寒露(かんろ)
昼が短く、夜が長くなり秋空が濃く
月が綺麗に見えた中
菊の花が咲いている横を僕は歩く
暑がりの僕にも過ごしやすくなって内心喜びながら
空に手をかざす
月明かりが綺麗だからか
街灯の光がないからか
自分の手じゃないみたいで
儚く消えそうだった
何もかも月の光で消えてしまいそうと怖くなった
でもそれは意識と共にここに戻された
隣にいる凛となる音によって
僕はその音を聞きたくて
その音がいるから
ここに存在していることを確かめたくて
コオロギの合唱のせいにして
もう一度聞かせてとお願いする