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私にまつわるエトセトラ

K社長とは10年前にあるプロジェクトで一緒に仕事をした。

彼は社員20人くらいの小さな工場を経営しており、先進的な事業に取り組んでいて、メディアにもたびたび取り上げられている。

先日、某セミナーがあり、会場で久しぶりに社長にお会いした。

ご挨拶すると、社長は一瞬驚いた顔をして「またお会いしましたねー」と言った。

僕はこの4月からセクションが変わったので、あらためて名刺を渡した。

彼は僕のセクションを見て、苦笑いし、この後少し時間があるか聞いてきた。


近くのコーヒーショップに場所を移した後、社長は語り始めた。

きゅうりさん、あなたとは縁がありますね。
実はうちの会社、来年から新しいプロジェクトに取り組もうと思っていて、あなたのセクションと話をさせていただきたいと思っていたんです。

プロジェクトの内容についてひととおり話を聞いた後、社長はこんなことを語り始めた。


ちょっと変な風に思われるかもしれませんが、実は私、15年前に交通事故で息子を亡くしておりまして。
彼はまだ12歳でした。

とても悲しかったし、今でも悲しいけれど、最近こんなふうに考えるようになったんです。

私にまつわるエトセトラって、息子が導いてくれているんじゃないかって。

たぶん、きゅうりさんとこんな風にご縁をいただくのも、それなんだろうと。

あなたとさっき会った時にああ、やはり…と思いました。

引かないでくださいね。
変な勧誘とかじゃないですから。

毎朝息子の仏壇に手を合わせるんですが、今日そのタイミングでうちの社員から急な仕事でセミナー欠席しますという連絡があったんです。
私はたまたまスケジュールが空いたので、じゃあ私が出席するよということで参加した訳です。

あはは、やっぱりスピリチュアルな話みたいですね。
でも、私にはそうとしか思えないんです。

自慢する訳じゃありませんが、とても親思いの良くできた子でね。
会社は僕が継ぐんだとよく言ってました。

あいつは天国からうち会社の手伝いをしてくれているんだと思ってます。
タダ働きで申し訳ないですけど。

なんか親バカ話になっちゃいましたね。変な話をしてごめんなさい。

と言って社長はコーヒーを飲み干した。


こうして文字にするとやはりスピな感じだけど、なんか素敵な考え方だなと思ったし、プロジェクトがうまくいくよう頑張ろうと思えた。


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