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これからの「働き方」を考えるための ハンナ・アレント『人間の条件』Zoom読書会 6/7後記, 6/14告知

執筆:ぬま(ビジネスパーソン)

去る6/7に第6回を開催しました。
いよいよ第3章「労働」に突入し、「働き方」の議論も盛り上がってきました!
参加者のみなさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

第11節 わが肉体の労働とわが手の仕事

いつも通り、パラグラフを順に要約したスライドを用いて、ときどき音読も交えながら進めました。

第11節は、労働と仕事という似て非なる言葉が、古代ギリシャ以来、明確に区別されてこなかったという話に始まり、それらの意味の歴史的な絡み合いを解きほぐしながら、「労働」の意味を浮き彫りにしようというような内容でした。

読みタグ

今回も「読みタグ」をやりました!
参加者で Google Jamboard を共同編集し、読みながら思ったことを自由に付箋(タグ)に書いたものです。

読みタグ_『人間の条件』11,12節_読書会_20200607 1

労働や仕事について、スキル、資格、バリューなど、身近な例を引き合いに、様々な角度から議論しました。
労働と仕事は、「肉体労働」とは言うけど「肉体仕事」とは言わないし、「仕事に行く」とは言うけど「労働に行く」とはあまり言わないというように、日本語でも使い分けられているけれども、その違いを明確に言葉にするのは難しいですよね。そんな議論もしました。

下記リンクに誰でも匿名で編集できる読みタグをご用意しましたので、
是非『人間の条件』を読みながら思ったことを自由に書き込んでください!
ある程度まとまったら画像化してこのnoteに貼り付けようと思います!

印象に残ったところ

…しかし、分業では、一つの活動力が非常に多くの細かい部分に分化しているので、それぞれに専門化した作業者は最少の技能しか必要としない、この結果、マルクスが正しく予言したように、熟練労働が完全に廃止される傾向が現われる。したがって、労働市場に持ち込まれて売られるのは、個人の技能ではなく「労働力」となる。この「労働力」は、生きている人間ならだれでも、だいたい同じくらいの量をもっているだろう。さらにつけ加えれば、未熟練な仕事というのは用語上の矛盾であるから、熟練、未熟練というこの区別はただ労働する活動力だけに有効であり、それを主要な引証基準として用いようとする試みは、すでに、労働と仕事の区別が、全体を労働とする方向で取り除かれていることを示している。(『人間の条件』143頁)

労働と仕事の区別は難しいので置いておくとして、筆者なりに簡単に言い換えると、労働者の武器(売り物)が個人の技能ではなく単なる「働けること」になるという話だと思いますが、そうなってはいけないな、でもそうなってるかもなと感じながら読みました。

たしかに何か一つのことに熟練して、それだけをやって生きて行くということが難しい時代になってきている実感があります。ビジネス書でも「〜のスキル✖️〜のスキル」で稀少価値を上げましょうみたいな話をよく聞きますよね。これを推し進めると、無限のスキルを持った「何でもできます!」みたいな人達ばかりの世界になるのかもしれません。
職場でも「属人的な仕事はよくない」という話をしたりしますが、労働をなるべく誰でもできるようにしなきゃという圧力をみなさんも感じているのではないでしょうか。

次回予告

次回は6/14(日) 14:00~17:00に開催します。
第三章「労働」の第12節「世界の物的性格」〜第14節「労働と繁殖力」を読む予定です。
「労働」と「繁殖力」という一見無関係なものを並置するなんて非常にシュールな感じがしますね。一体、どう関係しているのか、じっくり読み解いていきたいと思います!

なお、途中入会者を募集中です!
毎回冒頭で前回までのおさらいをしますので、おいてけぼりもありません!
ご興味ある方は、是非、下記noteの入会フォームよりご応募ください!

解説スライド

読書会用のスライドをご購入いただけます。取り上げた範囲について、パラグラフごとに丁寧に要約したものになります。理解の助けとしてご活用いただければと思います。15枚ほどのスライドになっています。

よろしくお願いいたします。
(以下、Google Slide を埋め込んでいます。)

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