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古いパンツ

古いパンツは履きやすい。
パンツなんて家族以外の誰かに見られることなんてまずありません。
でも、思わぬ形で見られることがあるんです。
外出する時は、見られても恥ずかしくないパンツを履きましょうよ、という話です。


◆ケース1

会議の席で突然男性が倒れた。
彼は別の会社の人間で60代。
床に倒れ、すぐ笛の音のような呼吸を始めた。

息をしていないので、心臓マッサージとともにAEDを使う事に。
幸いまわりは講習を受けた方ばかりだったので、皆あわてずスムーズに事は運んだ。

上着を脱がせ、パッドを当て、スボンを少し下ろし、金具のついたベルトも外した。

彼のパンツは使い古したるゆるゆるトランクスで、薄くなったロゴには「BC」と書いてあった。
確かに紀元前くらい古かったし、ゆるゆるなのでパンツの中身も少し見えていた。

AEDを使うと彼の呼吸は再開し、やがて救急車が到着した。

余談だが、こうした緊急の場面では人間性が浮き彫りとなった。
・倒れた人のもとにダッシュで駆けつけ、手当てをする人(理想的)
・どこかに電話をかける人(複数いた)
・あわあわして見守る人(僕)
・会議の状態のまま硬直してる人


◆ケース2

NHKと日経をこよなく愛する真面目な上司がいた。
彼はイベントの打ち上げの席で挨拶の最中、酔った部下が狼藉を働き、突然ズボンを下ろされた。

上司のパンツは、真紅のよれよれボクサーブリーフで、思わず後ろを向いたおしり部分には「ASS」と書いてあった。

僕はたまらず爆笑してしまったが、みんなASSではなく、赤いパンツに反応していた。

その後、上司から聞いた話では、あのパンツは娘さんが小さい頃にプレゼントされた大事なもので、ゲン担ぎに今日みたいな大事な場面では必ず履いているとのことだった。

恐らくご家族の誰も気づいていないASSの意味。

もちろん、僕はそれを教えるなんて野暮な事はしなかった。

その後、大事な会議などの時に、彼のおしりにASSと書いてあるかと思うと、それだけでもう。


◆ケース3(番外編) 

トイレで先輩といわゆる連れション状態になり、先輩がチャックを下ろした時に「あっ」と言った。

思わず彼の顔を見ると「カミさんのパンツ履いてきちゃったよ…」と恥ずかしそうに言った。

そんな事ある?

履いた時気づくだろ!

下着しまう場所一緒なの?

色々アタマを駆け巡ったが、確かに彼の奥様は体格も良く、その時は無くはないかと思ったが、そんなんあるかー!


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