芒種(ぼうしゅ)
『芒種』
ジメジメした
今にも水が降り出しそうなこんな日に
ベランダで汗をかきながら
ガーデニングを始めた彼
その姿は楽しそうで
唯でさえムシムシと蒸し暑く
イライラしている私には目もくれず、
『種』と向き合っている
『それ、何になるの?』と聞くと
『花』と返ってきた
花なんて好きじゃないくせにとぼやき、
アイスコーヒーでも入れてあげるかと
キッチンに戻ろうとした時
『必ず、色とりどりの色が咲くから』
雨が降りそうなこんな天気なのに彼の笑顔は太陽のようだった
机にあった私の色彩の仕事の資料が風に吹かれてパラパラと音をならした