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匂う桜とだし醤油
朝、出掛けに立ち寄ったファミリーマートで。
タリラリララ~ン♪タリラリラン♪の音を背に店に入ると…
なぜかふわん、と
でも確かに、桜の匂いがするのでした。
そこはやたらと広い駐車場の奥にある店。
辺りには桜どころか、なんの木も見当たりません。
前の日の夕方あたりから降り出した真冬の寒雨に、
なかなか衰えを見せない朝晩の厳しい寒さも手伝って、
その 春そのものの香りが
どうやら無性に、嬉しくなり…
ついそこにいた店員のお兄さんに
「桜餅とか、おいてるんですか?お店、すごく桜のいい香りがしますよね。」
と、たぶん満面の笑顔で、話しかけたんだと思います。
そのお兄さんは、
私のこの唐突な馴れ馴れしさに、
ぎょっとした風情で後ずさり。
「いえ。桜餅は来月からで、そんなはずは。」
と言い残し、そそくさと立ち去ってしまいました。
…恥ずかしかった。
反省。
押しも押されもせぬオバちゃんになったせいか、
どうも昔に比べ、他人さまに対する垣根が甚だ低くなっているようです。
思い返すと、知らない人に平気で話しかけるようになっている気も、かなりしてきました。
調剤薬局でよく見かける、受付の方を長いこと独り占めしている人のように、
もしかしたら迷惑がられていることもあるかもしれません。
ちゃんと相手を見て話さなければ。
この、行きがけの恥ずかしさもさることながら、
一日中 桜のふわん…な香りが心に残り
晩ごはんも、一足先に桜にしようと
帰りに春の走り、小さな鯛を買いました。
うちに着くなり、
しまってあった桜の塩漬けをごそごそと取出し…
まずは桜の出汁醤油を。
昆布とかつおの濃いめの出汁250ccにみりん50ccと桜の塩漬けを入れて、
ひと煮立ちしたら薄口しょうゆを40~50cc。
薄口なので塩気が強いですから、好みや体調をもとに味を見つつ作ります。
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わざわざ出汁をとるのが面倒なときは、
耐熱容器に水と昆布、みりん、さらに鰹節をバッと入れ、レンジ加熱しても。
漉したものに桜の塩漬けと薄口醤油を加えれば出来ます。
酢味噌にもこのだし醤油を使いました。
白みそ大さじ3、砂糖大さじ1、酢大さじ3を順に少しずつ混ぜていき、
桜のだし醤油大さじ1・1/2~2を固さを見ながら加えていきます。
山うどの桜酢味噌和え
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桜のだし醤油を、飲んでおいしいくらいに薄め、煮立てて薄くとろみをつけたら
昆布と酒、桜の塩漬けで蒸した小鯛の上にとろりとかける、小鯛の桜蒸し。
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もし桜の風味が嫌いでなかったら、
去年の桜で少し気の早い春、
味わってみられてはどうでしょう。
桜だしは、たくさん作って製氷皿で凍らせておくと
そうめんの時も水を加えるだけですぐに溶け、
まさに冷え冷えの麺つゆになります。
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もしご自宅や、摘んでも叱られないところに桜の木があったら、自家製の塩漬けも楽しいものです。
八重桜なら、さらにきれいに仕上がります。
軸から摘んで、壊れないようにそっと洗い、ペーパーなどに挟んで水気を拭いたら、重さを計り、桜の3割の塩をまぶしてジッパー付きポリ袋に入れ、重しをして一晩おきます。
その後、赤梅酢またはレモン汁を少々まぜ、また重しをして1週間ほど置いてから汁気をペーパーで拭いたら、盆ざるなどに並べて陰干しします。
乾いたら保存瓶へ。
…あのファミリーマートの桜の香りは、
どこから来ていたのでしょう。
袋詰めされた桜あんのどら焼きはあったけれど、
クンクン嗅いでも、些かも匂わないのでした。