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「俺じゃなきゃ嫌って言って」
弱々しく、切なく吐かれた息と共に耳に届いた音
左頬にあたる温もりを感じたのは音を理解出来た後
「君じゃなきゃ私はダメだよ」
とは届けてきたつもりだ
でも実際は人間は強く、君がいなくても生きていける
乾いた考え方だが、実際はそうなのだ。
人間は現金だから
だからこそ
「特別」という意味で目の前の塊に届けていたのだ
それも笑って、別の意味合いで
ただ、同じ意味合いでも目の前の声や表情は異なった
違うのだ
絶対的に
縋るような目にいっぱい水を溜めて、
今にも溢れだしそうな苦しい顔
鈍感な私でもわかる
これは
【不安】
それを一瞬で吹き飛ばす【安心】を欲しているんだと
時間が感情を加速させないように
紡ごう
何度でも
何万回でも
今早く
「君じゃなきゃ私はダメだよ」
と少しでも君の心に安心を届けるつもりで