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レモンの愉しみ🍋〜皮で自家製リモンチェロ〜


もう2年以上も前のことだとは。
横浜の港に停泊した大型客船の中での感染者が見つかってから、あれよあれよと言う間に、これまでの人生で一度も味わったことのない日々が、いきなり始まってしまいました。
今とは比べようもないほどの、得体の知れない、
見えないものへの恐怖。
マスクやアルコールをはじめとする防御用品の圧倒的不足。
そのうちに、否応なしのステイホームの始まり。

そんなときでした。
庭先のレモンが、鈴なりになっていたのに気づいたのは。

せっかく時間もあるのだし、不要不急で出かけられないし、怖がってばかりいても気持ちが落ちるだけ。
幸か不幸か、時間もたっぷりある!
庭のレモンの香りに、助けてもらおう。
…とばかり、香り高い皮を丁寧に仕込んで、
リモンチェロというリキュールを作ることにしました。

リモンチェロは、南イタリアのレモンのお酒。
アルコール度が96%ととても強い、スピリタスというポーランドのリキュールを使って作ります。

ポーランドでは、古くから家庭で薬草や果実などを高アルコール濃度のウオッカに漬込んで
フレーバードウオッカとして楽しんでいるようで
その時に使われているのが、このスピリタスです。

さっそく、たくさん人のいない時間を見計らい、
勇んで酒店へ。
…ない。
何軒回っても、スピリタスだけがない。
どこにもない。
探すうち、
お店の方に聞くまでもなく、気づきました。

みなさん、アルコールの慢性不足のため、
スピリタスを手指消毒のアルコールがわりにされていたのです。
驚きました。
そこまで、みんな怖がっているのだと。

仕方なく、なるべく度数の高いウオッカを買い求めてやってみました。
10個ほどのレモンの皮を剥き、苦味の出やすい白い部分は削ぎ取って(ピーラーを使うと楽です)煮沸した瓶に入れてウオッカ1リットルに漬け込みました。
後で同量のシロップを入れるため、瓶の半分くらいにしておきます。

一週間ほど経ったら、漉して皮を取り除きます。
水1リットルに砂糖700gを入れて煮溶かしたシロップを仕立て、冷めたら先ほどのウオッカに混ぜ、さらに一週間以上おくと出来上がりです。

レモン以外に、頂き物の文旦でも作ってみました。
スピリタスで作ると、もっと白濁した仕上がりになりますが、優しい味わいになりました。

スピリタス仕立てでなくても、アルコール度は高いのですが、
さっぱりとした口当たりで、食後の口直しにぴったりだと思います。

搾るだけであたりを瞬く間に爽やかにしてくれるレモン。
レモン本来の魅力はむしろ皮の方により多く在る、と思えてならないのです。

皮を食べることについて調べてみると、レモンの皮に含まれているβ-カロテン、ビタミンC、カリウム、カルシウムは、果汁の5~10倍だそう。
栄養素たっぷりの皮を捨ててしまっては、実にもったいないことと思いませんか。

けれど、どうしてもレモンの皮を食べるときに気になるのが、皮に付着した防カビ剤などの怖そうな農薬の数々、ではないでしょうか。
しっかりと水で汚れを洗い流した後でも、なんとなく気になるもの。
安心して食べることができる無農薬レモンを探しながら、ご自分でレモンを育ててみることもおすすめします。

はちみつでつけても、塩漬けにしても、使い道豊富なレモンの皮ですが
ただ刻んで、混ぜたり添えたり、の使い方が身近かも知れませんね。
いつでも使えるように、刻んで冷凍しておくと手間要らずです。

心を明るくリフレッシュしてくれ、また集中力も格段に高めてくれる、レモンの皮の爽やかでシャープな薫り。
これからやってくるジメジメとした日々にも、
レモンのアロマは心強い味方になってくれます。

お好みに合わせて、初夏の食卓に取り入れてみられてはどうでしょう。

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