。
あの時は冷静だったからそう答えられたが、これが産後メンタル破滅タイミングだったら泣き出していたかもしれない。実際、家に帰宅した日の初回自己導尿はちょうど産後メンタルで、ぽろぽろ泣きながら自己導尿した。

翌日、相変わらず尿意もなければ、自尿もでず、自己導尿指導が始まった。道具の説明、やり方を教わり、ベッドの上で自分で導尿してみる。難しいこともなく、体勢さえとれれば何とかなりそうだ。

家の中だと、ベッドの上、トイレ、お風呂場でやる人が多いらしい。自分でも想像してみて、お風呂場が無難かなと思った。

病院から出してもらえる道具は、カテーテルと潤滑剤のみとのこと。他のものは自分で購入する必要があり、帰宅日までに揃えなければいけない。
結局ぎりぎりだったので、家でぶっつけ本番だったが、早めに揃えられたら病院でその道具でいけそうか試してみることも可能とのことだった。

ちなみに購入した物はこちら。
赤子の物にお金払うのはいとわないが、これら道具は集めるだけで気持ちがだだ下がりした。

3回目くらいには助産師さんをあてにすることなく自己導尿できるようになった。私のいた産院は毎日担当が変わるのだが、みんな器用だの上手いだの褒めてくれる。
まさか出産ののちに褒められるのが導尿だなんて入院前は想像つかなかった出来事である。この時はこんなことで褒められても…という感じだったが、家に帰って無心で導尿していると、また助産師さんたちに褒められたい気持ちになるのだった。

担当の助産師さんが毎日違うことで、毎日「どこでやるかとか考えてますか?」という導尿中の暇つぶしトークが入り、後半毎日同じ会話をするのに疲れてしまった気持ちもあったが、都度違うアドバイスが聞けたのはよかった。特に、導尿しやすいコツとしては腰を前につき出すような体勢を取ること、カテーテルの袋はカテーテルとプラを一緒に持って引き剥がすとうまく剥がせること、導尿が痛むときは尿道で壁にぶちあたっていて尿道は床の向きに進んでいるので床に向かってさすような方向でいれると痛みが減ること、潤滑剤は上からかけるだけでなく掬い取るようにして全体につけると痛みが減ること、を教えてくれた助産師さんたちには大感謝である。おかげで人にやられるより自分でやった方が痛みも少なく気持ちが楽になった。

水分量

最初、水分をとにかく取るように言われていたので3ℓ/日くらい飲んでいたのだが、それだと3時間毎の導尿でたまに800mlほど膀胱にたまってしまった。
普通は500ml程度で満タンらしく、膀胱が伸びてしまっているので導尿回数を増やすか水分をもう少し減らすかがよさそうと言われた。
最終的に2.4ℓ/日くらいに収めることで、あまり溜まりすぎることがなくなった。

退院後

やはり1番心配だったのは、家に着いて、自己導入がうまくいかない場合だ。また膀胱が膨らんでしまうのでは、間に合わなくて破裂するのでは、、、と不安になった。
助産師さんに聞いたところ、だめだったら電話して来院してとのことで、自分で尿が取れずに退院日に病院に尿をだしに舞い戻る姿を想像してしまった。

帰宅して1番にやることが、子のお世話、ではなく、自分の尿のお世話である。届いていたアマゾンの箱を開け、いつでも使えるように洗面所に配置する。荷解きをし、カテーテルと潤滑剤もそこに仲間入り。そしてお風呂場でそそくさと導尿を試す。

病院ではベッドの上でリクライニングしてやっていたが、お風呂場の床に直接座るのは少し躊躇したので、椅子の上でやることにした。円座クッションがなくて大丈夫かも不安要素だったが、アドバイス通り「腰を突き出すように座る」と、そもそも傷口があたることもなく、すんなり対応できた。一安心だ。

まずはお手洗いに行き自尿がどのくらい出るかチェック。そのまま風呂場に移動。浴槽のふちにキッチンペーパーを敷き、その上にカテーテルを用意して潤滑剤をかける。椅子に浅く腰掛け、鏡で確認しながら清浄綿で拭き取り、カテーテルをいれる。導尿できたら、自尿、残尿、飲料の量を記録する。ついでに下半身シャワー浴をして終了。手際よくやっているつもりだが、自尿をだそうと頑張ったりする時間や片付けの時間含め、30半弱はかかってしまう。

退院してから1週間がたった。
入院を2日延ばしたため、出産からは2週間となる。
自尿0mlが続くことは減り、導尿量も安定して下がってきている。しかし相変わらず尿意はかなり少ない。3-4時間ごとにお手洗いに行くぞと決め、アラームをセットしてあるのでなんとかなっているが、アラームがなかったら24時間経っても、ちょっと尿意感じるかも??くらいな気がする。残尿感なども一切感じ取れないため、もう導尿量が少ないから自己導尿やめていいですよと仮に言われても、ちょっとまだ怖くてやめられない。
ちょっとずつ前進していると思うのだが、三歩進んで二歩下がるような進捗具合だ。1ヶ月検診で尿意、残尿感を感じ導尿をやめられるのが目標、と言いたいところだが、目標に対して私ができることは何もない。できるだけメンタルを揺るがさず、粛々と自己導尿するのみだ。

生活

授乳ミルク3時間おき、自己導尿3-4時間おき。
授乳は片方10分程度吸わせているが、トータル30分くらいかかったりする。そこから不足分のミルク10分、さらに寝かしつけ1時間弱、自己導尿30分。
ちょっとうとうとしたらすぐ次のターンが始まる。
妊娠中から睡眠が壊れていたおかげで、細切れ睡眠に慣れているとはいえ、流石に細かすぎる。体がもたないので、都合よく授乳ミルクの時間をちょいずらししたり自動搾乳機を使用して生活している。ある程度寝てくれる子でよかった。

さいごに

麻酔分娩の副作用に確かに排尿障害は記載されていたが、正直全然頭に入っていなかった。自分には起きないだろうなんて思わず、ちゃんと覚えておいた方が良い。そしてそこには、大抵の場合は退院までに改善するとあるが、大抵に入らない場合もあることを肝に銘じておかなければならない。

しかしこの経験をしてもなお、もし次の出産があるとしたらわたしは悩まず麻酔分娩を選ぶだろう。

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