『トウキョウ ト キョウト ~インコース~』
東京から京都に引っ越してきて感じた関西の特徴を
少しのフィクションを加えたノンフィクションでお伝えします。第2弾です。
『トウキョウ ト キョウト ~インコース~』
京都に引っ越してきてはじめの1週間は荷物の整理や役所への届け出をしていた。
家で荷ほどきをしていたところ、夕方になったらどこかからゴーンという鐘の音が聞こえてきた。
近くに大きな神社やお寺があるとは聞いていなかったし、地図アプリで見てもそれらしき場所が見当たらない。
もしかしたら放送で流れているものかもしれないけど、東京にいた時に鐘の音をしみじみ聞いたことはなかったので心にちょっとした余裕のようなものが出来たように思えて、京都に来てよかったと感動しながらしばらく鐘の音を聞いていた。
2週目には初出勤があった。
10日ほどは研修やレクチャーばかりで本格的な業務には携わらないものの、新しい会社ということで覚えることや気を遣うことも多く、定時の18時になる頃には疲れていることが多かった。
研修中ということで定時で帰らせてもらえているのか、普段から定時で帰れているのかはまだわからなかったが、残業するときはするだろうからと研修期間はお言葉に甘えて定時ぴったりで帰らせてもらっていた。
会社から駅までは7,8分、最寄り駅までは同じく7,8分で15分もかからないところに住んでいた。
京都は観光地なので市中もバス包囲網があり、会社の近くにもバスが走っていたが、家から1本で行けるバスではなく、しかもバスは観光客の乗り降りが激しいので遅延も結構あるということなので通勤に使っている人は少ないと聞いてバス通勤はやめて地下鉄で通っていた。
東京で勤めていた時は毎朝乗車率200%の電車に乗って通勤していたので、京都の通勤電車は大丈夫だろうと高をくくっていたが、京都では朝から観光客が電車を利用しており、特に外国人は子どもが2人ぐらい入れそうな大きなスーツケースを持っていて、乗車率以上に混み合っていることが多かった。スーツケースを持っている人の近くは上部の空間こそ余裕があったが、電車の揺れでスーツケースが足に当たることがたまにあるので地元民は敬遠していた。
出勤時、いつものように地下鉄から地上に上がる時、曲がり角で反対側から来た人とぶつかりそうになった。
実はこれが初めてではなく、京都に来てからの2週間で3度目だった。
それほど焦っているわけでもなく、狭い通路ではない。むしろ狭い通路や階段には「右側通行」などと指示があるのでみんなルールを守って歩ているのだけど、狭くない場所の曲がり角はインコースをとるとぶつかりそうになる確率が高い。ということに気が付いた。
先に言っておくと、この現象を自分だけが体感しているのであれば、むしろ自分がインコースを攻めがちなせいでぶつかりそうになっている、と言えたかもしれないが、このことを20年以上京都に住んでいる職場の先輩2人に話すと、
「それわかる!めっちゃ内側曲がってくるよね!」
と共感を得ることができた。
加えて、「大阪駅とかでもそうだよね」ということだったので、京都というより関西全般に言えることなのかもしれない。
そう思って行きかう人を見ていると、ぶつかりそうな人が多い。
中には軽くぶつかっている人もいる。
結論は出ていないけど、職場の先輩と話した限りでは“せっかち”だからではないかとなった。
これを逆手にとって、パンを加えて学校に遅刻しそうな女の子と曲がり角で出会えないかと期待しているのですが、今のところありません。そこは期待しないでください。