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【CHC】Ryan Presslyを獲得

※ヘッダー画像はhttps://x.com/astros/status/1735706283221659981より引用
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 いつもお世話になっております。リグレルです。東京で一足早く開幕を迎える影響により30球団最速でスタートするカブスのスプリングトレーニングまで残り20日を切りました。いよいよオフも佳境という中で、シカゴ・カブスが2ヶ月連続でヒューストン・アストロズとのトレードを敢行し、Ryan Presslyライアン・プレスリーを獲得すると報じられました。今回はそのトレードの概要と所感について述べていきたいと思います。


1.トレード概要

【CHC獲得】
Major leaguer
・RHP Ryan Presslyライアン・プレスリー
(36歳,来季年俸$14M,残り1年保有)
・金銭 $5.5M

【HOU獲得】
Minor leaguer
・RHP Juan Belloフアン・ベヨ
(20歳,MLB Pipeline傘下Top30プロスペクトランキング圏外,
 昨季Single-Aで22試合に先発し89.2イニングを投げ防御率3.21)
(※1/29追記:Belloは移籍後同ランキングにてHOU傘下23位にランクインしました)

 残り1年で$14Mというリリーバーとしてはやや重めのPresslyの契約をダンプしたいHOUの思惑とブルペンを補強したいCHCの思惑が合致したトレードとなりました。HOUからの金銭$5.5MはPresslyの契約の年俸負担に充てられるため、今季CHCがPresslyに支払う額は年$8.5Mとなり、CHCの贅沢税課税対象となるペイロール上の額も同様となります。
 CHC側から見ると、実質1年$8.5Mの契約でPresslyを雇えるということになります。
 また、Presslyは全球団に対するトレード拒否条項を持っていましたが、今回これを破棄しての移籍ということになりました。

2.所感

2-1 ブルペン補強が必須のカブス

 2024年のカブスブルペンは、防御率こそ30球団中12位の3.81ではありましたが、負傷者続出の影響もあって接戦での安定感を欠き、64回あったセーブ機会のうちの26回を失敗しセーブ成功率は同25位の59%、ブルペン全体のfWARは同20位の2.9テコ入れが必須の状態でした。

 既にEli Morganイーライ・モーガンCaleb Thielbarケイレブ・シールバーといった面々は獲得していましたが、これでブルペンが盤石になったとは言い難く、まだ実績の浅いTyson Millerタイソン・ミラーNate Pearsonネイト・ピアソン,Porter Hodgeポーター・ホッジらに依存した編成を改善してくれるようなハイレバレッジリリーバーの獲得が望まれていました。
 
 そんな中での今回のPresslyの加入。ビッグネームの少ないカブスブルペンにとって、あまりにも頼もしい存在となります。
 2016年以降は短縮シーズンとなった2020年を除く全ての年で50試合以上登板してきたMLBを代表するリリーバーであり、そのタフネスぶり安定感はカブスが欲していたものだと言えるでしょう。加齢によるフォーシームの衰え等の不安要素はありますが、それでも今のカブスブルペンにおいては、最も実力のある選手ということは間違いありません。以下Fangraphsにおける来季のカブスブルペンの成績予測ですが、Presslyが最も高いfWARを記録すると予想されています。

Fangraphsより引用
※予想投球回30回以上の投手のみ抜粋
中々手厳しいね(泣)

 Presslyの特徴としては、GB%の高さが挙げられるでしょうか。PresslyのGB%は2023年から2年連続で50%を超える高い水準を維持しており、これはカブスのHoernerホーナーSwansonスワンソンを中心とした堅い守備を売りとする内野陣とよくフィットするのではないかと考えています。

 プレー面での働きはもちろん、昨季同じく元アストロズのHéctor Nerisヘクター・ネリスが担ってくれたようなブルペンリーダーとしての働きにも期待せずにはいられません。
 Presslyの加入という一点においては、個人的には歓迎できる動きだと思います。


2-2 他にも選択肢がある中でのPresslyの獲得

 ここからは今回のトレードの疑問点・懸念点を述べてみたいと思います。
 それは、今回わざわざ対価を差し出してまで、Presslyを獲得したこと。以下Presslyトレード時にFA市場に残っていた25年の予想fWAR上位リリーバーの一覧になります。

Fangraphsより引用

 Presslyの来季予想fWARは0.8ですから、この面々の中では最も高いのは間違いありません。しかし、それと遜色ない成績を残すことが予想されているDavid Robertsonデビット・ロバートソンや成績予測の面では劣るもののより安く済みそうなKyle Finneganカイル・フィネガンといったFA市場に残る選手達を差し置いて、ただでさえ薄い若手投手層から先発ポテンシャルの片鱗を示した20歳の投手をわざわざ対価に差し出して、新たにトレード拒否権を取得しTDLで移籍させることが困難になったPresslyを獲得する必要性が本当にあったのかについては疑問を抱くのも自然と言えるでしょう。

 とは言え、2025年のカブスはプレーオフ進出を目指す体制なのは間違いなく、そのためにプロスペクトを放出するのは仕方のないフェーズに入っていること、今後のブルペン市場の動きによってはPresslyの1年$8.5Mはバーゲンとなる可能性もあることを鑑みると、このトレードを”カブスの失敗”と評価してしまうのはいささか短絡的に思えます。このトレードの評価はオフが終わった時にでももう一度やりたいですね。

2-3 所感まとめ

・貧弱なカブスブルペンにとってPresslyの加入はあまりにも大きい
・トレードの評価を行うには時期尚早


3.おわりに

 今回、Presslyはもともと持っていたトレード拒否権を破棄し、カブスへの移籍を承認してくれました。Presslyは過去6年半在籍したアストロズが本拠地を構えるテキサス州のダラス出身の選手であり、まだ小さな子供を抱える中で愛着のあるヒューストンを離れることにかなり悩んだようです。
 Presslyの奥様であるKatさんも"これは私たち家族にとって最も難しい決断だった"とXでポストしています。

 そんな中で遠く離れたシカゴの球団への移籍を承認してくれたPressly、応援しないわけにはいきません。Wrigleyでアツく9回を締めくくってくれることを信じ、全力で応援しようと思います。

Welcome to Chicago, Press!!

(※1/29追記)

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