君は OFFICE CUE を知っているか ~ユクミチ キタミチ~
桜が咲いた。
近くの桜並木は満開だ。
いや、もう散り始めているのかもしれない。
この時期になると思い出すことがある。
札幌で働きだして最初のゴールデンウイークに、学生時代の気の置けない友人たちと旭川に旅行へ行った。
層雲峡という観光地でうら若きキャピキャピの女子5人組。
男っ気の全くない、笑いっぱなしの旅だった。
壮大な景色の前でわちゃわちゃやってると、高そうなカメラを持った中年のおじさまが声をかけてきた。
「君たち、ヘリコプターに乗らないかい?」
訊けば、近くでヘリコプターの遊覧飛行をやっているとのことだった。
新社会人の私達にそんな贅沢なことができるお金もなく、丁寧にお断りしようとしたら、
「遊覧飛行のポスターのモデルになってくれたら、ヘリに乗せてあげますよ。」
と言うではないか。
ただで?
まじですか?
はいはいっ モデルやります!
と二つ返事でおじさまの後をついていった。
ヘリコプター乗れるの?
ケビンコスナーじゃん。
エアウルフだね。
トップガンみたい。
なんて思っちゃいないけど、サイコロ3の大泉くん並みに浮かれていたのは間違いない。
思っていたより大きなヘリコプターにきゃあきゃあ言いながら、まずはその前でカメラに向かってポーズ。
「はい、じゃあ、乗り込んでシートベルトしてください。」
と促されて、ウキウキで乗り込んだ5人のギャルたちを、おじさまはものすごい勢いで写真を撮りまくった。
「もっと笑顔で」 とか 「親指立ててみよう」 とかいう要求にも素直に応じ、プロカメラマンってすごいな なんて思っていたら、一息ついておじさまは言った。
「はい、ありがとうございました。いい写真が撮れました。終了です。」
え?
終了?
これ
飛ばないの?
「写真出来たら送りますね。」
とおじさまは大変紳士的に、呆気に取られている浮かれ女子たちの手を取り、ヘリコプターから降ろしてくださった。
しばらく無言で歩いて、おじさまに声が届かないだろうというところまできて5人は顔を見合わせた。
みんな同じことを思っていた。
ヘリコプターに背を向けたままそれぞれが叫んだ。
なんだよ。
飛ばねーのかよ。
写真送りますね
じゃねーよ。
おとなって、おとなって
嘘つきだーーー!!!
よく考えると、
乗せてあげるとは言ったけど、
飛行するとは言ってないのだ。
おじさまは別に嘘をついていたわけではない。
勝手に遊覧飛行できると思い込んでいただけなのだ。
今ならそんなうまい話しはそうそうないってわかるけど、
あの頃の20代の私たちはあまりにも若かくて素直だった。
会うたびに出てくる笑い話。
そして 先日、
上の写真の頃の私と同じ20代の彼らを、クロネコさんが届けてくれた。
水曜どうでしょうプロジェクト2000
四国R-14
の チームナックスの5人
と
NORD (ノール)6th anniversary
LIVE TOUR 2022
の ノールの4人
23年前2000年の NACSと
昨年2022年の NORD。
図らずも、時を超えて同じ20代の推したちが
一緒に私の許にやってきたのだ。
三日間で本編、副音声 特典映像、のべ700分。
一気に観てしまった。
どっちのBlu-rayも推しの渋滞で、いまだににやにやが止まらない。
ノールの爆笑の特典映像を観終わって、
この子たちの中にある、恐ろしいほどのナックス遺伝子を垣間見る。
オオイズミーニョ現象が吹き荒れる。
意味もなく脱ぎたがる。
下ネタ全開。
わちゃわちゃがとまらない。
四国R-14の本編は、怖かったけど最後には泣けるいいホラーだった。
私のかすかな記憶には、本編の前後に収録されている初めてチームナックスがそろってTV出演したメイキングの方が残っていたのかもしれない。
何とも若い5人がそこにいた。
どうしてそんな衣装なの?っていう格好で、少し緊張して、でも楽しそうにしている若かりし時代の彼らは、やっぱりおもしろい。
方やキラキラのステージで歌って踊って、時にぐだぐだになりそうになり、時に涙しそうになり、必死に未来に向かって走っているローカルボーイズユニット。
方やHTBの狭い調整室(?)で、これからどうなっていくのかわからないが、やっぱり必死に世に出ようとして頑張ってぼやいているローカル演劇ユニット。
私には20年以上も違う時代に、同じ20代の若者たちが作り上げた作品に、同じ熱さを感じられる。
どちらもそこに懸けている。
どちらも一生懸命なのだ。
しかし、現在の彼らの声が録音されている副音声は少し違う。
ノールはユクミチ(行く道)を見つめている。
さあ、これからなんでもやってやるぞという無鉄砲な熱さがある。
ナックスはキタミチ(来た道)を思い返している。
あの頃の自分たちを少し羨みながらも、今の自分なりのユクミチを見つめている。
ユクミチにはたどり着きたい場所がある。
キタミチには振り返る価値があるものがある。
どちらのミチにいようと、彼らは前を向いている。
私の推したちは素晴らしい。
ひとつだけ、ノールに伝えたい。
君たちのユクミチにはいつもチームナックスという憧れの先輩がいます。
けれど、彼らに憧れてしまっていては、彼らを越えられないのです。
by大谷翔平
もとい
君たちにはチームナックスという大きな存在の先輩がいます。
彼らに憧れてもいいけど、迎合する必要はない。
君たちはノールという唯一無二のボーイズユニットなんだから。
君たちは君たちのユクミチを、多くの人たちに助けてもらいながら歩んでいけばいいんです。
オオイズミさん?モリサキさん?ヤスダさん?オトオさん?
ああ、先輩っすよ。
トツギさんはなまらカッコいいっす。
くらいのスタンスでね。
若者もおっさんも熱量はちがっても
いつだって真剣勝負だ。
頑張っているのだ。
最後に
R-14のシゲちゃんの扱いが雑すぎるぞ!
したっけ
追記
「キタミチ」 は
安田顕作詞のTEAM ☆NACSの名曲です。