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低周波の男

低周波に悩まされているんです。
男性は言った。

推定70代、身なりもよく明るい口調で話している。
とある会合で出会った男性で、話すのは今日で2回目だった。

会合の後の雑談である。

自宅にいる時に低周波に悩まされているんです。
今、この場所では何も聞こえません。

私は年金生活者で普段は家にいるんですが、朝9時から夜9時くらいまで低周波に悩まされています。

「ご家族も悩まされているんですか?」
思わず聞いてみた。

いえ、私だけなんです。
家内や娘はなにも感じておりません。

『て、ことは?』←僕の心の声

私がおかしいのでは?と思われたでしょう。
そうですよね。
私もそう思い、あらゆる医者に行きました。耳鼻科、脳外科、内科、心療内科。
すべて異常なしです。
もともと耳鳴りがひどいので耳鼻科にはずっと通っていますし。

『耳鳴りがひどい?、じゃあ耳なりじゃん』

でも、耳なりではないんです。
耳なりとはまったく違います。
低周波なんです。
もともと、低周波のひどい職場で働いていたものですから、人一倍感じる力が強いんだと思います。

『X-MEN?』

低周波はおそらく向かいの家から出てるんです。
最近買ったこの20万円のアプリでわかりました。

『ふーん、アプリね。。え?スマホにそんな機能あるかー!& 20万円のアプリなんてあるかー!』

その時、男性の下半身にふと目をやると、チャックが全開で、あろうことか伸びたトランクスからちん○が覗いていた!

あまりの情報量に僕は混乱した。
低周波、インチキアプリ、そしてちん○。

男性は口角泡を飛ばし、アプリについて語っている。

僕はもう笑いを堪えるのに必死(ゲラなんです)で、話を聞く余裕がなくなっていた。

笑いを堪えるのが苦しくて、適当に相槌をうってなんとかその場を辞することができた。


帰り道で思った。

せめて、ちん○のことだけは言ってあげたほうが良かったのではないか。
皆、絶対に見てみぬふりをしていたはずだ。

しかし、なんて言えば良かったのだろう?
真剣に悩んでいる人生のパイセンに、ところでちん○出てますよ、なんて言える訳がない。


◆教訓◆

①自分がおかしいかも?ということを認めるのはとても難しい

②アプリって聞くと一瞬それっぽく聞こえる

③外出する時は古いパンツを履くのはやめよう

古いパンツについては、過去にも教訓を得る場面がいくつかあったが、それは別の機会に。

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