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声の可能性を探究する~ヴォイスヒーラー先駆者の叡智
わたしが提唱している『ボイスエンライトメント』のメソッドやベースになっている考え方は、
これまでわたしが出会ってきた叡智や実践法の集大成。
声の探求者だけにとどまらず、身体の可能性を追求している人、意識や波動の世界の先駆者たちの影響もたくさん受けてきましたが、
その中でも日本のヴォイスヒーラー先駆者である渡邊満喜子さんの影響は計り知れません。
といっても、渡邊満喜子さんは、もうこの世を旅立たれてだいぶ経つので、何冊かの著書を通じて、彼女の叡智に触れてきただけで,
わたしはお会いしたことがないし、直接レッスンを受けたわけではないのです。
でも、とてもおこがましい話かもしれませんが、彼女の残したメッセージを読んでいると、まるでわたしの中に渡邊満喜子さんのスピリットが入っているのか、あるいは、ガイドスピリットとしてわたしの活動をサポートしてくださってるんじゃないかと感じることがあります。
彼女の残したメッセージ一字一句が、わたしがこれまでに体得してきたことであり、人に伝えていきたいことだし、本を読んでいるだけで、メッセージが魂に触れて、自然に涙が溢れ出てくることがあるのです。
つまり、真理というものは、時空を超えて”たったひとつのこと”を伝えているのだな、ということがわかります。
”活元運動”でヴォイスヒーラーとしての才能が目覚める
さて、ヴォイスヒーラーの渡邊満喜子さんですが、
彼女はもともとライターさんで(だから抽象的な概念でもわかりやすい)、音楽の専門的な訓練を受けてきた人ではありませんでした。
そんな彼女が、突如「人や土地を声で癒す」ヴォイスヒーラーとしての眠っていた才能を開花したきっかけになったのが、野口整体の「活元運動」。
そのことは、渡邊さんのどの著書にも必ず出てくるエピソードです。
奇しくも、わたしは彼女の著書を読む以前から「活元運動」を実践していたし、レッスンでも生徒さんたちともその恩恵をわかちあってきたのでした。
「活元運動」は、錐体外路性運動系を健全化・活性化させることによる自己回復法なのですが、
この錐体外路性(すいたいがいろせい)運動ってなにかっていうと、
頭の指令で身体を動かす錐体路性運動と違い、
身体が勝手にバランスを取ったり、勝手に整体したり、無意識の身体の反射だったり、とにかく、自分の意思とは関係なく出てくる体の自然な動きのことです。
寝返り、あくび、のび、まばたき、くしゃみ、貧乏ゆすりなどは錐体外路系運動。
それのみならず、脈や鼓動、消化や排泄などの自然な生理的生命活動もすべて錐体外路運動です。
つまり、私たちの身体が元気でいられるのは、この錐体外路運動が適切に行われているからということになります。
「錐体外路系運動」は、自分が「するもの」ではなく、「起こるもの」です。
それをわざと起こしていくのが「活元運動」。
それをトレーニングしていくと、身体がベストな状態に整体されていくだけでなく、渡邊さんのように、眠っていた潜在能力が開花する、ということはとってもよくあることなのです。
身体の自然体を取り戻すことにもつながるので、自然環境と同期してシンクロニシティが起こりやすくもなります。
動物や赤ちゃんは錐体外路系運動の達人ですが、
それは、思考の囚われがないからです。
私たちの普段の動きは、思考の囚われによってとっても制限されています。
アタマの命令がないと、身体が動けなくなっているのです。
それで、自然な整体が起こったり、自然に身体のバランスを取ったりということがなされないので、身体が歪み滞りが生まれます。
「活元運動」をやっていくと、その身体の歪み滞りが解消されていくので、
思考の囚われからも自由になっていきます。
※ちなみに「活元運動」が起こりにくい人は、
思考の囚われ(エゴ)が強い人であり、
身体自由性もあまりありません。
活元が起こってくると、普段の動きとは全く違う、”独特の”動きが出てくるのですが、
身体自由性が奪われてしまった人の動きは、
普段動かしている身体の部分の、とても限られた動きしかありません。
そうすると、
身体の中に慢性的な緊張と弛緩のムラが生まれて、
それがその人の思考パターン(頑固さ、執着、認知の歪みなど)にも影響するということになります。
ボイスエンライトメントで提唱している
「トーションボイス」を発声できるようになるには、
「錐体外路系運動」の活性化が必須です。
なぜなら、身体が響く自然な声は、錐体外路系運動で発声されるからです。
歌も楽に、自由に繊細な表現ができるようになるので、
結果上手になります。
歌う、だけでなく、ダンス、武術、楽器演奏、スポーツなど、
あらゆるパフォーマンスは、錐体外路系運動が活性することによって、
格段にレベルアップします。
満喜子さんの紹介のつもりが、
「活元」のことを思わず熱く語ってしまいましたが(笑)。
最後に、彼女の著書に残された、心に響く素晴らしいメッセージをご紹介させていただきます。
ボイスエンライトメントのコンセプトにもつながりますので、
みなさまの中の何かに共鳴しましたら、ぜひご一緒に声の可能性の探求をしていきましょう~♪
私たちは普段、声を意思伝達のための物理的な音声装置ととらえています。
伝えられる意味だけが意識化されて、
それを運ぶ「声の響き」がもつ力には無関心です。
また一方では、声は音楽的表現としてさまざまな歌になります。
けれど私たちが学ぶことができる近代以降の洗練された声楽の技法は、声の精髄である「魂の響き」を直接的にとらえて音声化する方向には発展しませんでした。
他方、声の原初的な役割やその意味は、時間軸や空間軸を移動していくことで、さまざまな響きに出会うことができます。
歴史や文化を超えていくことで、
世界各地に残されている声を伴う宗教儀式、民族音楽の固有の唱法、さまざまな古楽が伝える声の技法は、声がかつて日常的なコミュニケーションの手段を超え、芸術的な表現術を超えた、さまざまなレベルの普遍的存在(天地にわたる神々や自然の精霊等)との共鳴の手段ではなかったかと想像させます。
けれど
私たちが生きる社会の中で、
そうした原初的な声の力の痕跡に出会う機会は限られています。
音声を発すること、その響きを聴くことは、眼で見える世界を理解するよりもさらに深い内的な体験をもたらすと言われてます。
内的な世界と響いている普遍的な存在との共鳴をもたらすからです。
身体を基軸にこうした声の可能性を求めていくと、声と呼吸、呼吸に内在している魂の息吹、魂の息吹が伝える普遍的な存在への響きへと導かれ、声がいかに深い領域に存在するものから発せられているかを、体感するようになります。
それぞれの物質的な身体のレベルを超えていく精妙な生命エネルギーは、固有の魂の響きをもっています。
この響きを固有の音声に転換させ、その発声を誘導することがヴォイスヒーラーとしての私の仕事です。
(ヴォイスヒーラー渡邊満喜子著)より抜粋
ラテン語で「息」と「霊」は同じ語源をもつそうだ。
チベット語では、風と呼吸は、同じ言葉だという。
そしてスーフィーの偉大な音楽家でえるハズラト•イナーヤト•ハーンは、「声とはプラーナで、それが外部に現れたもの」だと言っている。
声が息であるなら、
それは身体を風のようにめぐりながら、身体のレベルを超えたもっと霊妙な何かであろう。
声が、人間の意識を超えたある霊的なレベルの響きそのものであるとしたら、人間が声をとおして深遠な世界の響きにつながろうとしたさまざまな宗教的あるいは呪術的な様式も、同じ体験を普遍化したものといえるかもしれない。
しかしいずれにしても、その声はある日、身体の奥深くから風のように現れたのである。
そのときから私はこの身体が
「自分という自我意識の命令によって動く機械的な存在」などではあり得ないことを実感し、声が、人間の意思伝達のために授けられた、ただの音声装置ではないことを理解し続けてきた。
わずかな例外があるとしても、
声はすべての人に与えられたものだ。
この響きの中に、自分が見失ってしまった大切な「自分」が存在しているとしたら、その響きこそが、人間が見失ってしまったある普遍的な領域に通じるパイプだとしたら、
人間の身体はあたかも聖なる響きが共鳴する寺院や聖堂のようである。
(ヴォイスヒーラー渡邊満喜子著)より抜粋
人間は「鳴り響いている」。
その響きを音声に変えて歌うとき、
私は宇宙のシンフォニーに共鳴している。
これほど、身体を倍音で満たして歌う実感を正確に表現している言葉があるだろうか。
宇宙と地上の音楽がもっている調和的比例関係を、私たちの魂は知っていて、声の発現を意識的に支えようとするヒーラーと共に「内なる響き」ー魂の歌をうたい出す。
私が求めてきた声の進化とは、いかに純粋に宇宙の振動のネットワークの中でも鳴り響くことができるか、ということだったのだろうか。
この地上で、最も純粋なひとつの音になること。
それは、魂がもつ宇宙の記憶の中にいつでも還ってゆける「音楽」そのものになるということだったのだ。
私と共に歌い、身体の中枢を流れる美しいひかりを声に転換することを体得した瞬間、多くの人が呆然とし、やがてあふれる涙をぬぐうことも忘れて、自らの歌と融け合うがごとく至福に包まれたのは、そこに宇宙が存在していると感じたからだ。
「自分とは誰か」ーこの問いに答えうる響きを歌が教えてくれたのだ。
言葉からも意識からも遠く離れて。
歌によって根源的な自分に還るということは、まさに奇跡のようだ。
(ヴォイスヒーラー渡邊満喜子著)より抜粋
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