フィールドワーク「浜松」
実施日:2024年7月20日、21日
「芸術環境分野特論6A」はフィールドワークを通して文化デザインの現場を学ぶための授業です。社会人学生も参加しやすいよう土・日の1泊2日を基本に行われており、2024年度は「亀岡」「常滑」「浜松」「鯖江」「茅野」「昭和村」の6箇所がフィールドワーク先に設定されました。
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浜松市はホンダやスズキ、ヤマハなどの創業地であり、日本有数の工業都市です。自動車やバイクのほか、カワイ、ローランドといった楽器メーカーが拠点を置く「楽器と音楽」の街としても知られ、ユネスコの創造都市ネットワークにも名を連ねています。斬新な楽器を世に送り出し続けてきたヤマハデザイン研究所と展示ギャラリー「YAMAHA INNOVATION ROAD」を見学する他、「浜松市楽器博物館」や「スズキ歴史館」等を訪ねます。
担当:久慈達也
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伝統工芸の産地を訪ねることが多いフィールドワークの授業ですが、プロダクトを研究している学生や博物館教育を研究している学生もいるので、今回は少し趣向を変えて、工業製品と企業博物館をフィールドワークの対象としました。
まずはヤマハ本社に併設されているYAMAHA INNOVATION ROADとデザイン研究所を訪問から。所長の川田さんのヤマハのデザインについてのレクチャーを受けてから、企業ミュージアムであるINNOVATION ROADを見学するという大変贅沢な時間を過ごしました。
見聞きした情報を忘れないうちにまとめる練習のために、学生たちにはフィールドノートの即日提出を義務づけていたので、見学後はすぐ解散し、フィールドノートの作成に入ります。引率の私は一人東海道を歩いてみようと天竜川まで。
2日目は浜松から一駅西にある高塚駅から歩いて「スズキ歴史館」に向かいます。実車のほか、工場のラインを模した展示もある楽しい場所です。
カーデザインの作業工程の様子やスズキの企業理念がよくわかる展示になっています。
さらに上階ではスズキの歴史を示す膨大な資料が並んでいます。昨日訪問したヤマハもそうですが、スズキにホンダなど、なぜ浜松で工業が発達したのでしょうか。その一つの答えは、機械工業を専門とする浜松高等工業学校(現在の静岡大学工学部)の存在です。文部省が大正12(1923)年に全国各地に作った専門学校の一つが浜松に設置されたことで、日本有数の工業都市として発展しました。
午後は浜松市楽器博物館へ。ヤマハだけでなく世界中の楽器を見ることができます。フィールドワークとしては楽器そのものだけでなく、どのような教育ツールやプログラムが行われているのか、も注目すべきポイントです。
正規のプログラムとしては楽器博物館まででしたが、この近辺には他にも多くの企業博物館があります。希望する学生を連れて、もう一つのヤマハ、ヤマハ発動機のコミュニケーションプラザの見学に向かいました。
産業の集積地としての浜松近郊を存分に堪能しましたが、1泊2日では見学時間が足りません。掛川まで行くと資生堂企業資料館もありますので、またぜひ訪れたいエリアです。