これからの「働き方」を考えるための ハンナ・アレント『人間の条件』Zoom読書会 6/28後記, 7/5告知
執筆:ぬま(ビジネスパーソン)
去る6/28に第9回を開催しました。
今回は「第14節 労働と繁殖力」を読みました。
いつも通り、パラグラフを順に要約したスライドを用いて、ときどき音読も交えながら進めました。
参加者のみなさん、今回もご参加いただきありがとうございました。
いつもはだいたい2節ずつ進めているんですが、「第3章 労働」も中盤に差し掛かってきて、議論が分厚くなり思うように読み進められません。第14節を読むだけで3時間が過ぎてしまいました。もちろん、早く読み進めること自体が目的ではないので、じっくり読み進めていくつもりです。
『人間の条件』では「第13節 労働と生命」→「第14節 労働と繁殖力」という流れになっていて、労働の生命活動の強い結びつきが記述されていくような表題になっています。実際そういう側面も強いわけですが、ドイツ語版の『活動的生』で確認すると「第14節」の表題は「いわゆる労働の生産性とは似て非なる、労働の多産性」となっていて、ここからは『人間の条件』の表題とは別の意図が読み取れそうです。
どういう意図かというと、、、それについては『人間の条件』をもう少し読み解いてみたいと思いました(笑)
印象に残ったところ
苦痛に満ちた体力の消耗と喜ばしい再生という定められた循環の外側に、永続的な幸福はない。しかし、このような消耗と再生のバランスを崩してしまう生活もある。たとえば、消耗のあとに再生がやってこないで、そのまま悲惨な状態が続く貧困と困窮の生活がある。あるいは逆に、巨万の富の生活、全然努力を必要としない生活がある。この場合には、消耗の代わりに倦怠が現われ、消費と消化という必然の挽臼が無気力な人間の肉体を情容赦なくすりつぶして、空しく死に至らしめる。このように、消耗と再生の循環のバランスを崩してしまうものは、たとえそれがどんな生活であっても、生きていることからくる基本的な幸福感を台無しにしてしまうのである。(『人間の条件』165頁)
アレントは極端な例(貧困の生活と億万長者の生活)を挙げていますが、噛み砕いて言えば、適度に働いて疲れて休んで回復してまた働いて...という「消耗と再生の循環」のバランスが幸福感にとって大事で、回復しないと辛いし、消耗しないと空しい。とても身につまされる話だなと思って読みました。
最近は在宅勤務なので、仕事が嫌なときは寝転がっていますが、段々と気力がなくなってきてやばいなって気づくときがあります。(笑)
逆に、外出しなくてもZoomでいろいろできるようになったので、仕事意外の予定を詰め込みすぎたために、消耗ぎみで回復する時間がない。バランスって難しいなと思う今日この頃です。
対策として「疲れて嫌な時はやらない」「回復したらまた自然とやりたくなるだろう」そんな風に考えて過ごすようになりました。
また、アレントと言えば、「公的幸福」という活動と言論をすることによって享受される幸福についてばかり論じている印象がありましたが、労働と消費に関わる幸福についても述べているんだなと少し驚きました。アレントの政治思想における後者の幸福についても気になるところです。
次回予告
次回は7/5(日) 14:00~17:00に開催します。
第三章「労働」の第15節「財産の私的性格と富」〜第16節「仕事の道具と労働の分業」を読む予定です。
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解説スライド
読書会用のスライドをご購入いただけます。取り上げた範囲について、パラグラフごとに丁寧に要約したものになります。理解の助けとしてご活用いただければと思います。15枚ほどのスライドになっています。
よろしくお願いいたします。
(以下、Google Slide を埋め込んでいます。)
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