患者様とスタッフが生むストーリー【v.06 患者様の希望】
CUCグループが初めて発表した「サステナビリティレポート2023」。
全60ページにわたる本レポートをより深く、よりわかりやすく知っていただくために、レポートの見どころをシリーズでご紹介しています。
今回は第6回、CUCグループが創る「3つの希望」から患者様の希望を創出した事例をご紹介します。
すべての患者様が安心で安全な医療を受けられ、最期まで自分らしい人生を送れること。患者様の希望に対して行った、私たちの取り組みの一部を社会的な背景とともにご覧ください。
社会課題から見る在宅医療の可能性
超高齢化が進む日本で加速する「在宅医療」の需要
日本が直面している超高齢社会の先には、死亡数が増加し人口減少が加速する多死社会が待ち受けています。国内の死亡数は増加傾向にあり、ピーク時の2040年には年間約170万人になる見込みです。
国民の約6割が人生の最期を自宅で 迎えたいと思っている(※1)一方で、現状では仕組みや受け皿が十分ではなく、2020年時点で約7割もの人が病院で亡くなっています(※2)。
こうした課題を受けて必要とされるのが、 在宅医療です。医師や看護師が患者様のもとを訪問することで、ご自宅や施設など住み慣れた場所で自分らしく生きることを支えます。
※1 日本財団「人生の最期の迎え方に関する全国調査結果 2021」
※2 厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計」
誰もが在宅医療を必要な時に選べる未来のために
在宅医療の需要が増える一方で、その普及には課題があります。訪問診療クリニックの数は近年横ばいで推移し、訪問診療を行う病院も全国の病院全体の36%程度に留まっている状況です。
CUCグループは創業より訪問診療を行う医療機関 の経営や新規開設をご支援し、クリニックや病院と連携して在宅医療を担う訪問看護ステーションやホスピス型住宅の全国展開を進めています。地域の患者様が自分らしく暮らし続けられるように、今後も在宅医療の普及に取り組んでいきます。
患者様とスタッフの関わりから
生まれたストーリー
STORY01
今年は見ることができないと思っていた桜を夫婦で見ることができました(ホスピス事業 S.K様より)
入居したばかりの母は、パーキンソン病の症状の影響でほとんど活気がなく、たくさんの管が体に繋がれ、口から食事をとることも 難しい状態でした。「以前のように元気になってほしい」そんな私たち家族の願いに対して、スタッフの皆さんが懸命にリハビリをしてく ださり、少しずつ食事を口から食べられるようになりました。また、母の入居を機に持病を抱えていた父も同じ施設に入居することになり、ふたり一緒に同じ部屋でケアを受けられることになりました。父がそばにいることが母も嬉しいようで活気をさらに取り戻し、今年は 無理かもしれないと思っていたお花見も夫婦で楽しむことができました。どうかこれからもふたりを温かく見守ってください。
(S.K 様のご家族より)
おふたりが一緒に末長く暮らしていけるよう
これからも見守っていきたい
2か月間のリハビリを経て久しぶりにお水を飲んだ 時の「あー美味しい」の一言が忘れられません。食事を食べる生きがいを取り戻したS様をさらに元気にしたのは、配偶者さまの存在です。そばに配偶者さまがいることがS様にとって最高のエネルギーになっていると感じます。最近では桜の下で手をつないで幸せそうな写真をお撮りしました。今後も、S様ご夫婦の空間に入りすぎないようにしながら、おふたりを見守らせていただきたいと思います。
株式会社シーユーシー・ホスピス
介護士 斎藤 三奈実
STORY02
「季節の花を育てたい」母の生きる希望が叶いました(ホスピス事業 K.O様)
母が患う筋萎縮性側索硬化症(ALS)は進行が早く、入居後悪化する病状に本人も家族も気落ちする日々でした。 呼吸が苦しい時期が続き、モルヒネの処方が開始された頃、一時的に元気を取り戻した母がこぼしたのは、「花を育てたい」という言葉でした。
それを聞いたスタッフの方々は母の想いを叶えるため、懸命に介助してくださり、おかげで晴れた日に自宅の庭で、向日葵と朝顔の種をまくことができました。以来、私たち家族が送る水やりの写真を楽しみに過ごしていた母。花の成長を施設でも楽しめるようにと鉢に移し替えて部屋に置いた数日後、静かに旅立ちました。 母の最後の生きがいを叶えてくださったこと、感謝しています。
(K.O 様のご家族より)
ご入居者さまの想いとご家族の想い
その両方に寄り添いたい
O様は、病状が進行されていく中でも、「芽は出たかな?」「大きくなったかな?」と毎日花の成長を楽しみにされていました。ご逝去された後もお部屋の鉢植えの花は成長を続けたので、私たちスタッフで写真を記録し、後日 収穫した種と一緒にO様のご家族にお渡ししたところ、大変喜んでくださいました。微力ながら、O様の生きがいを支えることができたこと、またご家族の悲しみを和らげる関わりができたこと、とても貴重な経験でこの仕事のやりがいを感じました。
株式会社シーユーシー・ホスピス
看護師 上木 淳子
STORY03
若いころに頑張れた気持ちを思い出してとっても元気が出るんです(居宅訪問看護事業 H.O様)
半年ほど前に腰の骨折をしてしまって、しばらく寝たきりの状態だったんですが、自宅に戻って看護やリハビリを受けながら少しずつ回復してきて、今では天気の良い日には15分ほど散歩もできるようになりました。お風呂にも自分で入れるようスタッフの方と一緒に動作を練習しています。
スタッフの方が来てくれるととっても元気が出るんですよ。自分の若い時のこととかその頃の頑張れた気持ちも思い出したりします。皆さんには感謝しています。
(H.O 様ご本人より)
日々のリハビリに努力される姿に元気をいただいています
いつも「来てくれると気持ちが明るくなるし、何より楽しいわ」と声をかけてくださいます。ご自宅での生活に対応しようと日々のリハビリに努力されるO様から、訪問スタッフ一同も元気をいただいております。
ソフィアメディ株式会社
理学療法士 須長 慎之介
STORY04
小児看護の経験がある方が多く頼りにしています(居宅訪問看護事業 A.I様)
息子が気管切開をしており、訪問看護の利用を始めました。 ガーゼ交換や沐浴など私一人だと難しいことも、看護師の方と声かけをしながら行うことで、自宅でケアができています。皆さん親切にしていただけるので、信頼しています。自分と同世代のスタッフの方や、子育て経験のある方、小児看護の経験がある方などたくさんいらっしゃるので、色々な角度から助言をいただき助かっています。
(K.A様のご家族より)
一番過ごしやすい方法を話し合いながら
これからも成長を見守らせていただきたい
いつも笑顔で、時には泣いて。訪問の度に色々な表情を見せてくれます。ご本人様にとって一番過ごしやす い方法は何か、お母様と話し合いケアするようにしています。これからも成長を見守らせていただきたいです。
ソフィアメディ株式会社
看護師 間嶋 愛
患者様の声を医療品質向上に反映する NPS®(ネットプロモータースコア)調査実施支援(CUC)
患者視点の医療の普及を目指すCUCでは、経営支援先の医療機関が実施する患者様満足度向上の取り組みを支援しています。その代表例として挙げられるのが、支援先医療機関が実施して いるネットプロモータースコア(NPS®)調査です。
NPS®調査は、患者様やご家族、地域の介護施設や連携先機関に対して訪問診療サービスにおける信頼度を0~10の11段階のスコアで評価をしてもらうアンケート調査です。CUCが経営支援する全国の訪問診療クリニックで実施されており、その結果は訪問診療サービスの評価・改善に活用されています。CUCは支援先医療機関と情報連携してNPS®の調査結果の集計や分析をサポートすることで、支援先医療機関における医療の質向上に貢献しています。
支援先医療機関情報
札幌在宅クリニックそよ風
北海道札幌市清田にて24時間365日の訪問診療や訪問看護・ 居宅介護支援事業を行うクリニック。 地域の皆様に心を込めた在宅医療を提供しています。
患者様や地域の連携先機関からの声を
医療の質向上に活かしていく
当院では、2020年より年2回CUCと連携してNPS®調査を実施しています。 患者様やそのご家族だけでなく、介護施設や居宅介護支援事業所など、多職種 事業所の職員の方も対象にNPS®調査を行うことで、患者様と地域の連携先機 関からの評価も把握しています。NPS®調査の結果を医師にもれなく共有することで、医療の質に対する当事者意識を高め、普段の診療につなげています。今後注力したいのは、より詳細な患者様の求める医療サービスの傾向を掴むことです。CUCとの情報連携をより強めて、さまざまな観点で分析を行うことで、訪問診療サービスの質をいっそう高められると考えています。
札幌在宅クリニックそよ風
院長 飯田 智哉 様
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