『金澤由果の場合』
彼女が苦しんでいたのは知っていた。
今、1番辛いはず彼女は…ずっと彼を信じて笑っていた。
『大切に思っていたよ。
どうしたら一緒に同じ道を歩んでいけるか…
ははっ…私…必死だったんだと思うー。
ただ、結果が『こんなの』だったなんてね、
私ね…あの人に出会えて…特別な関係になれて、たった一時だったとしても…。
とても幸せだった。
あの人、あんなにボロボロだった時に
「今、幸せで満たされてる」って言われた事があってね。
涙が止まらなくて。
私自身も幸せで満たされていたんだよね。
私は彼の未来が幸せであることを…願うよ。
でも…今はまだ…『思い出』に恋をさせて。』
彼女は笑いながら…
そう、笑いながら…頬に伝う涙は光にあたりとても綺麗に反射して、
私はこんなに綺麗に笑う人がいるんだなと思った。
深く…今も「愛している」んだと…
震えた最後の言葉を聞いたら…。
気の利いた言葉が私は何一つ出なかった。