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大石内蔵助の十三年間
かの大石内蔵助が、赤穂藩の家老をつとめていたころです。
城下の町人の中に、赤穂で塩を造ったら大いに藩の財政を潤すだろうと考えた者がいた。
同士を帯同して、家老大石に面会し、
"赤穂藩のためにぜひ、ご許可を"と懇願した。
こまかい彼らの申請をつぶさに聞いていた大石は、やがてこう答えている。
「なるほど、その方らの考えは大変おもしろい。
よく検討したうえ、沙汰しよう」
おそくとも三ヶ月か半年中には認可されるだろうと、町人らは鶴首して待っていた。が、
一年たっても二年たっても、なんの音沙汰もない。
光陰矢の如し、
一同あきらめて、わすれかけていた十三年目、ようやく呼び出しがかかった。
「十三年前、その方らが製塩の許可を願い出たこと覚えているか。
あの話を聞いたときから、よい発想とは思ったが、よくよく考慮したところ問題があったのだ。
まず塩を煮るには薪がいる。薪をたくには木を切らねばならぬ。多くの樹木を切ると山がはだかになる。はだかの山に大雨が降ってみよ。たちまち洪水だ。大洪水になれば田畑はメチャメチャ。農業の荒廃は一藩の荒廃じゃ。
そう気がついたので、あれから十三年、植林に尽力してきた。
もうそろそろ木を切り出しても、山がはだかになる心配はなくなった。
よって、その方らの製塩事業を許可する。
おおいに城下が潤うよう、つとめてもらいたい」
後日、四十六士を結集し、いくたの困難を乗り越えて、みごと、主君の恨みを晴らす、大石内蔵助の智慮の周到さを、ここでも、かいま見ることができるようだ。
高森顕徹
光に向かって100の花束 一万年堂出版 より
あの大石内蔵助さま
昼行灯なんて言葉は聞いたことありましたが、
赤穂の塩造りにこんな逸話があったとは、知りませんでした。
為政者として目先の利益だけでなく、
危険回避能力、さまざまな目配せ配慮ができる立派な方だったのですね。
まぁ下々の者からすれば、途中経過に説明なりあれば完璧なのですが・・・
でも素晴らしいアィデアも実現するのに
このような大きな視野をもち、準備する能力、
時を見極める能力。
一番に民の安寧を大切にしてくれている姿。
リーダーに欲しいと願ってしまいますね。
スピードアップが求められる現代だからこそ
対極にある思慮深さが際立って 八方良しを実現してますね。
じっくりと大局を見極める。
この視点を忘れてはいけませんね。